ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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7月施行の再生可能エネルギー買取法の行方

2012年05月31日 | Weblog

 
2012年5月4日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「7月施行の再生可能エネルギー買取法の行方」
 
を企画、取材、執筆しました。
 
 
 
 原発再稼働問題で電力需給のひっ迫が声高に叫ばれる中、徐々にその夏が近づいてきた。そこで注目は「再生可能エネルギー買取法」である。これは菅直人前首相の旗振りのもと昨年8月26日に国会で成立し、今年7月1日から施行される。(正式名:電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)。

 同法は、「太陽光」「風力」「地熱」「中小水力」「バイオマス」の5分野の電力を、国が定めた固定価格で、電力会社が一定期間、買い取ることを義務付けたもの。買い取り価格と期間は、経産省の調達価格等算定委員会というところが案を出し、それをもとに経産大臣が最終決定する。買い取りにかかった費用は、電気料金に上乗せされることになる。

 そして注目の買取価格案が4月27日、決まった。金額は1kWh(1キロワット時)あたり、太陽光(10kW以上)42円、同(10kW未満(家庭用))48円(補助金込み)、風力(20kW以上)23.1円、同(20kW未満)57.75円、バイオマス(メタン発酵ガス化バイオマス)40.95円、同(リサイクル木材)13.65円など。買取期間は家庭用太陽光10年、地熱15年、それ以外は全て20年。ちなみに、価格案は、ほぼ業界団体側の言い値という。(4月26日付読売新聞朝刊「再生エネ 期待料込み 高値買い取り 政府、普及後押し」)

 なお、11年度時点の、太陽光など5分野の再生可能エネルギー電気量は、約1,945万kW(出力ベース)。それが12年度には250万キロワット分増加の見込みで、「原発1基の発電能力は約100万キロワットなので、その2.5基分」(4月28日付朝日新聞朝刊)という。

 経産省の試算では、これによる今年度の電気料金の上乗せ額は、月額の電気料金7,000円の標準家庭で月70〜100円程度という。

 なお、同法の附則抄第7条には「集中的に再生可能エネルギー電気の利用の拡大を図るため(略)三年間を限り、調達価格を定めるに当たり、特定供給者が受けるべき利潤に特に配慮する」とある。要するに、今後3年間は、買取価格を高めに設定して自然エネルギーの事業者を急増させるつもりでいる。

 逆にいえば、いまのうち契約すると、利幅の大きいビジネスといえそうだ。前述の通り買取期間は10~20年間と長期におよぶ。契約金額は当初の買取価格のままなので、技術革新や増産によってコストを削減すれば、利益はさらに上がる。これにより今後、自然エネルギーの電力シェアが増えるのは確か。

 一方、高値の買取価格のときに契約が殺到した場合、電気料金は試算以上に上がるかもしれない。今後の行方を注視していきたいところだ。(佐々木奎一)


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