日本の脳研究の最前線を走る医師・本郷を襲った突然の自動車事故。頬に当たる雨、ガソリンの臭い。
同乗していた恋人の無事を確認しようとするが、身体は動かない。そして途切れる意識・・・。
気付けば彼は、一条の光も見えない、深い闇の中に横たわっていた。「誰かいないのか! 」
その言葉は暗闇に吸い込まれるように、返事はない。感覚のない身体、無限にも感じる時間、
徐々に恐怖に浸食されていく精神・・・そんな中、突如、頭の中に同僚の医師の声が響いてくる。
水中を通ったようなくぐもったその声は、闇と時の恐怖から本郷を解放すると同時に、自らの置かれている「驚愕の状況」が解ってくる。
舞台はK大学医学部脳神経外科研究棟三〇五号研究室。脳研究の第一人者の医者である自分が交通事故で
自らのプロジェクトの実験台となり体を失い脳だけが管に繋がれて生かされている状況。
何故か聴覚(空気の振動を感じ取って音状況で聞き取る)だけの存在となる設定。
脳だけの存在となった主人公が人間の本質生死の問題を問い掛けるのだが、α波などの脳波モニターさえ無視の一方通行で
何か物足りない展開だった。
2016年3月河出書房新社刊
同乗していた恋人の無事を確認しようとするが、身体は動かない。そして途切れる意識・・・。
気付けば彼は、一条の光も見えない、深い闇の中に横たわっていた。「誰かいないのか! 」
その言葉は暗闇に吸い込まれるように、返事はない。感覚のない身体、無限にも感じる時間、
徐々に恐怖に浸食されていく精神・・・そんな中、突如、頭の中に同僚の医師の声が響いてくる。
水中を通ったようなくぐもったその声は、闇と時の恐怖から本郷を解放すると同時に、自らの置かれている「驚愕の状況」が解ってくる。
舞台はK大学医学部脳神経外科研究棟三〇五号研究室。脳研究の第一人者の医者である自分が交通事故で
自らのプロジェクトの実験台となり体を失い脳だけが管に繋がれて生かされている状況。
何故か聴覚(空気の振動を感じ取って音状況で聞き取る)だけの存在となる設定。
脳だけの存在となった主人公が人間の本質生死の問題を問い掛けるのだが、α波などの脳波モニターさえ無視の一方通行で
何か物足りない展開だった。
2016年3月河出書房新社刊