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ネス湖で膨らむもの

2012-07-22 11:54:31 | イギリス一周 花の旅

 ネス湖(Loch Ness)湖畔のアーカート城の駐車場に車を停めたのは、アラプール(Ullapool)を出発してから一時間後のことでした。

 

 既に城跡の公開時間は過ぎておりましたが、柵の外から城の佇いを覗き見ることができました。

  

 

  

 私以外にも公開時間に間に合わなかった観光客が、中を覗く場所に代わる代わる来ては、カメラのシャッターを押していました。

   

 ネッシー君はお伽話ですから、外から想像を膨らませて楽しむ程度で、丁度良いのかもしれません。

   

 しかし、居るかもしれないと思って見ると、凡庸なネス湖の風景が何かを語りかけてくるような、そんな気持ちになるのが不思議です。

    

  

 南北に38キロもある、ネス湖西岸の道を南へ向いまいた。

  

  

 ご覧のように、特に何があるわけでもないのですが、陰鬱な風景に想像力が膨らみますます。

  

  

 日本は国策として、観光客誘致に力を入れていますが、観光施策を考える時にネス湖は、人を集めるために重要なことは、風景の中にストーリーを付加することが最も有効なのだと、教えてくれているようです。

    

 朝、インバネス(Inverness)を出発し、イギリス本土最北端の地を、海岸線に沿って一周し、私はいまフォート・ウイリアム(Fort William)の港に到着しました。

  

  

 港から北の方角へカレドニアン運河が伸び、ロッキー湖とネス湖を繋ぎ、インバネスを経て、北海に繋がっています。

 

 

 

 絶え間なく溢れ下る水の音が、永かった今日一日の時の流れを思い出させてくれます。 

 

 晴天に恵まれた、素晴らしい一日でした。

 野に咲く花は期待したほどに見ることはできませんでしたが、澄み渡った青い空と海、島影を背にした石積みの家、湖にシルエットを映す岩の嶺、お伽噺話の絵のような海辺の町、などなど、数えきれぬ程の美しい映像を脳裏に刻むことができました。

 

 きっと、芳醇なスカッチや頑固な地ビールなどを口に含むたびに、今日出会った幾つかの情景が、突然脳裏に浮かび上がってくるに違いありません。

 

 今日一日で使い切れぬ程の宝物を手にしました。 

 そうです、今でも思い出す、あの若き日の北の岩稜の、雷雨の岩壁で、ハーケンの横に咲いた赤いタカネバラの一輪のように。

 

 満ち足りた思いを胸に、今夜はこの街で夜を過ごすことに致しましょう。

 良い夢に彩られた一夜となりそうです。

 

6月20日の位置

 

 

 

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荒野の旅の終わり

2012-07-22 11:01:33 | イギリス一周 花の旅

 突然、目の前に海が広がりました。

  

  

 穏やかな砂浜が弧を描いていました。

  

  

 道なりに、小さな丘を越えると、

  

  

 絵本のような、可愛い街が、内陸深く切れ込んだ湾の畔に見えてきました。

  

 その町の名はアラプール(Ullapool)

 この町からは、ルイス(Lewis)島へフェリーが出ています。

   

 

  

 港にお瀟洒なレストランが並んでいました。

  

  

 ご婦人がお二人、フェリーの時間を待っているのでしょうか。

 暖かな陽射しの中で、ゆっくりと過ぎて行く午後の時を楽しんでいました。

  

  

 お伽噺のような光に包まれたアラプールの港では、6月の風が更紗のように頬を撫でていきます。

 

 時計は既に18時を告げていました。

 

 私も心地良い光と風の中で、寛ぎのひとときを過ごし、新たにナビへ、ネス湖の名をインプットしました。

 急げば、今日中にネッシーに会えるかもしれません。

 

 車は南東へと進路を変え、白い雲の下を急ぎます。

 

  

 インバネスの手前で南へ進路を変えると、広葉樹の並木が現れ、別世界に紛れ込んだような荒野の旅が終わったことを告げていました。

  

