ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

存在しない女たち

2021-02-16 | 読書日記
話題の「存在しない女たち」(クリアド・ペレス著 2020年11月 河出書房新社刊)を読みました。




著者の意見
というよりは
たくさんのデータを示して
さあ考えてみて
と言っているような一冊です。

以前、人類史モノのテレビ番組で
人類が歩くようになったのは手を使う必要があったから
の例として
オスの人類が
赤ん坊を抱いて待っているメスの人類に
大きな果物を持って来て「あげる」というシーンがあった。
その時感じた小さな違和感……
(後から考えると
メスは待っているだけなの?
赤ん坊を抱えて自分で木の実を探しに行かないの?
ということだったような気がする)

「生物学的にも心理学的にも
さらに社会的習慣の面においても
人類が類人猿とは異なる特徴を備えたのは
すべて太古の狩猟者たちのおかげである」
という論について著者は言う。
「じゃぁ木の実を集めていた女は、人類じゃないとでも?」

「車のハンドルの位置は成人男性用に設計されているし
農機具も女性には大きすぎるものがほとんどだ。
ペンチや金槌がうまく使えない時に
「私には力がないから」と思わずに
女性に合った道具がない
と思う人は少ないだろう」

「ドニソンというピアニスト(男性)は
手の小さい人用の8分の7サイズのピアノを作ったら演奏が一変した。
ピアノに色々なサイズが出来たら
故障によってピアノを諦める人が減るだろう」

「女性に対して何となく偏見を抱いているのは年をとった人ばかりではない。
大学で学生に授業評価をしてもらうと
女性講師に対する評価が厳しい
という結果になる(統計では)」

「まあ現代なので
配慮を忘れない会社もある。
キャンベル社は、従業員の子どものための学童保育があるし
グーグル社は、誕生3ヶ月間、食事テイクアウト用の手当てがつくし
オフィス内にクリーニング店があるので、会社帰りに寄り道をしなくてもいい。
ソニー・エリクソン社では従業員にハウスクリーニング費を支給している。
ニューヨーク.フィルハーモニーでは
新しい団員を入れる時にブラインド審査をするようになったら
女性の新規雇用者が50%になった」
(他にも数字がたくさん出てくる)

などなど
知らなかったことばかり。

「量は質を育てる」とどこかで聞いたことがある。
とりあえず
目に映る場面が
どれも
「男女が混じっている」
ところからはじめるのがよさそうだ
と思った。



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