ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「ダーウィンと出会った夏」 

2023-05-13 | 読書日記

「ダーウィンと出会った夏」(ケリー著 20117刊)を再読しました。

1899年のアメリカに住む少女キャルパーニアは11才。
南北戦争から30年あまりたった時代だ。
父は綿花工場を経営する人で
キャルパーニアには兄が3人と弟が3人いる。
たった一人の女の子であるキャルパーニアには
母の期待が集中している。
南北戦争のせいで社交界デビューしないまま結婚した母は
キャルパーニアに料理や裁縫を仕込み
ピアノを習わせ
美しく着飾らせて
社交界デビューさせたいという夢があるのだ。

キャルパーニアは1899年の夏
祖父と出会ってしまう。
それまでも祖父は家にいたのだが
兄妹たちと関わることなく暮らしてきた。
研究室にこもり
何かをしているのだ。
その何かが自分の大好きなことだと気付いたキャルパーニアの世界は
一気に広がっていく。

昆虫、植物、動物…
観察し、採集し、標本を作る
祖父から科学話を聞く
祖父と語り合う
そんな日々に
母の夢が入り込んで来る
編み物、刺繍、料理、ピアノ……
キャルパーニアには興味の持てないことばかりだ。

キャルパーニアがパイ作りを習っているのを見て
末っ子のジム・ボーイが「ぼくも習っていい?」と聞くと
母は答える。
「男の子はパイを焼かないのよ。
作ってくれる奥さんがいるからよ」
キャルパーニアは思う。
わたしにも奥さんをもらえる方法はないかしら?

現代にも在る課題が描かれているけれど
11才の少女らしい
一喜一憂ぶりが
リアルで細やかです。

何度読んでもいい作品です。

 

 

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