ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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生活保護に群がる不正受給、貧困ビジネス…

2014年12月21日 | Weblog

  平成二十六年十一月十日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「生活保護に群がる不正受給、貧困ビジネス…」
 
を企画、取材、執筆しました。
 

 8日付の産経新聞に「生活保護不正受給の疑い、右翼幹部の女逮捕」という記事がある。それによると大阪府の右翼団体幹部・田中小百合容疑者(34)は12年11月から14年3月にかけて、大阪府門真市のアパートに子供8人、孫1人と住んでいると福祉事務所に届け出て、生活保護費644万円を受けて取った。だが実態は、大阪府寝屋川市の民家で元夫と2人で暮らしていたとして、生活保護法違反(届け出義務違反)の疑いで逮捕されたという。

 こうした不正受給をする輩は後を絶たない。ちなみに、生活保護受給者に群がる「貧困ビジネス」もある。例えば、今年2月には大阪地裁でこんな事件の判決が出た。

 判決文や原告への取材によると、秋野大五郎氏(仮名、現70歳)は、25歳頃から建設作業や清掃の仕事に従事してきたが、07年12月、仕事が減り家賃滞納が続き、アパートの大家に退去を迫られた。そんな中、知人から、日当は安いが仕事がある、という田中勝氏(推定現70代半ば、実名、ダイヤ住宅という名で仕事をする個人事業主)を紹介された。田中氏は「自分の所有するアパートに空き部屋があるから、そこに住めばよい。家賃は、自分のところで仕事を回すので、働いて払ってもらえばよい」と言ったという。

 こうして秋野氏は、大阪日旭区にあるゴールデンハイツというアパートに住んだ。家賃は4万2千円だった。

 すると数日後、田中氏がやってきて、理由も告げず、「旭区役所に行くので、ついてくるように」と言った。そして、区役所内の福祉事務所に連れていかれ、生活保護申請をした。といっても秋野氏は生保の制度自体知らない状態で、申請までのやり取りは、ほとんど田中氏と担当者の間で行われた。

 その後、秋野氏は月12万8千円の生活保護を受給するようになった。すると、田中氏は、家賃を10万円払うよう迫った。倍以上の値上げである。秋野氏は「生活できなくなる」と訴えたが、田中氏は、「言うことを聞かないと出て行ってもらう。そうすると生活保護を受給できなくなる。家賃10万円だと生活費が足りなくなるだろうが、その分、仕事を紹介するから、補えばいい」と言われた。

 この当時の翔子もある。08年5月分の家賃の催促をしたA4だ。そこには黒マジック太字の田中氏の字で「5月分10万円」「万一お支払い無き場合は契約を解除もします」と書かれている。こうして秋野氏は高額の家賃を払い続けた。

 もう一人被害者がいる。高木良仁氏(仮名、現71歳)は、10代から大工職人をしていたが、07年頃から仕事がなくなり車内生活をしていた。そこで住む場所を確保するため、秋野氏に相談したところ、田中氏を紹介された。

 田中氏は「保証人もなし。何も無しでは部屋は貸せない。それやったら確実にお金が入るところがあるから、そこ行こうか」と言い、旭区内のビルシャナ赤川という部屋に行き、ここが住まいだといった。高木氏は、荷物を部屋に運んだ。するとその後、旭区の福祉事務所に連れていかれ、車を降りる際、家賃の契約書にサインをさせられた。家賃は4万2千円と書いてあった。その後、生活保護を申請し月12万8千円が支給された。すると翌月から家賃が8万円に上がった。それから毎月、高木氏が福祉事務所で、封筒に入った生活保護のお金を受け取るたびに、区役所のロビーで田中氏が待ち構えており、封筒から8万円抜いた。

 その後、秋野、高木両氏は田中氏を相手取り、値上がりした家賃分の返却を求める裁判を12年に起こし、勝訴し判決は確定した。この事件は氷山の一角である。生活保護の闇は深い。(佐々木奎一)


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1 コメント

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事前に調べられないんですかね (なるなる)
2014-12-23 16:25:28
生活保護費の不正受給のニュースは後を絶ちませんが、あとになって気が付くぐらいだったら、生活保護費を支給する前に行政側でもう少ししっかりと調べてそれから支給という形にはできないんですかね。
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