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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

日明恩著「やがて警官は微睡る」

2013-12-15 | た行
タフガイ刑事・武本と潮崎の活躍を描いた武本&潮崎シリーズ第3弾。
横浜みなとみらいに新規オープンしたホテル、ハーヴェイ・インターナショナル横浜で立て篭もり事件が発生した。
犯人は謎の多国籍グループ。20階のVIPフロアを急襲し、「取引」をしていた客たちにある要求を突きつける。
周辺の携帯基地局も爆破され、異常な事件の連続に大混乱に陥る警察。非番でホテルに居合わせた警視庁蒲田署の刑事・武本は、新人ホテルマンの西島とともに館内を逃げ回りながらも、かつての上司で神奈川県警に所属する潮崎警視と連絡をとり、孤独な戦いを開始する。犯人の双子の兄弟のキャラが面白かった。
警察組織の軋轢やマスコミネット社会などの問題点を示しながら小気味よく展開されて一気に読めました。
2013年2月双葉社刊
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大門剛明著「海のイカロス」

2013-09-18 | た行
ミステリー小説。東日本大震災と原発クライシスをきっかけに、クリーンエネルギーへの注目が高まっている日本。
周りを海に囲まれた日本でも海流を利用する「潮流発電」が、世界に先駆けて実用化が検討されていた。
その第一人者である正岡周平准教授は、真摯に愚直に、研究と実験に没頭していた。
しかし、彼の心には、資金難による研究の行き詰まりで自ら命を絶った、ひとりの女性新居田七美の面影が棲み続けていた。
やがて彼女の死の本当の原因がある男の卑劣な行為で在ったことがわかったとき、哀しみと怒りが塗り込められた、
復讐計画・姿なき殺人を実行する。
一方元検事で今は会社の顧問弁護士、真壁明日菜は事故死として処理された男の娘で小6の芽衣という小さな依頼人からの
真相究明に乗り出す。
「人間のやることに絶対はない。」正岡の鉄壁のアリバイの、安全神話を突き崩して行く過程と、潮流発電研究の第一人者がとらわれた、
復讐心という牢獄から彼を解放して新たな第二の殺人計画を阻止できるのかがサスペンスに展開される。
殺人方法のミステリーとしても面白さよりも潮流発電という聞き慣れないシステム、
又そんな未知なる可能性にかける研究者の情熱のほうが印象に残った小説でした。


 2013年4月光文社刊
コメント (2)
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高村薫著「冷血」

2013-09-09 | た行
双極性障害(躁鬱病)と歯痛持ちの服務経験を持つ男二人が起こした事件を巡って警視庁の刑事が犯罪に至った経緯を含め、人とは何か、なぜ犯罪に走るかを描いた小説。
街にクリスマスソングが流れるころ、歯科医師の一家4人が皆殺しにされる。
犯人は携帯電話の求人サイトで知り合った井上克美と戸田吉生。
二人はいきあたりばったりに盗みに入るが、留守のはずの家人に出くわし一家四人を惨殺、金品を奪って逃走する。
犯罪が起きる前の被害者の日常。犯人二人の出会い。凶行の現場。犯罪の発覚までが丁寧に描かれる。
なぜ殺したのか。明晰に語る言葉を持たない二人に、あの刑事合田雄一郎が警視庁特捜本部の特4にいて医療過誤事件を扱いつつ責任者として対峙する。
膨大な調書を読み、仮説を立てては「否」と打消して思考を巡らせ、二人に手紙を書く。
何本も重ねられた描線によって次第に浮かびあがる二人の男の実像。
なぜいい年をした男が2人、あとさきを考えない場当たり的な犯罪をしたのか。なぜ恨みもない歯科医師夫妻を殺しただけでなく、熟睡している幼い子ども2人を撲殺したのか。
普通のミステリー小説なら終盤に持ってくるはずの犯人逮捕劇は中盤の上巻の最後に書かれて、逮捕は物語の終わりではないのだ。
著者は言う「事件のなぞが解かれた先の、答えの出ない堂々巡りの世界を言葉で編んでいくのが私の仕事だと思うんですよ」
ミステリー警察小説でありながら哲学書とも言える考えさせられる小説でした。
拘留期限内に地検に送致する為に引当たり捜査と供述の裏付け捜査・供述の細部を埋める取調べの上での調書作成と
派手な捕り物後の表に出ない地道な仕事の存在に警察官の苦労を感じた。

