「父と子の相克」というテーマのミステリー。警察官である息子と、政治である父。銀座の高級クラブで放火事件が発生。オーナーの女性と容疑者の女が命を失った。警視庁捜査一課の刑事・滝上亮司が、捜査を進めると、背後に政治家である父の存在が浮かび上がる。かつて父を憎み、政治家の父に反発して一度落ちぶれたが立ち直り、警視庁の刑事になった過去がある刑事だ。一見、焼身自殺とみられた事件が実は父との関係が深かった女性も巻き添えになったことから捜査を開始する。地元の静岡県で調査をするたびに父の関与が疑われ、周りの人間が父の政治生命を守るために動いていたらしいが具体的な物証は出てこない。父との直接対面でも立証はできなかった。この物語とんでもないドラック「スヴァルバン」という名の薬の副作用の是非が問題だがそれを無視しても政治の世界の忖度が気にかかる展開。破滅するのは、父か、己か。権力と血脈、信頼と裏切りに翻弄された男たちの物語です。赤とは火事の赤、中国か赤とも思ったが血の赤でした。
2021年5月文藝春秋社刊
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