ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

コンタミ 

2021-02-22 | 読書日記
直木賞は残念だったけれど
本屋大賞にノミネートされた伊予原新の旧作
「コンタミ 科学汚染」(伊予原新著 2018年3月 講談社刊)を読みました。




科学汚染というのは科学実験で、不純物や異物が混入してしまうことだそうです。

主人公は無駄に容姿がいい大学院生の町村圭
圭は指導教官である准教授の宇賀神にこき使われている。
ずば抜けて優秀で
学術誌に何編も論文を発表し
いくつもの学術賞を受賞している宇賀神は
ちょっと癖のある人だ。

宇賀神は同窓生だった桜井美冬を探している。
美冬はスタンフォードでの研究生活を突然打ち切って
日本に戻って
VEDY研究所にユニットリーダーとして入社したという。
(見かけた人がいる)
今は、そこも辞めて
行方不明になっている。

VEDYでは
深海底に生息する酵母を培養してさまざまな商品を作っている。
水質改善、土壌改善、放射能除去に効果がある高濃度酵母液
それを粉末にしたパウダー
体とメンタルを健康にする飲料水
抗癌作用、抗ウイルス作用があるという錠剤……
どれも怪しい商品だ。
なぜ美冬はそんな会社に入ったのか?
(このあたりが、ぞわぞわする)

美冬は生きているのか?

圭はいつの間にか美冬探しにのめり込んでいた……

最初は、何だか癖のある……
と思っていた宇賀神が
ストーリーが進むにつれて魅力的に見えはじめ
その宇賀神が心の奥底に抱いている人美冬
(合コンの相手の若い女性が圭に言う。
「宇賀神さんって、ちょっとおかしいよね。
遊び人を気取ってるけど
理想の女性像みたいなのがあってさ
そんな女いるわけないのに
ずーっと追い求めてる」)
の「不在」の理由が
どうしても知りたくなる
……

伊予原さん
最近は「ちょっといい話」の方に舵を切っているけれど
個人的には
こちらの系統の方が好きです。











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