   

   

 

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スコットランドの山と湖

2012-07-21 12:44:20 | イギリス一周 花の旅

 インチャード湖(Loch Inchard)の先で、道が岩凌の中に分け入ります。

  

  

 その岩稜を抜けると針葉樹林が見えてきました。

 

 山の頂きは森林限界を越えているのでしょうか、岩が露出しています。

 

 地図で推定すると、フォイナーベン(Foinaven)山かもしれません。

  

  

 やがて、眼下にラックスフォード橋(Laxford Bridge)が見えてきました。

 

 僅かな距離しか離れないのに、1~2時間前の光景と大きく異なり、木々が繁茂しています。

  

  

 丘を越えると、森と湖が待っていてくれました。

  

  

 北緯58°の大気に包まれ、岩と森と水が絵をなす中を、ちっぽけな漁船が外洋を目指し、なさざ波をたてていました。

  

  

  ウナプール(Unapool)でそんな入江の橋を渡りました。

  

  

 橋を越えると、キーナッグ (Quinag)山が目の前に立ちはだかり、

  

  

 道は岩山を避けるように、荒野の中に続きます。

  

   

 丘を下り進む先に、吸い込まれそうなダークブルーの湖が見えてきました。

 

 アシント湖(Loch Assynt)です。

   

  

 この湖の畔に建つ古城の辺りでは、悪魔に約束させられたエイマーという娘が、湖に身を投げて人魚となり、今でも湖底の洞窟の中に身を隠しいると語り伝えられているそうです。

 

 湖の水位が上がるときは、この人魚が涙を流しているのだそうです。

  

  

 アシント湖を過ぎると、カニスプ(Canisp)山が見えてきました。

  

  

 その奥にスイルベン(Suilven)山が個性的な姿を見せています。

  

  

 夫々のピークは847mと731mですから、たいした高さではありませんが、独立峰なので、なかなかの風格です。

   

 息付く暇もなく、湖を従えたクル・モア(Cul Mor)山が見えてきました。

  

  

 山と川、山と湖、山と入江が、次々と車窓の景色を楽しませてくれます。

 

 時を忘れるような、夢ごこちの大自然の中で、快適なドライブを続けました。

  

  

 

 

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イギリス本土最北西端の地

2012-07-21 10:26:04 | イギリス一周 花の旅

 スムー・ケイヴ(Smoo Cave)のあるレイリンモァー(leirinmore)の隣がダーネス(Durness)です。

  

 Google地図などで「Durness」と検索すればお分かり頂けますが、ここは道路が通じている、イギリス本土の最北西端の地ということになります。

 イギリス本土の最南東に位置するドーバーと地理的な対称となる場所です。

    

  

 ダーネス湾から更に陸地の奥へ、湖のような形で汽水域が入り込んでいます。

 スコットランドの海岸に多く見られる、このような地形にはカイル(kyle)という名称が当てられていました。 

  

 今、私が目にしている水面は地図にはダーネスのカイル(kyle of Durness)と記されています。 

  

 よく似た地形を日本で探せば有明海ですが、この場所はもっと狭くて、川のようにすら見えます。

 あえて日本語を当てると「海峡」「浦」などが最もイメージに近いかもしれません。

   

 前のページで、このような場所をタンの浦と表記しましたので、ここもダーネスの浦とさせて頂きます。

  

  

 さて、ダーネスの浦ですが、対岸との間に浅い、ひたひたの汽水域が広がっています。

  

 

  

 海へ通じる方角にはダーネス村を右手に、砂浜が広がっています。

   

  

 上流も同様です。

  

  

 今はこのような状態ですが、もしかすると満潮時には海水で満たされるのかもしれません。

  

 私には初めて目にする地形です。  

  

 こんな環境にはどんな生物が生息するのでしょうか?  想像力が刺激されます。

  

  

  ダーネスの浦を過ぎると、峠道にさしかかりました。

  

