レイベングラス(Ravenglass)に着いても、はたして山岳道路を通ってアンプルサイド(Ambleside)まで行けるのか確信は持てませんでした。
しかし、もし何処かで通行禁止になっていたとしても、戻って来れば良いだけのことです。
宿を予約しているわけでもなし、事故さえ起こさなければ、男一匹どうにでもなります。
持参した地図を見て、取り敢えず、希望ルート上で一番近いブート(Boot)をナビに入力しました。
何の不都合もなく、ナビに到着予定時刻が標示されました。
正面に小高い丘のような峰々がみえています。
両側を丘に挟まれた、農道のような道へ車を進めました。
どの丘の斜面にも、牧草地の境界を示す石壁が認められました。
道路脇には背の高いシダが茂っていました。
何の問題もなくブートに到着しました。
ナビに次の暫定目的地としてハードノット(Hardknott)を入力します。
道は狭くなり、目に見えて標高を上げていきます。
振り返れば、今来た道が牧草地の中に見えています。
この先に道は続いているのか? と心配になる程の幅で、道は斜面を登ってゆきます。
和歌山県や静岡県の蜜柑畑で、農作業用に作られた農道、あるいは、田圃と田圃の間に作られた搬出用の畦道を思い浮かべてみて下さい。
目の前に、農作業用の軽トラックがやっと通れる程の幅の道が続いていました。
斜面は急ですが、全体が比較的フラットなので、路肩を外しても谷底へ転落するような恐怖感はありません。
勿論、脱輪したら無事では済まないでしょうが。
ネパールで標高6千mの峠を越えるバスの映像などから比べれば、遊園地でジェットコースターにでも乗っているような気分です。
もう一度、振り返ってみました。
もうすぐ、ピークに到着します。ハードノット峠でしょうか。
空が綺麗ですね。晴れてくれて本当に良かった。
ピークからは、その先の道が目先の崖の下へ隠れるほどの斜度です。
赤い車の先客が、路肩に車を停めて、景色を楽しんでいました。
それとも、先へ進むのを逡巡していたのでしょうか。
道の横では黒羊が白い顔で、東洋から来た、物好きな観光客を見つめていました。
そうなんです、この辺り一帯は全て牧羊地なのです。
湧き水が流れる、簡易舗装の道を更に谷へと下って行きます。
谷の底にポツンと一軒の農家が見えてきました。
その先に見える峠が多分ワイノーズ峠だと思います。
農家の横では小川に石橋が掛かり、
白い石の家が木立の横で、ひっそりと窓を閉じていました。
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