2012年5月7日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
「朝刊ピックアップ」で記事
「うつ予防に食の改善も一手 洋食より「和食」が効果的との研究結果」
を企画、取材、執筆しました。
いまや100万人以上いるともいわれる、うつ病患者。精神科や心療内科へ行き、抗うつ剤を服用する治療法が一般的だが、薬を飲んでもなかなか治らないという人は多い。そんな中、昨日の日本経済新聞に「うつの予防策 食の改善も一手」という記事があった。これによると、「うつに陥るのを防ぐには、自分の食生活を見直すのも一つの手だ」という。
例えば、国立精神・神経医療研究センター神経研究所の功刀(くぬぎ)浩・疾病研究第3部長によれば、ホウレンソウやブロッコリー、アボガドなどの緑色野菜に多く含まれる「葉酸」を含む食品をたっぷり食べると、うつ予防の効果があるという。青魚の脂などに含まれる「n-3系多価不飽和脂肪酸」も効果的で「魚は週に2~3回食べるよう勧めている」と言う。また主食は、白米よりも玄米の方が、ビタミンや食物繊維の摂取が増やせてお勧めだという。
何を食べれば、どの病気の予防にどのくらい効果的なのか――。東京大学の佐々木敏教授は、1か月の食事の正確なデータをもとに調査している。同氏らが沖縄県の中学生6,517人について分析したところ、葉酸を多くとる人ほど、うつ症状が弱い傾向があった。東北大学などと行った70歳以上の高齢者1,058人への調査では、うつ症状の弱い人は1日に飲む緑茶の量が、うつ症状の強い人よりも多かったという。
また、国立国際医療研究センターの南里明子栄養疫学研究室長らが九州の525人を調査したところ、カボチャ、緑の葉野菜、豆腐、緑茶などを多くとる「健康日本食パターン」の食事が多い人ほど、うつ症状の確率が低くかった。逆に、パン、牛乳、アイスクリームなどを中心とした「洋風朝食パターン」だとうつの確率は高かったという。
ちなみに、「診療内科に行く前に食事を変えなさい」(青春出版社刊)という本がある。著者は心療内科医の姫野友美氏。同書によれば、姫野氏は、ほんの数年前までスタンダードな投薬中心の診療をしてきた。しかし、薬が効かないばかりか、薬を投薬すればするほど悪化していく患者さんも多かった。かといって「焦らず、休みながら、自分に合ったペースで生活しましょう」と指導しても、自分のペースに合わせてくれる学校や職場は現実にはなく、「ストレスを避けましょう」といっても、ストレスのない生活などない。こうして、自分自身の治療に疑問を持ち始め、毎週のように医師向けセミナーに参加し、うつを治す方法を探しはじめた。
そして05年に、新宿溝口クリニックの溝口徹氏の、栄養療法の講義に出会った。これをきっかけに、患者の食事を見直すようになった。すると、患者の寝起きがよくなるなど身体が改善し、目も輝く宝石のような力のある「目」になって、精神も快活になり、前向きな発言をするようになったという。当の心療内科医の言葉なだけに、試してみる価値はあるのではないか。(佐々木奎一)