  

 簡易舗装の道が、蛇行しながら丘の斜面を登って行きます。

  

  

 坂を登りきると、目の前にフェームフェロー(farrmheall)山が立ち、その裾に細い線を描いて未舗装の道が続いていました。

   

  

  

 フェームフェロー山を右手に見ながら丘陵地帯を進み、インチャード湖畔(Loch Inchard)のリコニッチ(Riconich)を通過しました。

  

  

 小さなホテルがありました。

   

 陸の孤島のようなこの場所は、冬にはどんな光景になるのでしょうか。 

  

 多分、日の出が9時で日没が15時といった、沈思黙考の世界なのかもしれません。

   

 

 

 

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野の花が咲く場所

2012-07-20 18:42:34 | イギリス一周 花の旅

 エリボール湖(Loch Eriboll)が海に口を開けた場所を回り込んで、西の方角へ向かいました。

  

 海を右手に見ながら、坂道を登ります。

  

  

 エリボール湖では水の蒼さに息を呑みましたが、この高台から見下ろす大西洋の碧さには言葉を失います。

  

  

 振り返えると、エリボール湖からの蒼い水塊が北の海に流れ広がっていました。

  

   

 このような場所に暮らすうちに、スコットランドの人々の瞳が青く染まるのでしょうか。

  

 ここには、どんな暮らしがあるのでしょう。

 

 今になって思えば、B&B(民宿)にでも泊まって、地元の人とコミュニケートすべきだったかな、と後悔しています。

   

   

 その先にスムー・ケイヴ(Smoo Cave)という、海水と地下水が石灰岩の地層へ複合的に作用し、侵食された洞窟がありました。

   

  

 駐車場に車を停め、崖を下りると、3~4階建てのビルの高さ程の洞窟が口を開けていました。

  

  

 入口に近付くと、ゴムボートを使った洞窟内ツアーがあるようです。

 

 二人の女性がヘルメットを被って、参加者が増えるのを待っていました。 

  

  

 周囲にオオイヌノフグリや、始めて見る野草がピンクの花を咲かせています。

  

 

  

 私の興味は洞窟よりも花なので、洞窟内ツアーには参加せず、周囲の崖に育つ植物を眺め歩きました。

  

 この洞窟周辺のように、羊が入り込めない場所では、多彩な植物が生育し得ることを確認しました。

   

 そして羊が入り込めない、放牧に使えない場所に樹木が育ちます。

 

 先程見てきた、エリボール湖畔の民家があった背後の断崖には、樹木が茂っていました。

  

   

 私は「ヒースという地形は、人が家畜を数百年、数千年という歳月に亘って放牧し続けることで作り上げた可能性がある」と考え始めました。 

 

 

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息を呑む湖の青さ

2012-07-20 10:56:12 | イギリス一周 花の旅

タンの浦を対岸に渡りきると、荒涼たる台地の上に道が伸びて、

  

  

 碧い細波の揺れる湖沼が点在していました。

  

  

 大雪山の五色ヶ原などに見る光景とそっくりです。

  

 しばらく走ると、目の前にベイン・スピオネィー(Beinn Spionnaidh)と思われる山稜が見えてきました。

  

  

 このような場所をヒースと呼ぶのでしょうか。

  

 ハリエニシダが澄み渡った大気の中で黄金色の花を咲かせていました。

  

 ハリエニシダは全ての葉が針状になっていて、競合する植物に比べて葉の面積が狭い為に、光合成の効率が悪いそうです。

    

 そう思って観察すると、ハリエニシダが花を咲かせているのは、少々盛り上がった、太陽光線をより多く受けられる場所です。

 思い返えせば、此処へ来るまで、ハリエニシダが繁茂していたのは、南向きの良く陽の当たる斜面だけだった気がします。

 

  

 北西ハイランドジオパーク(North West Highlands Geopark) のディスプレーが建っていました。

   

