読書の記録

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グレン・グールド-孤独のアリア

2008年01月31日 | クラシック音楽
グレン・グールド-孤独のアリア---ミシェル・シュネデール(訳:千葉 文夫)---文庫本

 レコーディングのみでコンサートを一切しない。J-POPでは見かけるがクラシックではかなり稀。そんな異端なピアニストであるグレン・グールドは、その奇矯な言動もあって音楽界のみならずメディア論や社会学、心理学からひきこもり学までやたらに引用され、亡くなって20年以上経つのに全く存在感衰えない。数年前だったか、木村拓哉がオススメするピアニストとしても登場したし、全然音楽と関係ないはずのEsquire日本版の今月号にも出ている。ホロヴィッツもルービンシュタインもこんな現象はおこってない。グールドすげえ。

 ただ、そんなグールドの独特な雰囲気に飲まれてか、グールドを引用する各センセイ方の文章はどれも難解で抽象的なのだ。音楽評論家も精神分析家も社会学者も、どうもグールドを引用するとインテリちっくな発言をしたくなる衝動に駆られてしまうらしい(かつてのニューアカを髣髴させるような・・そういや浅田彰もグールドが好きだったな)。

 私見だが、文学にせよ心理学にせよ、フランス系の学者に特にグールド贔屓が多い気がするのは、彼がカナダ人(フランス語圏)というのも関係しているのだろうか。仏文出身で葉巻とワインが趣味の私の知人(専攻は芸術論(!))も、グールドを語っていたことがある。本書もフランスの心理学者が書いたグールド論。ゴールドベルグ変奏曲と同じく、アリアと32の変奏を模した形態をとっているあたり、山っ気たっぷりで、ご多分にもれずわかりやすくないし、何がわかるというものでもないが、ゴルドベルグ変奏曲より眠くはなりました。

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