ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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生理痛薬で3人死亡、副作用の実態

2014年02月10日 | Weblog

 平成二十六年一月二十日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「生理痛薬で3人死亡、副作用の実態」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 18日付の各紙朝刊は「生理痛薬 使用の3人死亡」(読売新聞)、「生理痛薬 3人副作用死」(毎日新聞)といった見出しの記事を一斉に報じている。これは厚労省HPに掲載されている17日付の報道発表資料に基づいたもの。

 同資料によれば、生理痛軽減のための薬「ヤーズ配合錠」を服用した患者3人が昨年、薬との因果関係が否定できない血栓症により死亡した。この薬は、バイエル薬品が10年11月16日から製造販売開始。推定使用患者数は187,000人に上る。

 死亡した3人の具体的な症状は次の通り。20代の女性A氏は、月経困難症、不規則月経、ざ瘡(意味:にきび)を治すためX病院へ行き、医師からヤーズ配合錠を処方され、1日一錠服用した。すると2日後、朝から頭痛、吐き気、動悸、貧血がしたため、別の病院の内科にかかった。が、一向に治らない。9日後、再びX病院に行き、頭痛を訴えたところ、処方医はヤーズ配合錠の服用を中止し、脳外科への受診を勧めた。

 翌日、A氏は体動困難となり、その翌日には、朝、ベッドで失禁した状態で母親に発見され、病院に搬送。CT検査で脳静脈洞血栓が判明し緊急入院したが、2日後、A氏は死亡した。

 10代後半の女性B氏は、月経困難症、子宮内膜症の治療のため、ヤーズ配合錠を処方された。すると服用から526日後の午後9時頃、外出から下宿に帰宅したB氏は、突然、音信不通に。下宿先の管理人が安否確認のため、部屋に入ると、B氏は外出先と同じ服装のまま倒れていた。死因は肺動脈塞栓症だった。

 40代の女性C氏は、月経困難症のため、ヤーズ配合錠を服用した。すると207日後に、右足をつると処方医に訴え始めた。その折、経膣超音波により子宮筋腫が7cm程度と少し拡大していたため、症状改善のため手術療法が望ましいと医師は言ったが、C氏は積極的ではなかった。

 それから約5か月後、C氏は右足の腫れ、痛みを訴えるようになり、数日後、呼吸苦で救急搬送に。救急車収容時、C氏は上肢屈曲、下肢伸展で強直し、車内で心肺停止した。その後、心拍再開したが、意識は回復せず、19日後、死亡した。

 こうした副作用事例により、バイエルン薬品は、ヤーズ配合錠は血栓症で死に至る可能性があるので、足の突然の痛み・むくみ、手足の脱力・麻痺、突然の息切れ、押しつぶされるような胸の痛み、激しい頭痛、舌のもつれ・しゃべりにくい、突然の視力障害などがあった場合は、薬を飲むのを止めてすぐに救急医療機関に受診するよう呼びかけている。

 なお、こうした薬の副作用事例のデータは、厚労省の出先機関「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構」が保有し、同機構HP内の非常にわかりずらい場所で、一部分だけ公開している。

 その場所とは、まず、HP内の「情報提供ホームページ」という箇所をクリックすると別ページに移動する。そのなかの「医薬品関連情報(医療関係者向け)」という箇所をクリックした後、「副作用が疑われる症例報告に関する情報」を開くと、データベースに辿りつく。このデータベースには、症例が一言、二言書いてあるだけで、上記A~C氏のような患者の訴えや経緯は、製薬会社を慮ってか、わざと伏せている。

 そんな不十分な情報だが、何も知らずに服用して、万が一のときに、副作用のリスクを何も知らされなかったと嘆くよりは、「リスクを承知の上で服用したい」という人には、一見をお勧めしたい。(佐々木奎一)


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