読書備忘録

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横山秀夫著「64 (ロクヨン)」

2013-08-19 | 横山秀夫
警察庁長官による、時効の迫った重要未解決事件「64(ロクヨン)」視察が1週間後に決定した。
たった7日間しかなかった昭和64年に起きたD県警史上最悪の「翔子ちゃん誘拐殺人事件」とは昭和64年1月5日にお年玉をもらってくると言い残して昼過ぎに自宅を出た雨宮翔子は、近くの親類宅に向かう途中、忽然と姿を消した。
身代金2千万円を奪われ、雨宮翔子は無残な死体で発見された。
犯人不詳。昭和64年に起きたD県警史上最悪の誘拐殺害事件だ。
長官慰問を拒む遺族。当時の捜査員など64関係者に敷かれた謎の緘口令。
刑事部と警務部の鉄のカーテン。謎のメモ。長官視察の日に一体何が起きるのか?
D県警に訪れた史上最大の試練! 組織対個人。やがて、刑事部と警務部が全面戦争に突入。
結婚をして、1人娘もいる父親でもあるD県警で刑事から転属されて広報官・三上義信が主人公。
三上の家族に起こったある事件と14年前の未解決誘拐殺害事件を軸にして、物語は緩むことなく次々と展開していく。
広報・三上には己の真を問われる事態だ。全編に渡り緊張感が張り詰め、三上の息遣い、叫びが聞こえてくるかのような迫力で展開される。
警察職員26万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の仕事です。神の手は持っていない。それでも誇りは持っている。一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。
「持ち場に戻れ。明日のために今日を費やすのは愚かなことだ」「今日は今日のために、明日は明日のためにある」(P299)
捜査ミスの隠ぺいと組織間対抗軋轢、刑事部と刑務部との確執の中、それぞれの多くの登場人部達がキャラクターごとにそれぞれの思い主観と客観の絶妙なバランスで語れる、647ページ密度の濃いストーリーにぐいぐい引っ張られ読まされた。
見事な展開、重厚感溢れる作品で読み答え充分でした。

2012年10月 文藝春秋刊

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