平成二十七年一月二十三日付、auの「朝刊ピックアップ」で記事
「琵琶湖、霞ケ浦…侵攻する外来魚ブラックバス」
を企画、取材、執筆しました。
けさの毎日新聞に魚の写真付きで「外来魚が原因 食用魚介半減」という記事がある。それによると、国立環境研究所は昨日、琵琶湖や十和田湖、霞ヶ浦などの全国の大型湖沼で、ワカサギやエビ、シジミなどの食用の魚介類が、98年からの10年間で48.7%減少していたとの調査結果を公表した。
減少の原因を分析したところ、①外来魚の生息種類数、②コンクリート護岸率、③水質の指標となるリン濃度のうち、②、③は必ずしも魚介類の減少と一致しなかったが、①の外来種については、増えると魚介類は減っていたという。
その外来種とは、オオクチバス(ブラックバス)、ブルーギル、チャネルキャットフィッシュ、カムルチー、ニジマス、ブラウントラウト、カワマスの7種。(原資料より)
同研究所の松崎慎一郎氏は「外来種の侵入防止や駆除を優先させる必要がある」と訴えている。
ちなみに、日本に前々から生息する動植物を駆逐する外来生物は、「侵略的な外来種」といわれる。05年5月には「特定外来生物被害防止法」が施行され、そうしたリスキーな種を「特定外来生物」に指定し、国の許可なく輸入、飼育、運搬することを禁じ、違反者には3年以下の懲役か300万円以下の罰金を科した。指定されると捕獲や駆除を進めることもできる。
施行当初の特定外来生物は37種。そのうち物議を醸したのは、冒頭に出てくる外来魚の一つ「オオクチバス(ブラックバス)」だった。もともとブラックバスは、北米原産の魚だが、1925年、釣りや食用として神奈川県の芦ノ湖に移入された。その後、何者かが各地に放流し、70年ごろから急速に全国に広まった。これはバス釣りの人気が高まった時期と一致する。現在は47都道府県すべてで生息。世界規模で増殖しており、国際自然保護連合は生態系への影響が大きい外来種ワースト100に入れている。(05年1月31日付毎日新聞朝刊より)
もともと同法律の目玉はブラックバスだった。それなのに法律施行4か月前に、環境省は突然、ブラックバスの指定先送りを決定した。理由は、釣り関係者から「すぐに指定されると釣り人の間に混乱が生じる」と懸念が出されたためという。(05年1月20日付同紙朝刊より)その後、当時の環境大臣・小池百合子氏の意向により一転して指定された。
しかし、特例として、山梨県の山中湖と河口湖、西湖、神奈川県の芦ノ湖は、ブラックバスの稚魚の放流や飼育が「漁業権」という名目で認められて現在に至っている。要するに、「遊漁料」を取りたい地元の漁協と、バス釣りをしたい釣り人の利害が一致し、漁業権が設定されているというわけ。
こんな大きな抜け穴があっては、特定外来生物の指定も有名無実であろう。冒頭にあるように全国の湖沼に今もブラックバスが絶えないのは、今も河口湖や芦屋湖から全国各地に放流している人がいるからではないかと疑わざるを得ない。(佐々木奎一)