読書の記録

評論・小説・ビジネス書・教養・コミックなどなんでも。書評、感想、分析、ただの思い出話など。ネタバレありもネタバレなしも。

雷とマンダラ

2008年10月22日 | コミック
雷とマンダラ---雷門獅篭

 たまに、寄席にいって落語やチープな色物を観るのは好きである。その中で「紙切り」は、あれは掛け値なしに見ものだ。僕が中学生の頃、2代目正楽を観たことがあるのだけれど、次々と「花火」とか「お月見」とか「盆踊り」とか「ウルトラ3兄弟」とかつくるのを目の当たりにして、心底たまげた。
 あの「紙切り」ってのはマネできそうでなかなかできない。「ふーん、ハサミじゃなくて紙のほうを回すのか」とか、「必ずしも一筆切りでなくてもいいのか」などとコツをつかんで挑戦してみるのだが、ありゃやっぱ熟練ですね(でも何回か外国人にやってあげた。間違いなくウケます)。

 その紙切りの名人の一人に大東両(だいとうりょう)という人がいた。数年前に亡くなってしまったが、晩年になってこの人、ガンダムのモビルスーツを全部紙きりでやってしまうという芸を極めてしまった。70歳を越えてガンダムに出てくるカタカナを全部覚えるだけでもすごいのに(シャアとかザクとかズゴックとかですよ)、そのすべてのデザインの違いをソラで覚え、しかもそれを全部紙切りで実現してしまい、舞台で客から注文とって即興芸にしてしまうってあなた尋常じゃないですよ(もちろん下書きとか切り取り線とかないのよ)。

 そしたら、その大東両がガンダム紙切りを極めるまでの一連のエピソードがマンガになっていた。それが本書である。若手前座であるガンダムファンの作者が、面白半分にこれ切ってみてよ、とシャアの絵を見せたのがすべての始まりで、そこから夜な夜な勉強してついに全種類をマスターしてしまったらしい。勉強って大事だなあと思う。

 ところで、どうもタイトルに見覚えがあると思ったら、かつて週刊モーニングで連載されていた「風とマンダラ」がいろいろ紆余曲折あってここに落ち着いたらしい。立川流を破門された著者が、名古屋は大洲演芸場に流れ着き、そこでの日々が4コマで綴られている。
 だいたい、寄席演芸場ってのはどこもうらぶれているもんだが、大洲演芸場は最も客の入らない演芸場だそうだ。僕は行ったことはないのだが、今度名古屋にいったら覗いてみるか。

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