メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

日本総合悲劇協会『業音』@東京芸術劇場(2017.8.16 ネタバレ注意)

2017-08-17 11:34:45 | 演劇・オペラ
日本総合悲劇協会『業音』@東京芸術劇場(2017.8.16 ネタバレ注意)

出演:
松尾スズキ:堂本こういち
伊勢志摩:杏子
村杉蝉之介:丈太郎
宍戸美和公:財前
平岩紙:土屋みどり
皆川猿時:未井明
宮崎吐夢:克夫
池津祥子:ぽんた
康本雅子+エリザベス・マリー(ダブルキャスト):踊り子

松尾スズキ氏伝説舞台「業音」15年ぶり再演!主演は平岩紙「特別な作品」

“平岩は初演時、芸能界を夢見て上京したものの、体を売ることでしか生きられない堕落した兄妹の妹を演じた。
「今回は主演を務めるが「初演の時、荻野目慶子さんが演じていた役を演じることを
 現実的に考えられる年齢に、自分がやっとなったかなと思います。
 役者として重ねてきた年月を経て、ようやく向き合える役だと思います

 松尾さんの作品の中でも、とっても特殊で、特別な作品だと思います。1つだけ浮いている感じがします。
 荻野目さんの存在がとても大きい舞台で、荻野目さんの空気の中で演じていた感じがします。
 不思議なふわふわした作品というか、特別ですね」”

10月5~7日には「大人計画」初の海外公演となるパリ公演を行う。

※写真は、以前の公演のもので、今回と所々違います










***


今日も雨

少し早めに行って、ミスドで野菜のパスタを食べた



入り口で渡されたチラシの数、重さは今までで最高 図鑑サイズ
早めに会場入りして、見て、そのまま箱に入れて行く人も多いだろうけど
私はじっくり見たいので持ち帰るから、どこにも寄れません

ライヴの告知とかはフェイスブックやらSNSでするようになったのに芝居は紙にこだわるのね
チラシデザインも立派なアートで飾りたくなるけど
大量に捨てられたチラシがすべてリサイクルされますように/願
(気になるものはインスタにアップする予定

席は、Gってことでけっこう近いv 通路も1つ向こうにあるし

始まる前までずっと昭和歌謡が流れていた

「ケータイの電源は切ってください」の注意事項はカヲルさん担当
カーテンコールがないのは残念
ラストが水浸しだったり、ハダカだったりしてバタバタするから?

セットは、現代アートみたいで白で統一
イス、自転車などがランダムにくっついてる
真ん中はカーテンで隠されて、横から出ているわんこが超気になります

上演中の演出効果としては、左上にモニターがあって、
マンガのふきだしみたく今の状況が時々ひと言で出て来る

部長はワイヤー(ハーネス)もありw

音楽で私的にひっかかったのはエゴラッピンが流れたこと

それから、無言でダンスパフォーマンスを見せる妖精みたいな人がステキ
昼の部だったからエリザベス・マリーさんだった
大人計画にこんなに素晴らしいダンサーがいるのだろうか?とビックリしたけど、ゲストなのね

源くんの♪恋 あたりからずっと“ダンス”流行りの日本 これはイイと思う
この芝居も、みんなで歌って踊るシーンが前半に多かったのは楽しい
部長の摩訶不思議ダンスは唯一無二w

そういえば、最初ヒロインが荻野目慶子さんだったことをすっかり忘れていた
この役を50代で演るってスゴイ/驚

紙ちゃんファンとしては、ヒロインで嬉しい いろんな表情の幅を堪能できた
何度も言うけど、本当に肌が白くてキレイ
ベッドシーン、絡み、ヌードまである驚×5000

まあ、出演者のけっこうな人が脱いでるんだけど
ここまで演るかってほど出しきってた

そして、伊勢さんも、かなりブッ飛んだ役で、これも嬉しいv

宍戸さんの声が細くて聞き取りにくかったのは、おばあちゃん役だから?

紙ちゃんはとにかく長ゼリフ!
セリフの中身は、おおよそ今のメディアでは禁止されているような言葉を
敢えて選んでぶちまけてる感じ
タブーも、ハダカも、「芝居」の世界では規制が緩いのか???

珍しく「愛」なんて言葉も連呼してるから、
ちょっとホロッとする方向かと思いきや、それは許さない
重くて複雑怪奇なストーリー

2回、3回と観たら、少しずつ謎が解けるだろうか?
きっと今の時点では、部長が言いたかったことの1/10も受け取れていない気がする

これをフランス人が観て「フランスでも絶対ウケるよ」と言われたってことは
フランスでは、こういう芝居が日常的に観られているということ?!?
それとも、こんなにブッ飛んだ芝居はないから衝撃を与えるよってこと?




あらすじ(ネタバレ注意

(あらすじはざっくりです 私の印象のメモ

交通事故





堂本、財前が見つめる中、フロントガラスに張り付いて頭から血を流している杏子
早く救急車を呼ぶべきだが、先日観た芝居についての話が止まらない堂本

室内の設定なんだけど、大事な場面のセリフだから、役者が舞台ギリに立って、
正面を向いてる、その位置がもう壁も越えちゃってるみたいな話で
「僕はそれを観て勝ったと思ったね」と熱弁する堂本

堂本と杏子は夫婦で、神について論議していて、
瀕死になった瞬間「分かったわ」と言うが、話せる状況ではない

クルマから出てきたのはみどりとアキラ
あまりのショックに上手く言葉が出てこないが、しょっちゅうメールが来ている

(まだガラケーなのは、当時の再演だから?
 それとも、これが昭和の設定だから?

