読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

小島正樹著「十三回忌」 

2009-03-14 | か行
舞台はある静岡の素封家一族の宇津城家、当主の妻が不審死を遂げたが、警察はこれを自殺として捜査を打ち切ってしまう。それがそもそもの始まりだった。屋形で行なわれた一周忌には「円錐形のモニュメントに真上から突き刺さった長女が」、三回忌には「首を切られた次女が木に括りつけられて」、七回忌には「唇だけ切り取られた三女が」…と忌まわしい殺人が続いていくが犯人は解らずじまい。そして12年後十三回忌を迎える。厳戒態勢のなか、やはり事件は起こったのだが・・・・。
突込みを入れたいところは沢山あるが細かいことは気にせず、このミステリーのために設定された設定空間に酔いしれて最後まで付きあうことそして作者の意図通り綺麗に騙されること。
プロローグと幕間の語り手となっている犯人らしき手記に惑わせられずに読めたら勝てるかも。
靈界から殺された娘の声が館の壁伝えに聞こえたり、鉄仮面の眼がビカッと光ったり、真夏に雪が降って列車の脱線、部屋に蝙蝠が飛んで来て一杯になるわと、一つの殺しに樣々な謎を散り張めてみせる事件の設定は後の騙しの伏線。
人間が人生が描かれていればもっと深みがあるリアル感あるミステリーになっただろうに残念。
2008年10月 原書房刊





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