読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

桐野夏生著「夜また夜の深い夜」

2016-06-15 | 桐野夏生
舞台はイタリアのナポリ。主人公は舞子と名乗っているが本名も知らず、整形を繰り返す母親とアジアやヨーロッパの
都市を転々とする小学校までしか出ていない少女。
母は罪を犯し日本から逃げだしたらしい。4年前からナポリのスラムに住み着いた。
国籍もIDもなくもちろんパスポートもない。父親の名前も自分のルーツもわからない。
ある日、母と口論し外に飛び出すと「MANGA CAFÉ」と書かれたチラシを手にする日本人の男に呼び止められ、
誘われままそのカフェで漫画を読む楽しみを覚え夢中になる。
舞子は家にあった雑誌で「七海」という女性に親近感を抱き手紙を書き始める。
七海宛の手紙を通じて舞子の暮らしぶりや思いが語られる形式で物語が展開される。
やがて家出した舞子はエリスとアナという地下に住む女性と出会いサバイバル生活に入っていく。
エリスもアナも興味あるキャラで可哀想な舞子の生末と相まってはるか異国に住む可憐な少女の物語にぐいぐい引き込まれた。
後半何故逃げているのかがわかり彼女たちのその後のサバイバルを通じて難民問題や貧困格差、
アイデンティティ・宗教問題などいろいろ考えさせられた。
2014年10月 幻冬舎刊

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