里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

カラスザンショウ 樹幹のイボ 

2022-11-14 | 日記

大和町西部、林道から分かれて作業道を上がって行くと、南側の尾根に雑木林が広がって
いて、様々な樹種が黄葉しています。斜面を少し上がると、古い道形があってほぼ水平に
山を巻くように東から南へ延びています。20~30年前の作業道でしょうか。
その道形を少し行くと、路肩や谷側斜面にたくさんのイボのある木が何本か生えています。
10年ほど前に観察したことがあり、カラスザンショウという名前だったように記憶してい
ます。サンショウの仲間ですが、樹高15mもの大木になる樹種です。

                              三枚とも2022.11.7撮影

作業道の路肩や谷斜面を探すと、7~8本のカラスザンショウが生えていて、大きさは小
高木から高木までまちまちです。幹にはイボ状の突起がたくさん付いていますが、これは
トゲの痕跡です。小木のうちはタラノキのような鋭いトゲですが、木の生長に従ってトゲ
が落ちて円丘状の突起になり、さらに大木になると横長の楕円丘になります。

樹下を探すと房状の果実が幾つか落ちていますが、小苗は見つかりません。
木が7~8本もあって果実も落ちていたのに、小苗が見つからないのには何か理由があり
そうです。ネット記事で調べてみると、日照が重要な条件になっているようです。
カラスザンショウの種子は寿命が長く、埋土状態で日当たりが良くなるのを待ち続けます。
木々の伐採や土木工事で日当たりが良くなり、建設機械などにより土が攪拌されると、埋
土種子が顔を出し発芽するというのです。
それを裏付けるように、帰路の作業道では新しいキャタピラー跡や、周囲の伐採跡地にた
くさんの小苗が芽を出していました。

                              二枚とも2022.11.7撮影

ミカン科サンショウ属の落葉広葉樹で、樹高15mの高木。雌雄異株。
本州〜九州に分布し、河原や崩壊地、伐採跡地などに自生する。
裸地ができると最初に侵入する先駆樹種。
樹皮は灰褐色。幹や枝に短く鋭いトゲが多い。古くなるとトゲはなくなり、トゲ基部のイボ
状突起だけが残る。若い枝は緑色で、小さなトゲがある。生の枝には強い臭気がある。
葉は互生。枝の上部に集まってつく。長さ30〜80cmの奇数羽状複葉で、葉軸には小さな刺
がある。葉柄は長さ5〜20cm。小葉は7〜15対、長楕円状披針形〜披針形で長さ5〜15cm、
先端は尾状に鋭く尖り、基部は円形。縁には浅い鈍鋸歯がある。
両面とも無毛。裏面は粉白色で全面に油点がある。
花期は7〜8月、枝先に13〜20cmの散房花序をだし、緑白色の小さな花を密につける。
花弁は5個、長楕円形で長さ2〜2.5mm。雄花の雄しべは5個。雌花の子房や花柱は緑色。
萼は5深裂する。果実は3個の分果に分かれる。分果は直径3〜5mmの平たい球形、灰褐
色で油点があり、しわがよる。11〜1月に熟し、各分果は裂開して種子を1個だす。
種子は光沢のある黒色で、直径3〜4mmの球形。



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