ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

「異彩を、放て。」 ヘラルボニーのものがたり

2023-05-28 | 読書日記

「異彩を、放て。」(松田文登 松田崇弥著 2022年10月 新潮社刊)を読みました。

テレビ番組で見たことのある「ヘラルボニー」のことを
もっと知りたくて読みました。
ヘラルボニーは
知的障害者のつくったアート作品を
ネクタイや傘にしたり
工事現場の囲い(仮囲いアート)を飾ったりする活動をしている会社です。

会社を立ち上げたのは
松田文登さんと松田崇弥さんというふたごの兄弟。

2人には知的障害のある兄がいる。
兄を特別視する視線をいつも感じてきた2人。
兄の作業所での給料が月1万円なこと……
この社会に違和感を感じていたある日
花巻の「るんびにい美術館」で障害者の描いた絵を見て
崇弥さんは衝撃を受ける。
すぐに文登さんに電話をして
2人は
その絵を織りで忠実に表現したネクタイを製品化する。
そこから「ヘラルボニー」ははじまった。
ネクタイから傘へ
仮囲いアートへ
ラッピング電車
駅の装飾
……

2人は障害のあるアーティストを異彩作家と呼ぶ。
ある異彩作家の家族が言った。
「今年、息子は400万ほどの収入がありました。
年明けには確定申告をすることになります。
私たちが息子に扶養される
という冗談のような話が
現実になる日が来るかもしれません」

2019年
2人は「世界を変える30歳未満の30人」に選ばれた。

 

 

 

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