北海道の家族経営の牧場が繁殖した馬「キタノアカリ」がG1勝利を目指す中での周囲の人間模様を描く。夢は大きく、ダービー制覇だ。灯野摂男の経営する零細牧場「あかり野牧場」で生まれた一頭の馬は、「北の大地に灯りがともれば」と、キタノアカリと名付けられた。中央競馬デビュー以来、圧倒的着差をつけて連勝し、いよいよG1に挑む。広大な町の狭いコミュニティーは、アカリの話題で持ちきりだった。大牧場が席捲するG1戦線で、同世代7000頭超の頂点に立つことなどできるのか、牧場を営む家族、馬産地の仲間たち、零細だが丁寧で優しい調教師、崖っぷちの騎手、多くの想いを背に乗せて、希望の灯りがターフを駆ける。一頭の馬が人の心を揺り動かし、夢舞台へと駆り立てる。システム化された大手にはない、零細牧場の知恵と愛情を精一杯注いだ競走馬の熱い物語。競馬会の裏側を覗いたような物語でした。
2020年9月祥伝社刊
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