ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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真夏の「電力不足キャンペーン」の真っ赤なウソ

2011年05月23日 | Weblog


 「中部電力浜岡原発の停止を機に、またぞろ「電力不足キャンペーン」が始まっている。既存メディアの新聞各紙は「夏の電力 全国で切迫」「電力不足連鎖の恐れも」といった見出しを掲げ、菅政権も蓮舫・節電啓発担当大臣を使って、節電対策を強化する意向を示すなど、キャンペーンを後押ししている。

  浜岡が止まると、中電から東電や九州電力への電力融通が打ち切られ、各地で電力不足が生じる。夏のピーク時に供給が需要を上回って、大規模停電が起きる可能性があるというロジックだ。震災直後から散々聞かされてきたことでもある。だが、これが真っ赤なウソなのだ。

  実は、国(経産省)も電力各社も、国内の火力、水力を能力いっぱいまで稼動させれば、真夏のピーク時でも必要な電力を賄えることを隠しているのだ。手元にある資源エネルギー庁の国内の発電能力に関するデータ(2008年)によると、火力で約1億3978万キロワット、水力で約4595万キロワット、原子力が約4958万キロワットとなっている。これに対して、必要な電力は約1億7500万~1億8000万キロワットとされている。比べればおわかりのように、火力と水力だけで充分に国内で必要な電力量を賄えてしまうのだ。

  ところが、国と電力各社は原発の必要性を強調するため、火力、水力の稼動率を意図的に抑えてきたというのである。火力は約半分が止まっている。水力に至っては8割近くが動いていない。ウソのようだが、本当の話だ。

  5月12日付の東京新聞「こちら特報部」は「東電また“情報操作” 狙いは原発存続? 」という特集を掲載した。東電が、被災した広野火力発電所(能力約380万キロワット)が7月には再稼動可能なのに、それを隠して危機感をあおっているという内容だ。広野が復旧すれば、東電管内の電力供給は真夏でも何の問題もなくなるどころか、需要を上回るというのである。

  いま世の中で行われている節電狂想曲、いったいナンダと言いたくなる。

  経産省と電力各社のキャンペーンのおかげで、世論調査をすれば半数以上が原発は依然必要であるという結果になる。しかし、騙されてはいけない。私たちが欲しいのは電力であって、原発ではない。危険きわまりない原発以外の方法で電力が充分供給されるというのなら、絶対にそのほうがいいのである。」(抄)

 

2011年5月16日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 

「今日のニュースに一言」で週刊朝日前編集長・山口一臣氏の記事


「真夏の『電力不足キャンペーン』の真っ赤なウソ」


を聞き書きしました。


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