 調べてみると、北西ハイランドジオパークはこの辺り一帯から、ネッシーで有名なネス湖西岸までを含むそうです。

   

  

 そして、その先にエリボール湖(Loch Eriboll)が姿を見せました。

  

  

 アード・ニーキー(Ard Neakie)と呼ばれる個性的な島が砂州によって陸と結ばれていました。

 この島には1890年代まで、対岸とを結ぶフェリーの出発港があり、その時のフェリー関連の建物が、まだ島に残っていました。

 また、島の左手には1870年頃に、この辺で大量に採掘された石灰を焼く窯の跡が見えています。 

  

  

 道は下りながら湖の南端に向かいます。

  

  

 アード・ニーキー島の砂州が綺麗な曲線を見せていました。

  

 言葉では表現できぬ程の水の青さに息を呑みました。

  

  

  

 車を停めて、青から碧に、そして蒼へと、刻々と表情を代える湖の色を堪能しました。

   

  

  

 湖畔に一車線の道が伸びて、島が湖面に浮かんでいます。

  

 

  

  やがて道はうねりながら斜面を登り、

  

 

  

 潅木茂る岩壁に、へばりつくように建つ、民家の横を通り過ぎました。

  

   

 まるで、知床の海岸で番屋を見ているような錯覚を覚えます。

  

  

 湖の南端を回り込んで、牧羊地が広がる湖畔の西を走り抜けます。

   

  

 岩陰に身を潜めるような民家を眺め、

  

  

 そして、湖が海と繋がる場所の、波静かな浜を見納めにして、北の湖に別れを告げました。

  

  

 

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オジロワシが翔ぶタンの浦

2012-07-19 15:35:01 | イギリス一周 花の旅

 今回の旅で最も期待していたのが「スコットランドの荒野で野に咲く花を見る」ことでした。

  

 しかし、スコットランドの荒野は全て、と思える程、人々が牧畜に利用していますので、北海道オホーツク海沿岸の原生花園のように、多彩な草花に出会えることはありませんでした。

  

 少なくとも車でアプローチできる場所ではそうでした。

 湖水地方のあんな山奥でも羊が遊んでいましたし、スノードン山の麓では牧羊のための石壁が延々と築かれていましたので、おいそれとは手付かずの自然に出会えないのかもしれません。

    

  

 車が小さな丘を回り込むと、目の前に静かな入江が広がっていました。

  

  

 タンの浦(kyle of Tongue)のようです。

 入江の出口に見えるのが兎島でしょう、この辺では鯨やカワウソの姿も見られるそうです。

  

  

 駐車スペースに、周辺(コールドバッキー;Coldbackie)の様子を説明した掲示がありました。

  

  

 その内容は、

  「コールドバッキー(Coldbackie)は魅力的な場所です。干潮時の浅瀬で難波船の残骸や滝などを見られるかもしれません。ブランディー(Blandy)には素晴らしい粉を引くことで有名だった水車小屋の跡があります。村の赤い電話ボックスの脇の道を、標高307mのウオッチヒルに登れば、古城跡に出ます。その頂きでは3月にムラサキユキノシタ(purple saxifrage)が岩の割れ目を飾り、夏にはヌマラン(nothern marsh orchid)、ヒースラン(heath spotted orchid)、ニオイラン(fragrant orchid)などが咲き、秋や冬にはオジロワシの姿を見ることが出来るかもしれません」

  

 そうなんですね。

  

 やっぱり、車で走り抜けた程度では、野の花には出会えないようです。

 しかも、季節を狙って来る必要もありそうです。

  

  

 道は小高い場所に上がってきました。

 見下ろせば、入江に浅瀬が伸びて、その先に橋が掛かっています。

 あの橋を渡って行くのでしょう。

  

 

 渚の横に下りてきました。

 海岸を海藻が被っています。 海は多彩な生物を育んでいる様に見えます。

  

  

 対岸に聳えているのは、クランスタッキー(Cranstackie 802m)や ベイン・スピオネィー(Beinn Spionnaidh 773m)といった山々のようです。

