ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

※ブログ下記移転しました(2015年7月以降)
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生活実感「ゆとりなし」50%超の実態

2015年01月19日 | Weblog

 平成二十七年一月九日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「生活実感「ゆとりなし」50%超の実態」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 けさの毎日新聞に、寒さで身体をぶるぶると震わせるおじいさんのイラスト入りで「半数『ゆとりなし』日銀生活意識調査」という記事がある。

 それによると、日銀が昨日発表した生活意識アンケート(昨年12月調査)によると、暮らし向きに「ゆとりがなくなってきた」と答えた割合は前回9月調査から2.6%増の51.1%となり2年ぶりに半数を超えたという。

 暮らしにゆとりがなくなってきた理由(複数回答)は「物価の上昇」が71.1%、「収入の減少」が50.4%。景況感が1年前に比べて「悪くなった」との回答も7.3%増の38.8%。収入が1年前と比べて「減った」は1.6%減の40.8%。物価が1年前に比べて「上がった」と感じているのは79.5%だった。

 記事では「給与総額が増えても、物価の値上がりを織り込んだ実質賃金は(略)17カ月連続で減少。雇用や大企業の冬のボーナスは改善しているが、恩恵が広がっているとは言えない状況だ。(略)円安による原材料高騰などで食品の値上げが相次ぐ。1月からパスタや食用油、即席麺が値上げされたのに続き、2月にはレトルトカレー、3月に天ぷら粉やアイスクリームなどの値上げが続く。日銀は『物価高から生活にゆとりがなくなり、景況感の先行きにマイナスの影響が出てくる可能性がある』と指摘している」と結んでいる。

 ちなみに、昨今の国民の生活実感をうかがわせるエピソードがある。食品関係者によると、神奈川県の中央部の某市にある、スーパーや映画館、ペットショップなどの入る複合施設A(※イニシャル表記)では、年末に、豚肉ブロックをつかった試食をしていたという。年末年始は国民の財布がゆるくなるものなので、目の前で角煮や煮豚を料理して食べてもらい、食材を買ってもらう、というお馴染みの試食商法である。年も押し迫った30日の朝、この店がチラシでアメリカ産を特売したところ、ものの1時間もたたないうちに客が殺到し完売となった。その混み具合に当の店の人たちも驚いていた。味は国産の方が良いにもかかわらず、人々は安さをとったのだ。

 また、31日にはすき焼きの試食をしたところ、子供から高齢者まで老若男女ひっきりなしに食べにきて、試食作業は忙殺されたが、肝心の牛肉の販売はわずかでしかなく、金持ちそうな身なりの人が稀に買う程度だった。その牛肉は400g程度で2~4千円だったため敬遠されたのだ。A店としては、正月くらいは美味しい肉でお祝いする人も多いと踏んでいたのだろうが、庶民の財布のひもはプロの想像以上に固かったということになる。

 年末のこんな風景にもこの国の景気の実態が表れているといえよう。(佐々木奎一)


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