2012年12月毎日新聞社刊
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高橋慶著「暗闇に咲く」

2013-09-01 | た行
ホラーファンタジー。従妹・芙美が突然家出し来て母を亡くし一人で営む小さな美容室「アムール」兼用の家に転がり込んで来た。母親・恋人それぞれ愛する者の喪失と悲しみを抱えたまま、一緒に暮らすうちに恋心を自覚した雨森小夏はある日、芙美に信じられない現象が起きていることを知る・・・。
「喪失と孤独にさいなまれた挙句、肉体が人間であることを止めてしまう」(P175)病気に罹った芙美。
芙美の元恋人冬馬によると感染はしないというが・・・。カフカの「変身」を思い浮かべたのだが著者独特の世界観の中で展開される不思議なファンタジー。映画「マタンゴ」の世界かもとも・・・。
物語からいろんな匂いが匂ってくるような記述が多いのが特長。
自殺者毎年3万人以上のこの国でこの現象が起こり始めたらと思った。
『「進化」と「進歩」は違う。「進化」と「退化」は対の言葉でもない。「進化」というのが、人間にとって必ずしも、それまでより良いものだとは限らない・・・辛く悲しい事柄や環境から,ただ逃げるのではなく立ち向かって思考し、良いと思えるほうに変えていくのが、「進歩」なのだ』(P213~214)
2013年幻冬社コミックス刊
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高村透著「くじらの潮をたたえる日」

2013-08-11 | た行
レストラン業の会社でエリア統括監理として働くわたしは、定年間近になって、担当する店舗で起きた食中毒事件の責任を一人なすりつけられ、本部から倉庫へと左遷される。
妻はもう亡くなっているし、自分よりいい会社で働く一人娘香奈恵とはすれ違い生活だし、人生でいいことはもうないのだろうかと悶々とする日々。
マスコミから叩かれ娘が私を見る目にも蔑みの感じがして・・・やがて私は行動にでる。同じように左遷された仲間、「やっさん」「三塁手」とともに、今のどん底の状況を打破するのだ。
尊厳を揺るがす挫折、屈辱、試練、不条理にも、大海原をわたる鯨のように前向きさで立ち向かってゆく、おじさんパワー炸裂「第二の青春」小説。
ファンタジーぽく、小難しい哲学ポイ話しをそれとなく挿入されて村上春樹風をまねた展開がすっきりしなかったのが不満。
2013年6月早川書房刊


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高杉良著「第四権力 スキャンダルス・テレビジョン」

2013-08-09 | た行
小説でなければ書けないストーリー展開でテレビ局の内幕を描いた小説。
主人公藤井靖夫はコネ採用の45歳の経営企画部の副部長で独身。中長期の方針を立案、次世代トップの人事を見ながら、恋と職場と人生を悩む日々を送っている。「社長という一枚しかない座布団」を目指す人間関係に日々悩むのは社長に推すべき尊敬する人物が身ぎれいで、権力志向がないからでもある。
テンポのよい「会話」で形式を多様して小説は展開される。行政・立法・司法の三権を時として凌駕する力を持つ「報道」。
中でも最大の影響力を誇るテレビ業界で、かつて新機軸となる“ニュースショー”を立ち上げ、急成長を果たしたテレビ東日。
親会社である新聞社からの天下りではない、初のプロパー社長最有力候補は、“ダーティS”の異名で呼ばれるいわくつきの人物だった。
社長交代の軋轢に巻き込まれた経営企画部員・藤井靖夫は、広報局長の堤杏子と連携して、人望篤い木戸常務を担ぎ出そうとするのだが。株主である新聞社とのトップ人事での暗闘駆け引き。
ニュースステーション・人気番組誕生の裏側。美しい局アナと幹部のセクハラ。ゴマスリ。
下請けプロダクションへのいじめ等。・・・巨大メディアの奥深くに光を当てた長編小説ですが、あの局のあのことかと連想しながら読めたが感動はなかったのは何故。
2013年5月 講談社刊
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タナダユキ著「復 讐」