  

  

 瀬を渡るとき、穏やかなタンの浦に、白い雲が浮かんでいました。

  

  

 カメラのズームを効かせて、対岸の山を撮影してみました。

 なかなかに見応えある山容が目の前に聳えていました。

  

 

 

 

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スコットランド北縁の道

2012-07-19 10:33:27 | イギリス一周 花の旅

 イギリス本土はジョン・オグローツ(John O'Groats)から緯度と平行して、海岸線が西へ続きます。

 私はその海岸線に沿い、イギリス本土、ブリテン島の北西端へ向かいました。

  

 海を見下ろす入江の縁に、民家がポツンと一軒建っていました。

 白い洗濯物が風にそよぐ光景に、日々の平穏な暮らしを伺い知ることができます。

  

  

  遥か前方に、島影ような山稜が見えてきました。

  

 荒涼とした大地の真ん中に、強い意思を誇るかのように、一軒の民家が見えていました。 

  

  

 道は大地の起伏を縫って西へ走ります。

  

   

 そんな景色の中に咲くハリエニシダは寂しげです。

  

  

 道に沿って伸びる電線が人の気配を感じさせ、丘の麓へ伸びる脇道が人の営みを想わせます。

     

  

 たまに、羊を見かけますが、その数は数える程です。

  

 

 この辺に目立つ緑はシダの類でした。

 数時間前に見てきた、ウイック周辺の牛遊ぶ草原に比べ、明らかに地味に差がありそうです。

   

 

 ベティーヒル・ビューポイント(Bettyhill Viewpoint)という展望台を目にして、車を停め、西の空の山脈を見渡しました。

 解説板で、最も高い山はベン・ホープ(Ben Hope)山 927mです。

 独立峰なので、実際の高さよりも高く見えます。

 距離感が惑わされます。

 何だか蜃気楼でも見ているような錯覚を覚えました。 

 

  

 その先へ進むと、

 川が流れ込む入江に、風を避けて建つ、数軒の民家を見かけました。

 家々の周囲には木立も見えます。

 

 

 走り進む風景の中に小さな湖面が現れ、そのような場所ではハリエニシダが生き生きとした花を咲かせていました。

  

  

 時々対向車と出合いますが、待避スペースで譲り合う程の道幅になっていました。

 

 

 前方に対向車を見かけるとパッシング・プレースに待機して譲り合います。

 相手が先に待避して、その場所でライトをパッシングして「待ってるよ」の合図をくれることもあります。 

   

 

 すれ違う時はお互いに手を挙げて、挨拶を交わします。 ほのぼのとした田舎道の光景です。

  

  

 点在する湖の周囲に羊の姿を見かけますので、全てが牧羊地に利用されているのでしょうか。

  

 光景としてはオホーツク海沿岸の原生花園にも似ていますが、目にする植物の種類は限られていました。

  

 

 

 時に、セイヨウミヤコグサのような黄色い花を見かけましたが、場所は限定されていました。

  

 

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スコットランドの荒野

2012-07-18 16:34:20 | イギリス一周 花の旅

 ジョン・オグローツ(John O'Groats)を出発して西に進路をとり、最北の町サーソー(Thurso)へ向かいます。

 

 とは言っても、私にとってサーソーはナビ上の暫定目的地にすぎません。

 

 湖水地方の失敗の経験から、予定ルートに沿って、小刻みにナビへ目的地を入力することにしました。

  

  

 振り返ると、湾を挟んでジョン・オグローツが見えます。

 

 風もない青い海が、穏やかに目の前に広がっていました。

 

 道路の両側は放牧地です。

  

  

 私はスコットランドの荒野というイメージを勘違いしていました。

 

 私は北海道の釧路湿原や苫小牧周辺の原野のように、人の手が加えられていない、荒れ果てた草原のようなイメージを持っていたのですが、今まで見てきたスコットランドの荒野は殆どが放牧地だったのです。

