第6回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。
神戸を舞台した美食ミステリー。
柴山幸太は神戸でフレンチスタイルのビストロを営む新進気鋭の料理人。
妻の友人の木下貴史の結婚披露宴に出席し、新郎貴史の祖父である中島という老人と知り合いになる。
幸太が中島と知り合った翌日神戸ポートタワーで一人の男性の刺殺体が発見される。
捜査に乗り出した兵庫県警捜査第一課の青山は、被害者は木下貴史の父・義明が営む会社の専務でさらには義明も失踪していることを知り・・・。
主人公の若き料理人柴山幸太と、人間離れした味覚を持つ料理評論家中島の交わす会話の印象は流石元料理人著者自らの料理や味覚に対する考えを記述した力の入った部分でしょう。
料理を提供する側からのグルメの味覚、料理描写『的確で魅惑的な食事のシーンを核にした美食ミステリー。』と絶賛の声が上がる一方さほどミステリーの色合いは感じられず、謎の構成が中途半端事件が発生してもサスペンスは無いに等しいし警察捜査小説としても不満足と「このミス」大賞らしからぬ選者の声にも納得が・・・。
私的にはグルメ家でもないので美食シーンより謎解き部分に期待した為、登場人物の特殊性や県警捜査一課の青山の人物の掘り下げが不足しているため感情移入もしにくく題名や表紙のパンダのおかげでパンダを食べる内容かと誤解してしまった。最終行に驚愕のシーンがあるのが唯一◎。
2008年1月 宝島社刊