メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『半落ち』(2004)

2009-10-25 09:50:06 | 映画
『半落ち』(2004)
監督:佐々部清 原作:横山秀夫(「半落ち」講談社刊)
出演:寺尾聰、柴田恭兵、原田美枝子、鶴田真由、樹木希林、國村隼、西田敏行、吉岡秀隆、井川比佐志、田辺誠一、伊原剛志、高島礼子、奈良岡朋子、石橋蓮司、嶋田久作 ほか
主題歌:森山直太朗

半落ちとは警察用語で「一部自供した」と言う意味とのこと。
監督から抑えた演技を要求されたとゆう役者たち。最初の取調べのシーンから緊迫感が張り詰めていて、
最愛の妻を殺した男がその後空白の2日間何をしていたか、なかなか語らず物語を引っ張ってゆく。
元は人情味溢れる優秀な刑事だったって設定が、さらに突っ込んだ内部事情の深み、面白味を加えている。

タイトルもそうだけど警察用語などセリフの中で知らない言葉が多かったのと、警察内での隠蔽工作、
スクープにやっきとなる新聞記者との取引など、けっこう複雑で根の深い問題も多々浮き彫りにされてた。
原作者の横山さんが昔事件などを書く記者だった経験を活かして書いてる。
ほかにも、マンガの原作経験もあるって面白い。


DVD特典は、予告編、ポスター、舞台挨拶、出演者のインタビュー、ロケ地の紹介など詳細が分かる。
特に出演者のインタビューは、撮影当時か公開当時のものと思われ、それぞれが自分の役に溶け込んで
いろいろ考えながら役になりきり、1作ごとに役者も成長してゆくんだなってことまで分かる。
原作者のインタビューにも言われてたけど、役者それぞれの人生、価値観も反映されているんだ。

原田美枝子さんのインタビューで「子どもを持つ母親としては、子どもが自分より早く死ぬとゆうのはなによりツラいこと。殺してくれと頼むのは自分勝手かもしれないけれど、自分が分からなくなってしまっている状況だったら、同じ境遇に置かれた場合自分でもどうゆうか分からない」てゆってたのが残る。
豪華キャスティングもいいけど、原田の姉役に樹木希林てのはちょっと違和感

柴田恭兵は「あぶ刑事」のイメージがあって、当時ドラマを好きでよく見てたからどうしてもダブルw
伊原剛志がカッコよかった
吉岡秀隆は、今作では自身もアルツハイマーの父(元優秀な裁判長)を介護する裁判官役。
そもそも、そんな私情が入りやすい状況にいる人間が裁判に実際関わるだろうか?て疑問だけど。
「魂のない命は命じゃないんですか? それは誰にも裁くことなんかできません!」とかゆうセリフが効いてる。


自分の記憶が消えたり、ふつーに出来てたことが急に出来なくなったりする恐怖ってどれほどだろうか。
以前、大人の芝居『まとまったお金の唄』でも良々演じるお母さんが記憶障害のようになり、
大好きだった伴侶が亡くなってることを何度も忘れては思い出す度に、
亡くなった時と同じ悲しみを味わう辛さを語るセリフが切なかったのを思い出す。

わたしも「魂(自覚・意識・記憶)のない身体はすでに本人ではない」と思う。
ニンゲンも生身だから、限りある命。自分ではそう割り切れてても、本当にツラいのは周りなんだ。
変わらぬ姿なのに、一緒の記憶が欠落してる寂しさ。
「誰のために生きてるか」という質問に、わたしも「自分のため」と答えるけど、
わたしのせいで悲しむ人がいるなら、それはわたしの悲しみにもなり得るだろうから。



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