読書の記録

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東京の地霊

2016年07月28日 | 東京論

東京の地霊

鈴木博之
文藝春秋

こちらは再読。

ポケモンGOの狂騒に、もちろん自分もダウンロードしてやってはみてその中毒性は感じつつも、いっぽうなにか空疎な気もして考えたところ思い当たったのがこれ。私有地への無断侵入とか、様々なマナー違反とかネガの側面もおおく指摘されているが、このゲームはモンスターを随所から集めるゲームではあるが、実はその「場所」に対しての敬意が全くないのである。

新宿御苑や錦糸公園がレアなモンスター獲得の聖地になっているいっぽうで、この地に本来ある歴史や民俗誌や記憶はいっさい無視されている。本来、その土地にはその土地ならではの人類と自然の長い歴史があり、それが様々な形象や伝承となって今日に継がれている。

このゲームも、もう少しこういったその土地が持つ物語を汲んだものにすれば、モンスターだけでなく、その土地への興味や敬意を払う、文化的にも優良なコンテンツになるのではないかと思う。

 


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