ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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中国が「防空識別圏」を設定する理由

2013年12月12日 | Weblog

 平成二十五年十一月二十九日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「中国が「防空識別圏」を設定する理由」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 けさの読売新聞に「『防空圏 日米で連携』菅官房長官 ケネディ大使と会談」「日米、尖閣監視強化へ」という記事がある。それによると、中国が東シナ海に防空識別圏を設定したことを受け、米軍と自衛隊は連携を緊密にしていくことを確認したという。

 他紙も、「自衛隊機が中国防空圏飛行 海保機も 菅長官『配慮しない』」(産経新聞)、「防空識別圏 中国 強硬姿勢」(毎日新聞)、「日米制服組、冷静な反応 中国防空圏 警戒 従来通り」(朝日新聞)といった見出しで、中国の防空識別圏を巡るニュースを報じている。

 ちなみに、「防空識別圏」とは、「領空に進入してくる航空機の識別・位置の確認・飛行指示などを行うため、各国がその領空の外側に設定している一定の空域」(デジタル大辞泉より)で、「世界各国は領土の外側400~500km圏を防空識別圏に定めている。この空域に入る航空機は事前に飛行計画の提示が求められ、通報がない場合は国籍不明機として要撃戦闘機の緊急発進の対象となる」(imidasより)。このように領空の外側に防空識別圏を設ける理由は、「国籍不明機が領空を実際に侵犯してから迎撃機を発進させてもまにあわない」(日本大百科全書より)ためだ。

 その防空識別圏を中国が11月23日に突然、尖閣諸島や、米軍演習場のある久場島、大正島を範囲内に設定してきた。防空識別圏が重なると、互いに戦闘機を緊急発進(スクランブル)して撃ち合いになりかねない。

 それにしてもなぜ、中国はこのような行動に出たのか。その点について、11月25日付のTBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」で軍事ジャーナリストの神浦元彰氏は、「『中国国内で『防空識別圏を設けていいんじゃないか』という声が、軍人たちを中心に出てきた。それに政府が引きずられて、防衛識別圏を宣言した」と述べている。

 また、同日付のニッポン放送「ザ・ボイス」でコラムニストの勝谷誠彦氏も、今の習近平の中央政府が、どこまで軍をグリップできているのか疑問で不安。習近平が中国にいないときに、なぜ、こんな重大な決断が行われたのか。習近平は軍を抑えきれていない、という声は前からあり、軍閥が、いけいけどんどん、になっている可能性が高い。今の中国は、昔の日本軍と同じ。関東軍が独断で軍事行動に出て政府が追認していったように、今の中国も、やり始めたら止まらない。戦争を望む人民の声が背後にあるから、止めるに止められなくなる、という趣旨の指摘をしている。

 なお、中国の今回の防空識別圏内には、中韓で管轄権を争っている離於島(イオド、中国名・蘇岩礁)の上空も含まれている。(産経新聞より)

 また、けさの日本経済新聞によると、「中国は東シナ海だけではなく、南シナ海、黄海にも防空圏を設ける意向を示した。本気なら、日米韓だけでなく、東南アジア諸国とも対立が深まるのは必至だ」とある。

 前出の勝谷氏は、孤立を深める中国について、「かつての『連盟よ、おさらば』と言って、国際社会で孤立していった日本をみるようで、非常に危険」とも述べている。

 今回の中国の防空識別圏の設定は、中国崩壊の序章かもしれない。日本は、中国の周辺国とも連携を密にして、共通の目標でつながる必要があるのではないか。(佐々木奎一)


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