2013-07-08 | た行
兄が殺人を犯した加害者家族の妹で逃げるように北九州の小さな町に赴任してきた教師・中井舞子。
最初の登校日の朝、暗い目をした少年、5歳の時双子の弟を殺された被害者家族の中学三年生橋本晃希に出会う。
教室では明るく優等生として振舞う彼をどうしても目で追ってしまう舞子。罪を犯した人間は息をすることさえ許されないのか?刑期を終えて出所して来た兄は自宅で引篭りになり舞子に金の無心をするようになり家族も我慢の限界が・・・。
一方当時18歳未満だったA少年は、少年法により殺人を犯しても数年の矯正期間を過ぎれば社会に戻されることに、週刊誌で「○○事件の犯人は出所している」を読んだ晃希は・・・。それぞれ二人が抱えた闇が、夏祭りの夜、花火ように暴発する。
「死ねばいいと思っていたの・・・でもね。死んでも何も解決しなかった・・・兄はね。最も死んで欲しくて、なのに絶対に死なせてはいけない人だったのよ」(P202)
死刑や少年法、被害者と加害者それぞれの家族等考えさせられた余韻の残る小説でした。
2001年「モル」2008年「百万円と苦虫女」の映画監督として又脚本家としても活躍する著者の小説。
2013年4月新潮社刊
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谷村志穂著「空しか見えない」

2013-06-06 | た行
忘れ得ぬ場所、千葉県岩井海岸。15歳の夏、臨海学校で一緒に遠泳をした男女8人組のバディチーム、“おしゃもじハッチ”。
おしゃもじは、海を泳ぐための命札だった。10年経って25歳になった、佐千に突然届いた「佐千子、義朝が死んだよ」「こんな時期にさ、海にいたんだって」佐々木義朝の訃報。
その輪が一つ欠けてしまったことをきっかけに当時の7人が再会することに。
その中には、主人公・野上佐千子の音信不通になった昔の恋人遠藤のぞむも含まれていた。
当時お世話になった民宿の偲ぶ会に集まった7人は、一年後に再び遠泳をする約束をするのだが。
・・・それは「忘れていた何かを思い出させる」ことに。
著者が実際に岩井地区に訪れ、岩井海岸のすばらしさ、歴史ある臨海学校・遠泳を町ぐるみ、民宿ぐるみで応援する町の古きよき慣習が残っていることに感激し、是非ここを舞台にと執筆したとか。
懸命に一年懸けてプールで泳ぎの鍛錬をする佐千らメンバーにのぞみの病気や骨折や家族の反対等の問題が次々におこりその日を向かえる・・・。
メンバーの個性や心理が丁寧に描かれていて今風の小道具も上手く利用した感動青春小説でした。

2013年4月スターツ出版刊
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高杉良著「エリートの転身」

2013-01-14 | た行
会社人間たちの人間模様、軋轢を扱った4作の短編集。表題作『エリートの転身』は部下の不祥事によって退職に追い込まれたエリート証券マンが選択した第二の人生“チョコレート職人”への道のりを綴った男の話。
自社の未来に絶望感を抱いていた42歳のエリートサラリーマンが、ある企業の紹介記事に惹きつけられた。
彼は思いきってその会社の社長に手紙を出した・・・『エリートの脱藩』。
エリート商社マンとして順風満帆な日々を送っていた男が突然支店に左遷させられることに。やがて、この人事の背後に潜む“闇”にたどり着くが…『民僚の転落』。
派闘争いから懲戒解雇の脅しをかけられたエリートサラリーマンが身の潔白を明らかにするため壮大な闘いに立ち上がる・・・『エリートの反乱』。
書かれた表題作以外は1970年代80年代の為時代背景がいささか古い、大企業のエリート社員の話が中心。
下層の一般的な社員の話しがなくガッカリ。
其々主人公の家庭の妻の役割が透けて見える。
2012年6月光文社刊