  

 

  

 一見、人の手が加わっていないような場所であっても、天然の草原ということではなさそうです。

  

 一時間もしないで、サーソー(ガイドブックにはサーゾーと記載)の街に入りました。

  

 サーソーは人口約9千人の町で、1200年代中頃まで、オークニー諸島のノース人に支配されていたそうです。

 

 サーソーという名はノース語で「牛の飲料水」を意味するのだとか。

  

 

  

 街を外れると、海岸添いの道からオークニー諸島のホイ島が見えていました。

  

 オークニー諸島のメインランドには5千年前の集落遺跡があるそうです。

 

 人類が大地の自然に手を加えてきた歳月は、相当長期に及ぶようです。

  

  

 6月のスコットランドの空と海と緑は抽象画のような美しさを見せていました。

  

  

  その抽象画の中に、人々が積み上げた石壁が直線を描いていました。

   

  

 

 

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二つ目の「最初で最後」

2012-07-18 14:15:47 | イギリス一周 花の旅

 ウイック(Wick)からイギリス本土最北の地、ジョン・オグローツ(John O'Groats)まではもうすぐです。

 似たような光景の中に道は続きます。

  

  

 路傍にハマダイコンの花が咲いていました。

  

  

 そして、その先に火を放たれた荒野が、黒い姿で丘をなしていました。

  

  

 一見して、人の手が加えられていないように見える大地も、実は家畜を飼う人が管理する場所だったのです。

  

  

 火の放たれた放牧地にハナダイコンの咲く道が伸びて、

  

  

 やがて、前方に青い海が見えてきました。

 遠くに島影が見えます。

 

 

 そして、6月20日 11AM イギリスに来てから丁度一週目にして、イギリス本土最北端の地ジョン・オグローツに辿り着くことができました。

 

 海を背にした標識には「ランズエンド 874マイル(約1400km)」の文字がよみとれました。

  

  

 ここからは北のオークニー諸島へ渡るフェリーが出ています。

  

 その、フェリー乗り場の受付の窓ガラスに「ファースト&ラスト(最初で最後)」の文字が見えます。

 

 

 ムムム、その文言は何処かで見た記憶があります。

  

 そう、そう、ランズエンドのセネン村にある「イギリス最後の宿」に掲げてあった看板と全く同じフレーズです。

  

  

 そうなんですか。

 はからずも私は、イギリスの「最初で最後」の二か所の地に立てたことになります。

  

 日本に例えれば、鹿児島の佐多岬と稚内の宗谷岬の間を走りきったようなイメージでしょうか(絶対距離は倍以上違いますけど)。

  

 

 一種の達成感に包まれ、私は何とも言えない至福の時を味わっていました。

   

 

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北の町 ウイック

2012-07-18 12:46:04 | イギリス一周 花の旅

 ウイック(Wick)の街に入りました。

 ウイックとは北欧語の「vík」(湾)に由来し、以前は鰊漁の町として栄えたそうです。

  

 

  

 思っていた以上に大きな街でした。

 ウイック川の両側に、人口7千人強の市街が広がっていました。

  

 

 

 ゴミ一つ落ちていません。立て看板も目につきませんでした。

 商店街やパブが立ち並んだ一角がありました。

  

 

   

 スコットランド教会 ウイック・セントファーガスは2009年に2つの教会が合併してできた、新しい教会のようです。

  

  

 なだらかな坂の先で、川が河口となる場所に港が築かれていました。

 しっとりと落ち着いた雰囲気で、好感の持てる街です。

  

 

 

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大地と雲の表情に心奪われる

2012-07-18 07:51:14 | イギリス一周 花の旅

 今回のイギリス旅行は二年越しの企画となります。

 昨年、アメリカを車で横断しましたが、当初はイギリス旅行を考えていました。

  

 しかし、イギリスは植物園やガーデン、その他の史跡などが多く、事前の調査が間に合いそうもなかったので、「アメリカ大陸横断 花の旅」というシンプルな目標へ変更した経緯があります。

