どなたかのTwitterで知った『人生フルーツ』
やっと観に行くことができました。
建築家の津端修一さん英子さんご夫妻の
日常を描いたドキュメンタリー。
理念を持って計画したニュータウンが
高度経済成長期の波にのまれて
思った形で実現できなかった津端さんは
ご自分の住まいでその理念を実践なさった。
家が小さな雑木林をもてば
そこは緑に囲まれた街になる。
雑木林と畑と30畳平屋の建物の
なんともすてきな住まい。
「お買い物は人から買います」
「コンビニで買い物ってしたことないわ」という英子さん。
なじみの八百屋さんは先代からおつきあい。
魚屋さんには修一さんから「おいしかった」と
イラスト付きのはがきがたびたび届き
「これに支えられたことがありました」。
お孫さんがおねだりした
『シルバニアファミリーのドールハウスの大きいの』を
「プラスチックのものはよくない」と
木で手作りしたものの(当然ですが)完成度の高さ。
お二人の暮らしようがとにかくすてきでした。
亡くなる直前、
修一さんに精神科病棟の設計依頼がありました。
「心を病んでしまった人に寄り添う」という病院の理念に
建物がそぐわないという思いがあり
ぜひふさわしい建物を環境を考えていただきたい、と。
結局は完成を見ず亡くなられてしまったのだけど
依頼主の関係者の方の言葉が印象に残りました。
「お話した二日後にはおおまかなプランができていました」
「道具もすべてきちんと手入れがされていて
いつでも仕事ができるよう用意をされていました。
ただ求めがなかっただけで」
高齢者イコール現役を引退してしまった人、みたいな思い込みが
せっかくの才能と熱意がそこにあることを
見失わせていたのではないですか、と問われた気がしました。
「高齢者」とか「障がい者」と「外国人」とか
人をある一面でくくった瞬間見えなくなるものがあることを
意識しておくことは大切です。
上映は田端のちいさなちいさな映画館、
CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)
『あん』 上映時には樹木希林さんが舞台挨拶に見えたそうで
そのときのレポートを読んで涙が出ました。
ちなみに『人生フルーツ』のナレーションも樹木希林さん。
津端英子さんと樹木希林さんの対談『居酒屋ばあば』もこちらで上映中。