「いかにも嘘臭い私小説・・・明らかに嘘なのだが、嘘がいつの間にか切実なものを映し出しているような私小説」(P32)
女同士の友情に嫉妬する男の心情を綴った私小説表題作と「変態月」2つの短編が収録されている。
男友達もなく女との恋も知らない変わり者の45歳の中年小説家・本田の心を捉えたのは、レズビアンの親友・七島美野の女同士の恋と友情。女たちの世界を観察することに無上の悦びを見出す本田だが、やがて欲望は奇怪にねじれて・・・。
10歳年下の女友達・七島とルームシェア・同居して三年が経つ。七島は思わせぶりな同僚・寒咲(かんざき)に振り回されており、その相談役として本田は充足していた。しかし七島にヒサという女友達ができてから、二人の関係は変わっていく。
互いに性的な興味を持たない2人の生活は、これまで均衡を保ってきたのだが本田は七島とヒサとの友情に嫉妬し、電話での二人の生々しい会話を聞きたくて仕方がない。ついに七島の部屋に盗聴器を仕掛けることを思いつき実行する。
タイトルでもある奇貨とは『「奇貨居くべし」の「珍しい品物や人材」』(P84)という意味。
『後で利益をもたらすようなもの』という意味もある。
男と女、女と女の交歓を繊細に描いた友愛小説は飄々としたユーモアに満ちていました。
2012年8月新潮社刊
女同士の友情に嫉妬する男の心情を綴った私小説表題作と「変態月」2つの短編が収録されている。
男友達もなく女との恋も知らない変わり者の45歳の中年小説家・本田の心を捉えたのは、レズビアンの親友・七島美野の女同士の恋と友情。女たちの世界を観察することに無上の悦びを見出す本田だが、やがて欲望は奇怪にねじれて・・・。
10歳年下の女友達・七島とルームシェア・同居して三年が経つ。七島は思わせぶりな同僚・寒咲(かんざき)に振り回されており、その相談役として本田は充足していた。しかし七島にヒサという女友達ができてから、二人の関係は変わっていく。
互いに性的な興味を持たない2人の生活は、これまで均衡を保ってきたのだが本田は七島とヒサとの友情に嫉妬し、電話での二人の生々しい会話を聞きたくて仕方がない。ついに七島の部屋に盗聴器を仕掛けることを思いつき実行する。
タイトルでもある奇貨とは『「奇貨居くべし」の「珍しい品物や人材」』(P84)という意味。
『後で利益をもたらすようなもの』という意味もある。
男と女、女と女の交歓を繊細に描いた友愛小説は飄々としたユーモアに満ちていました。
2012年8月新潮社刊
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