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蝶々著「瑠璃色」

2012-12-31 | た行
新進気鋭のジュエリーデザイナー・真行寺るり子と、たくましくいつも新鮮な野菜を届けてくれる親友の亜子やジュエリー工房の瀧川女流歌人の万葉など個性豊かな脇役陣の彼女を取り巻く色とりどりの人間関係が織りなす、ドラマティックな超・恋愛小説。
「本物の宝石には、女の運命を左右する、何らかの秘めたる力がある――」。
彼女のもとには、さまざまな来歴を持つ美しい宝石が持ち込まれる。その持ち主であるクライアントたちとの出会いを通じて、るり子が目にするのは、女性たちの業の深さ、悲しさ、やるせなさ、そして、それを突き抜けたところに見えるかすかな光明だ。
才能に溢れながらもどこか不器用な生き方しかできないるり子の、美への情熱、心の葛藤、そして波乱に満ちた恋人純とのドラマチックな恋の行方を描き出した恋愛小説。
第1章 翡翠・第2章 ルビー・第3章 イエロー・トパーズ・第4章 パール・第5章 ラピスラズリ

2012年10月講談社刊

この本が今年の読み納め。
今年はオンラインゲームに嵌まり、あまり読書出来なかった。(反省)
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壇上志保著「脱獄者は白い夢を見る」

2012-12-09 | た行
元刑務官作家が書いた女子刑務所舞台の脱獄を軸にしたサスペンス小説。
ある女子刑務所の雑居部屋「七寮六室」で、受刑者が半狂乱になり、突然暴れ出す事件が、立て続けに起こる。
刑務官の結城桐子と看守の小野春香が事件の謎を解こう聞き取り調査中、ある一人の受刑者の存在が浮かび上がって来た。
そしてその模範囚が刑務所の模擬祭典の祭太鼓が轟くなかで脱獄する。48時間以内に脱獄者を確保せよ――
女子刑務所は騒然となった。
異変に気づいていたのは若手刑務官のみ。「白い夢」にアクセス出来る彼女だけが、逃亡先を知っていた……。 
いつ、どうやって破ったのか?逃走経路は、行き先は? 。
他者になりきる祭り「境演」や「夢摘み」というあまり聞かれない題材を、登場人物の人生の逸話に盛り込み、夢と現実の境界が崩れていく過程を、巧みにつなぎながらの物語の展開は現在と過去を行き来し、登場人物の生い立ちを洗い出していく。
脱獄者の一人称と関係者の三人称の視点を取り入れ、閉ざされた空間でもがく人間の心理を描きつつ、受刑者の深層意識に、サイコホラーの要素なども加えて、心の迷宮を生々しく描いているのだが、どこまで夢か現かが解りづらい展開で、ラストも混乱のまま終わったようなので自信の読み込み不足なのか釈然としない読了気分だった。


2012年8月 新潮社刊
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戸松淳矩著「うそつき」 

2012-11-19 | た行
2004年に『剣と薔薇の夏』で第58回日本推理作家協会賞受賞その後の第1作
不動産の営業マンの石館朋也は鎌倉のトンネルで倒れている男を発見する。男はすでに絶命したいたが、動転して被害者の近くに落ちていたメガネとバックを持ち帰ってしまう。
サラ金からの借金返済に困っていた朋也は持ち帰ったバックに入っていた銀行のキャシュカードでお金を引き出すことに成功するが新聞で知った被害者名とは違うカード名に疑問を持った彼は、法律事務所の人間と偽り堂々と被害者宅を訪れ、遺族の歓心を得てしまう。
やがて被害者は勤めの傍ら同人雑誌に参加し、目利きの小説読みとして仲間の信頼を贏ち得ていたことを知る。
物語は,朋也の舌先三寸で生きる嘘に嘘を塗り重ねる危険な綱渡り人生に、「私の苦心の自信作が、外国作家の作品に酷似している」と同人仲間の創作活動にまつわる謎が奇妙に絡まってゆく。
文学同人サークルのメンバーとうそつき青年朋也、二つの世界がつながっていく過程が面白い。バッグを盗んだばかりに、綱渡りを演じる姿に最後まで興味尽きることなく読まされてしまった。
法月綸太郎氏推薦文――「重なりあっているけれど、出会いを妨げられた二つの世界/二つの物語。その狭間に見え隠れする「嘘から出たまこと」の知的アクロバットに魅了された。まさしく小説の愉悦。」