  

 アメリカは車で横断したので、今度のイギリスは自転車で巡るアイデアも本気で検討しました。

 

 しかしイギリスは、比較的に治安は良いほうですが、盗難には十分な注意が必要なようです。

  

 ネットで検索したホームページやブログで、イギリス自転車旅行で、タイヤだけ盗まれたとか、写真を撮ってる1~2分の間に、停めておいた自転車ごとなくなった等々の記事を読んで、「自転車で旅して、植物園に寄って花の写真を撮る」などという計画は、肉を背負ってハイエナの群れに飛び込むようなものだと諦めました。

  

 そんなですから、車を運転していても、「ここを自転車で走ったら、どんなだろうか」と、ついつい考えてしまいます。

  

 

  

 ブローラ(Brora)の街を過ぎたあたりで、前方に低い丘のような地形が見えてきました。

  

  

 緩やかな坂道を登って行きます。

 車なら何でもない道路ですが、自転車だと、こんなふうにタラタラと続く坂道は嫌でしょうね。

  

  

 道路の左斜面いっぱいに黄色いハリエニシダが咲いていました。

 右下の斜面にも繁茂しています。

  

  

 道路のすぐ横を鉄道が並走しています。 

 この鉄道はヘルムズデール(Helmsdale)から内陸へ入り、北の外れで二つに分かれて一本はサーゾー(Thurso)へ、そしてもう一本は、再びこちら側の海辺の町、ウイック(Wick)へと繋がっています。

  

  

 自転車だと辛そうなアップダウンを繰り返し、道路は海岸線に沿って続いて行きます。

  

  

 海は穏やかで、これが海なの? と思うような不思議な静けさで広がっていました。

  

  

 平坦な場所では、道路のすぐ横が牧場です。

  

  

 そんな道を走り続けて、

  

  

 大地と雲の仕草に心奪われながら、果てない空の下を、北へ向かって走り続けました。

 

  

   

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ハイランドを一周します

2012-07-18 07:35:13 | イギリス一周 花の旅

 インバネス(Inverness)を朝8時に出発しました。

 

 もっと早く出発したかったのですが、ホステルのフロント業務が朝8時開始なのでチェックアウトが遅れました。

  

 でも、御蔭さまで、たっぷりの休養もとれて、体調は万全です。

 

 時間つぶしに、朝のインバネスをお散歩する時間も持てました。

 

 おまけに、今朝はピカピカの快晴です。

  

  

 今日の予定はスコットランド最北のハイランドと呼ばれる地域を、海岸に沿って一周すること。

 

 それだけです。後は何も考えていませんでした。

 

 何しろ、ガイドブックにも殆ど情報が記されていないのです。

  

 海沿いに、道路がぐるり通じていることは地図で確認しましたが、ルート上に町らしきものが殆ど見当たりません

  

  

 まずは幹線道A9を海岸に沿って北東へ進みます。

 

 当面の目的地はジョン・オグローツ(John O'Groats)

 

 絶好のドライブ日和です。

 

 道路の両側には緑の牧草地が続き、牛がのどかに陽を浴びていました。

 

 この辺は、羊ではなくて牛が放牧されています。

  

  

 信号も交差点もない道が真直ぐに、白い雲の浮かぶ彼方へと続いていました。

  

  

 時折、小さな町に入りますが、つかの間に通り過ぎます。

 

 北海道の名寄から稚内への国道を思い出しました。

 

 雰囲気がよく似ています。 

  

  

 それにしても、イギリスは全国津々浦々、何処へ行っても家は全て石造りです。

 

 実は、現在進行形でログハウス建築の計画を進めており、今回の旅で色やデザインの参考となる民家を見たいと期待したのですが、全くの思惑違いでした。

 

 

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インバネスと東中野の関係

2012-07-17 22:05:53 | イギリス一周 花の旅

  ホステルのPCで、旅の無事をSNSで発信してから、街へ出かけました。

  

