「問題の本質は『ビデオの流出』そのものよりも、なぜこのような事態に陥ったかという点にある。率直に言えば、官邸、つまり菅直人首相と仙谷官房長官の判断ミスだ。自らのミスを棚に上げておきながら、一公務員の守秘義務違反をあげつらったり、海上保安庁長官の更迭を匂わすなど、現場にのみ責任を押し付けるのは、筋違いもはなはだしい。しかも、判断ミスの原因は、国益よりも『私益』を優先させたことにある。(略)
一説によると、仙石官房長官の“密使”として中国を訪れた細野豪志前民主党幹事長代理が、日中の関係緩和の環境づくりのために申し合わせたと言われている。引き換えに菅政権が期待したのが、APECにおける日中首脳会談の実現だ。
菅首相はこの間、『俺に恥をかかせるのか。なんとしても日中首脳会談を実現させろ』と言い続けていたという。つまり、菅首相が個人的に『恥をかかない』ために、ビデオの公開を封印してしまったというのである。(略)
いずれにしても、私たちが関心を持つべきは、ビデオ流出犯の処分ではなく、この一連の対応の問題点を徹底的に検証することではないかと思う。」(抄)
2010年11月15日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号で
週刊朝日編集長・山口一臣氏の記事
「〝尖閣ビデオ封印〟は菅政権安定のためだった!?」
を聞き書きしました。