2012年9月東京創元社刊
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高杉良著「破壊者たち 小説・新銀行崩壊」

2012-10-03 | た行
日本振興銀行破綻の顛末「日本の中小企業を救う」という大義名分を掲げた新銀行は、なぜ迷走し、破綻に至ったのか。
今世紀初頭に叫ばれた小泉ー竹中平蔵ラインの構造改革・金融再生のかけ声。
その波に乗り、“ミドルリスク・ミドルリターン”という理念を持つ新しい銀行として船出した新日産興銀行(小説での銀行名)。
貸し渋りや貸し剥がしに苦しむ中小企業の救世主として期待されながら、設立当初から低空飛行を続け、開業からわずか6年で破綻した。その原因を金融界の改革者と謳われた経営トップによる銀行の私物化。
野心むき出しのポストへの固執。検察やメディアへのリークの応酬など自らの金銭欲や功名心に駆られて利権に群がる者たちなど・・・。
実際にあったことをフィクションとして実名に近い名前を用いて描いている為想像して読むのは興味深いが小説としては人物描写が上面で深みが無く無かったことを書けないので盛り上がりにも欠くのは仕方が無いのか。
しかしながら金融庁による日本振興銀行破綻を日本初のペイオフの経済実験として・・・とは、商工ローンや新銀行東京なども描かれていて興味深い。

 20112年3月 講談社刊
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恒川光太郎著「金色の獣、彼方に向かう」

2012-08-29 | た行
樹海に抱かれた村で暮らす大輝は、ある日、金色の毛をした不思議な生き物と出合う。
ルークと名付けて飼い始めるが、次第に大輝の体に異変が起きてきて・・・。
「樹海」と「サンカ」をテーマに、摩訶不思議な存在である鼬のようなモノと直接的にも間接的にも関わった人達の話が
独特の感性で語られる。幻想的な世界に誘い込む表題作他「異神千夜」・「風天孔参り」・「森の神」・「夢に還る」の
短編集。妖怪、モノノケ、精霊など神々の世界に誘いこむホラーファンタジー。
個人的には蒙古来襲を扱った、日本に潜む蒙古人に混じって生きている日本人と、次第に集団を統率していく女の話の「異神千夜」が面白かった。過去にあった日本赤軍事件が思い浮かんだ。
2011年11月双葉社刊

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高嶋哲夫著「タナボタ!」

2012-04-23 | た行
比例区に名前を載せてはいたがまさか当選するとは、今迄プータローだった大場大志(27)がたなぼたで国会議員に当選した。
年収2,200万円、都心の一等地に建つ議員宿舎、JR無料パス、海外視察費190万円等々、数々の特権を手にして歓喜する。
だが、人口3倍の米国より約200人も多い議員数や実働年間200日で欠勤、遅刻自由の勤務体系など、またその特権にしがみついて手放そうとしない選挙最優先の古参議員たちの
政界の実態を知るにつれ徐々に嫌悪感を抱いていく。
そんな時、介護制度にまかり通る不条理な法律の存在を知り党の方針に背いて、「外国人看護師国家試験に対する特別措置法」の議員立法に挑戦することになった。
その前に立ちふさがる先送りしたがる党幹部や非協力的な官僚たちと大志は如何に闘うか・・・。
政治経済の新聞や週刊誌ネタを丹念に読んでいる人にはそう新しい知らないことが書いてあるわけでないし政治家の裏事情も通り一遍のことしか扱っていないが、知らない人には面白いのでは。
リアルな政治家たちだろうという人たちが別名で登場して厭きさせない読後感「爽快」な小説でした。

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