メランコリア

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『アタゴオル外伝 ヨネザアド物語』

2012-09-06 15:43:38 | マンガ&アニメ
『アタゴオル外伝 ヨネザアド物語』(メディアファクトリー)
ますむら・ひろし/著者

・・・え゛て思うくらい別人のヒデヨシくんと、
画風はまるでつげ義春さんのように物凄い描き込みよう
テンプラなんて、ジョージ・ハリスンみたいだし(著者いわくロバート・レッドフォードを意識したらしい
『アタゴオル』の原点すぎます

  

リアルな戦争物語から始まって、とても癒し系とはほど遠いけど、
ますむらさんのアナーキーな部分が垣間見れて、これはこれで貴重この上なし。
しかし、『アタゴオル』で銃撃や殺人場面を見るとは思わなかった。。

ガンマンの着ている猫シャツや、返事の「ニャ!」とかは可愛い
訛ってるのは山形弁???
ヒデヨシくんの「目をつぶった顔」と「目を開けた顔」がまったく同じなのが爆
340ページの本棚には、なぜかさり気なく「スミレ博士」の著作が置いてあるしw


  

途中から急に画風が激ゆるに変わったのにも理由があったのね。
著者自身による2004年の文庫本にする時点での「回想録」を読みながら、
また本編を読み返すと、さらに味わい深い。

  



【本編抜粋メモ】

▼母なる大地の子どもたち
「初めてビートルズを聴いた時、これは何かあるぞと思ったんだ。
 毎日毎日聴いてるうち、俺の心の中にジョンの言葉が染みこんできて、
 そして俺も決めたんだ“9時から5時までの人生なんてまっぴらだ”

▼霧にむせぶ夜
「われわれは皆、他人の不幸を平気で見られるほど強い/ラ・ロシュフコオ」

「地球上のあらゆる生物の中で、もっとも欲の深い奴は誰もが分かっているように人間であります。
 奴らはまだ使えるものを捨てるほど欲が深く、一つで間に合うものを二つも三つも欲しがり、
 欲のためには仲間でも親でも殺します。
 環境破壊は、製品の大量生産による資源の乱獲とゴミによるものですが、
 それを支えているものは、あのおめでたい一般市民による大量消費なのです」

▼永遠なる瞳の群れ
「今手を当てているこの石がずうっと昔森の中にあった時、
 その周りで起こった出来事を見ているんだよ」

「人間や動植物がいつもユラユラ動いているその中で
 石はただじっとその風景を記憶していくんだよ
 ・・・だからね、この原っぱは“石の図書館”」




【初期回想より】
・『ヨネザアド物語』は、月刊誌『ガロ』を発行していた青林堂に9ヶ月勤めていた時に連載したもの。
・「第五回岩森大地決戦の夜明け」の表紙の絵の一部は、藤田嗣治さんの模写。
・「第七回岩森大地の戦い2」
 ブロンズ社より絵本の書き下ろしを依頼され、悩んだ末、青林堂を辞めた。
 その絵本が『青猫島コスモス紀』となる。
・「第八回再び大桑酒屋」
 “戦場なんか行かないで、温泉に行こう”

・最初に描いた「霧にむせぶ夜」が『少年ジャンプ』の手塚賞に準入選した。
 あらゆる人にとって、故郷の山くらいイイ山はない(うん、こないだもそんな話を自分もした
・「霧にむせぶ夜」を描いたのは、漫画家になりたかったわけではなく、金が欲しかったから
 ちなみに手塚賞の入選作賞金は50万円

・「理科室の地下で」
 はっぴいえんどの大ファンで、バンドを離れてから松本隆さんが、エッセイのイラストを依頼してきた時は夢のようだった。
・「アップル・タウン」
「ラッパ吹きには足がない」=どこの町にもいて、河の前でとやかく言いながら一生渡らない自称表現者を指す。
・「氷山1977」は、見開きの一枚絵を描きたい一心で描いた。やっぱりつげさんの影響を受けていたんだね


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