やっと事情を話して土下座するアキラ

みどりは元アイドルだったが、全く売れず、いろいろ苦労して
母親の介護で借金につぐ借金が重なり
それをテーマに介護の曲をCD化して売ろうとしていた矢先とのこと
(紙ちゃんの歌、上手い!

この同情話を疑いつつも、アキラが運転していたことにする堂本
杏子は病院に運ばれるとそのまま植物状態になってしまう
アキラは捕まる

堂本は、一人にすると自殺しようとしてしまうので、杏子がずっとそばについていた
その他にも、丈太郎と財前がついている

丈太郎は幼い頃、孤児で、ちょっとした超能力が使えて、
孤児院の子どもを全員自分のコピーにしていた
自分がホモ(ゲイとは言わない)だということを自負している

財前は元ホームレスのおばあちゃんだが、丈太郎のコピーもしている
歳のせいで23時になるとパッタリ寝てしまう

杏子がいないと堂本は自殺しかねないから、みどりと無理矢理結婚させる



克夫(兄)は宇都宮では絶大な人気で、上京したらキアヌ・リーヴスの吹き替えがやりたい
ぽんた(妹)はその夢にのっかってみたものの、東京では全然見向きもされないことにショックを受けた
(ちなみに財前のイチオシはジャック・ニコルソン

借金を返す金を作るために克夫とホテルに来て、3万円もらうつもりが
「3万円貸す」と間違ってメールしてしまったみどり



アキラは、みどりの借金取りだったが、情がうつり、すべての借金をとりまとめながら
歌手のマネージャーも兼ねている
この兄妹を東京でスターにしてやるとウソをついて仲間にし、2人の金をかすめ取って借金返済にあてる


ぽんたは売春をしてエイズに罹り、兄は芸能事務所の保険に入る話がウソと分かり、
丈太郎の相手もさせられ、コピーも務める

ぽんた:もっと客をとって、みんなに病気を感染すことが私のテロだ!


丈太郎に母の遺体を遺灰にされ、みどりは子どもを身ごもるが、堂本の子かアキラの子か分からない
幸い、どちらもA型だから、バレないかもしれない

杏子との間に子どもはなく、今は植物状態のため、赤ちゃんを過剰に可愛がる堂本
だが、自分の子以外は全員どうなっても構わないと豪語


突然、杏子が帰ってきた(実は杏子のフリをしているアキラ 徐々に洗脳してきた
「ちゃんと私を愛していたかい?」と執拗に堂本に問いかける

やたらと鳴るケータイを割って食べ、みどりにも食べさせる ケータイが世の中を毒しているという杏子
神について分かったのに、忘れてしまったのは、病院に自分の脳が残っているせいだから
みどりにとってこいと命令する


みどりは「堂本さんとデートがしたい」と頼み、15分間だけと約束して病院に行くと
植物状態の杏子がいて混乱する

丈太郎が殺そうとするが、それは杏子に化けたアキラ
本物の杏子はトイレの中

みどりは食べ慣れないケータイを食べたせいで、モーレツにトイレに行きたくなる

杏子から事故の時ひらめいた「神とは何か?」の答えを教えてもらう代わりに
一番大切なものを奪われ、自分の産んだ赤ちゃんに母の遺灰が降る

けれども、自分の子どもより、堂本との15分間のデートのほうが大事だと気づき
家に戻ると、堂本はもう風呂場で手首を切っている

財前:
湯の中につけてないから大丈夫だよ 私はもう限界だ
自分の時間が欲しい 市内プールで泳いだり、フラダンスをしたり・・・

と夢を語るが、アルツハイマーとなって街を彷徨って、やはり家に戻っていた


みどり:5分でいいからデートして!

そこにもう救急車が堂本を迎えに来て、一人になるみどり
以前、堂本から「神や魂を信じるか?」と聞かれた時

みどり:
電車に乗っていた時、女性と思われる人がいて、全身ケロイドだった
大勢の子どもが遠慮なく見つめ、女は肉体だけを残して、車両を移った気がした
それが魂ではないかと思う


自分もこれからその女と同じ運命をたどると話すが
「この話を信じたの?」と客席に問いかける

根っから金遣いの荒いみどりは、これからも借金をしながら生き続けるのかもしれない


堂本が以前、糞の中にもDNAがあるだろうと話したことから
「これが神かもしれない」と自分の糞を渡すみどり
みどりのお尻から光があふれ、音楽も流れる


ラストは、部長以外みんな歌って終わったんだっけ?
自分で書いていてもサッパリ分からないけれども
途中、途中、大人計画らしい笑いがあって、何度も吹き出した

でも、同じ大人でもクドカンの芝居は、ラストにほっこりするもの、笑っておしまいっていうのもあるけど、
部長のテーマは、前半笑いがあっても、どんどん重くなっていくんだよね それを終いまで観る覚悟が必要

ラストの爆発音とか、最近、大きな音も苦手だし
こないだの園監督の映画みたく、観た後に、動物の動画を観たくなる系の余韻を引きずる
それでも、また観たくなるのは、私の中にも同調するなにかがあるのかもしれない







コメント    この記事についてブログを書く
« 『三つの月』(2015) | トップ | 第55回目 全国戦没者追悼... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。