ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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すき家ゼンショー白旗あげて事実上の全敗確定

2013年01月23日 | Weblog

2012年12月28日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「すき家ゼンショー白旗あげて事実上の全敗確定」
 
を企画、取材、執筆しました。


 
 各紙は連日、安倍政権の動向を大々的に報じているが、そんな師走のさなか一つの裁判が終焉を迎えた。外食産業の売上高トップの牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーを巡る訴訟である。そのことを12月26日の各紙朝刊は「『すき家』未払い賃金で和解」(読売新聞)、「『すき家』のゼンショー、労組と和解 団交拒否を謝罪」(朝日新聞)、「団交拒否損賠訴訟 『すき家』運営ゼンショー、謝罪」(毎日新聞)という見出しで報じた。産経新聞と日本経済新聞は報じなかった。

 この裁判は大手牛丼チェーン「すき家」で働く仙台市のアルバイト福岡淳子氏(45)と所属する労働組合「首都圏青年ユニオン」が、ゼンショーが団体交渉を拒否し続けているため、賃下げの差別処遇などが改善されない、として、10年12月に同社に計約362万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に提訴した事件。この裁判が12年11月に結審し、来年早々にも判決が下る予定だったが、21日に急遽、ゼンショーが原告の主張を丸飲みする形で和解したというもの。

 和解の内容は、「ゼンショーがこれまで行ってきた団交拒否について、組合に謝罪する」「ゼンショーは今後、組合からの団交申し入れに対し、誠実に応じる」「ゼンショーは、組合と福岡氏に対し、解決金を支払う」「ゼンショーは、原告福岡の昇給に関する面談などににおいて、原告福岡を組合員であることを理由とした不利益な取り扱いを行わない」の四点。事実上のゼンショーの全面降伏で敗訴に等しい内容である。

 なお、福岡氏と同僚組合員2人は08年にも、ゼンショーに対し、未払いの残業割増代等の支払いを求めて、東京地裁に提訴していた。この裁判は、結審を予定していた10年9月に、ゼンショーは突如、原告らの請求合計994,777円をすべて「認諾」して、訴訟を終了させた。認諾とは、原告の言い分を全面的に受け入れて裁判を終わらせることを言う。

 つまり、福岡氏が原告の裁判でゼンショーは今回と前回で2連敗したことになる。

 また、当サイトのコーナー「ウワサの現場」の12年8月26日付記事「すき家のゼンショー、労働問題裁判で敗訴判決、会見に潜入!」にあるように、すき家ゼンショーが団交を拒否した事件で、東京都労働委員会、中央労働委員会、東京地裁、東京高裁と、ゼンショーは4戦4敗で最高裁に上告中だったが、これも21日の和解に合わせてゼンショーは取り下げた。要するに、こちらも降伏したに等しい。事実上の5戦5敗である。

 つまり、福岡氏の裁判と合わせ、ゼンショーは実に7戦7敗の全戦完敗で幕を閉じた形だ。ゼンショーの社名の由来は全勝、にもかかわらずである。

 なお、福岡氏は会見当日、「すき家・ゼンショーの労働者の皆さんも、飲食最大手の企業で働きながらも不安定な雇用に不安がいっぱいかもしれません。もし、サービス残業や理不尽な目にあったら、堂々と声を上げてください。決して泣き寝入りせず、ベストを尽くし動く勇気を持って下さい」というメッセージを発している。

 すき家訴訟のそもそもの発端は06年7月にさかのぼる。足かけ6年強の歳月をこの闘いにささげた人の言葉だけに重みがある。(佐々木奎一)


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