  

 街の真中を、ネス湖を源流とするネス川が流れます。

 

 この川は全長約10kmで、ヨーロッパ最短の川だそうです。

  

 情感溢れる趣で、インバネスの街が川面に陰を落としていました。

  

 川に沿って散策しました。

  

  

  街を歩くと、居ました、居ました、キルトの小父さん。

 

 許可を頂いて、シャッターを押しました。 

 

 快くポーズをとってくれました。

  

 

  

 その後、インバネス城へ行き、城の高台から川を見下ろし、

  

  

 街の繁華街へ戻り、レストランを探しました。

  

 昨日はステーキでしたから、今日は何にするかと店を物色していると、インド料理店を見付けたので、入ってみました。

  

  

 こざっぱりとした、清潔な店です。

 

 クレジットカードが使えるかを確認し、メニューを見ましたが、

  

  

 CHILLIってなあに?

  

 ウエイターを呼んで、「お米が食べたい、カレーが食べたい」と相談しました。

 

 ウエイターは「標準的な味が良いか、スパイシーな味が良いか」と聞きましたので、「スパイシーな味」と答えました。

  

 そして、「最初にビールを持ってきて」とも。

   

 

  

 久し振りのご飯。 カレーも本格的です。 Very good! ベリー 美味い!

  

 ウエイターに 「美味しい! 満足です」と伝えると、彼もニコニコです。

 

 そして、「日本の方ですか?」と日本語で尋ねられました!

 

  「 +!+ 」 !

 

 

 「 え‐‐‐‐ぇ 何で、日本語が話せるんですか!」 

 

 「はい、4年間、東京の東中野で仕事をしていました」

 

 「オォ~~、そ~なんだ!」 「日本はどうでした?」

 

 「みんな優しくして、とても良かったです」

  

 まさか、まさか、スコットランドのインバネスで東中野の話をするとは思ってもいませんでした。

  

6月19日の位置

 

 

 

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一泊1300円のホステル

2012-07-17 13:14:17 | イギリス一周 花の旅

 16時半頃インバネス(Inverness)の街に入りました。

  

  

 街のバスセンターのすぐ横にホステルを見付けました。

  

  

 この時分かったのですが、ホステルのようなバックパッカーの若者達などが主なゲストの施設は、駅やバスターミナルなど、交通の便が良い所にあるようです。

  

 無料の駐車場も目の前です。

 昨日の経験から、私はベッドに入った途端に眠ってしまうので、ベッドさえ確保できれば、それ以外のことはあまり気にしませんでした。

 ところが。

  

  

 受付で手続きを済ませ、請求された料金は10ポンド。

 え! 10ポンド! なんと一泊1300円です。 

 

 しかも、街の中心部にあって、インターネットは無料、部屋も明るくて、自炊できるキッチンなども備わっています。

  

 割り当てられた部屋に入って、更にびっくりしました。

  

 先客にドイツ人らしき、若い女性が居て、ベッドの上でノートPCを操作していたのです。

  

 部屋を間違えたかと思って、ルームナンバーを再確認しましたが、間違いではなさそうです。

  

 「ハ‐ィ」と挨拶して、空いているベッドに荷物を置くと、早速シャワールームへ。

  

 熱いお湯を全身に浴びて、これがまた至福の時です。

 しかもまだ17時を過ぎたばかり。

  

 「何だか、ものすごく贅沢だな~」と、思いました。

 人間の価値観なんて、所詮こんなものでしょうか。

  

 え! これを贅沢と思うのは、私だけですか?  

  

  

  

 ラウンジのPCの空きを待って、ネットにアクセス。

 まずはウエブメールを確認します。

  

 次にフェイスブックを開いて、コメントを記入しました。

 次男がわざわざ、フェイスブックで私をさがして、友達リクエストをくれていました。

  

 みんなが心配してくれています。  本当にありがたいことです。  

  

  

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