2000年初版 清水奈緒子/訳
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
絵本のような横書きの左開きが久しぶりでちょい読みづらい
『女性に贈る読書の花束 1』とあるが、その後、2、3の情報がなかった
【内容抜粋メモ】
■はじめに スティーブン・W・ハイネス
「私は自ら努力する女性を応援したいと思います
それが女性の問題を解決する最良の方法だと考えるからです」
ルイザが『小さきもの』という雑誌を作りはじめたルークン家の
キャリー、マギー、ネリー、エマ、ヘレンにあてた言葉
5人はマサチューセッツ州の貧しい家庭の姉妹で
『若草物語』のマーチ家の4人姉妹に習ってはじめたもの
購読者が千人を超えると、刊行を続けられなくなり
購読者名簿を売却してしまった
ルイザは南北戦争の初期に看護婦として働いていた頃
水銀中毒にかかり健康を損ねたが
ルークン家姉妹に寄せる関心はとても高かった
自身の物語1編に100ドルもの値がついていた時
雑誌『小さきもの』のために物語を書き下ろした
■もの静かな小さな娘
孤児院で育ったパティは、誰かが迎えに来て、ここから連れ出してくれたらいいのに
という切実な思いでいっぱい
以前、ケイティという孤児にお金持ちの親戚がいると分かり
自家用馬車で迎えに来たことがあり
パティもそうなることを夢見ていたが
顔色が悪く、背が低く、片方の肩が上がり、内気な性格の13歳のパティを
欲しがる者はいなかった
重要ではないと思われた出来事が一生の経験となり
見知らぬ者が友となることがある
(この一節は、どこか違う本でも見た気がする
パティ:もう、これ以上耐えられそうにない
というつぶやきを聞いたジェインはワケを聞く
パティは自分の生い立ちと、どんな家事も器用にできると話す
ジェイン:
私の義理の妹のマーリがリジーを引き取るつもりらしいわ
あなたの家族が現れなくても、自分で友だちを作ったり
運を切り開いたりできるはず
先の夢ばかり見て、時間をムダにせず
勇気をもって、1日1日を快適で楽しいものにしていくことはできますか?
パティはその日から、ジェインと暮らす空想にふける
リジーがなまけ者だと分かり、マーリは代わりにパティを引き取る
パティはとうとう居場所を見つけて、世界一幸福だと感じる
その1年後
マーリ家の人たちは親切だが、愛情を示したり、努力を褒める者はいなかった
農場をりきもりする主人ジョージと長男ネッド、妻マーリは忙しく
娘のエラは毎日楽しく過ごしている
末子で足の不自由なハリーだけがパティに心づかいを見せる
エラ:あの子はただの使用人で、うちで施しを受けているのよ
パティは離れた所に住むジェインと文通することで辛うじてバランスを保っていた
一家はクリスマスイブをジェインの所で過ごす
ジェインはパティも来るものだと思っていたが、マーリは留守番を頼んだため
1人で泣きはらしている
マーリ:
私はあの子をとても信頼しているけれども
褒めたりしたら甘やかすだけ
ジェイン:あなたは間違っているわ
ジェインはこれまで文通していたパティの手紙を読んで聞かせる
パティ:
私は感謝している
でも、おやすみのキスをしてくれるだけで、ずっと幸せなのに
マーリ一家は過去の無関心さを償いたいと心から願う
帰宅すると、少年たちにプレゼントを用意しながら
泣いているうちに眠ってしまったパティに優しく接する一家
翌朝、ベッドにプレゼントが詰まった靴下を見つける
「メリー・クリスマス、パティ!」
ジョージ:
一緒に食事を楽しもう
給仕役はいらない 私たちは皆ひとつの家族になったんだからね
エラからはきれいな青い服をもらい
ネッドはパティをダンスに誘う
パティ:私、自分の家族を見つけた気がする
■ティリーのクリスマス
学校の帰り道
ケイト、ベスはプレゼントの話をするが
貧しい家のティリーはクリスマスプレゼントがないと話す
ケイト:お金がつまった財布が落ちていればいいのに
ティリーは道に一羽の弱った小鳥を見つけて、家に連れて帰る
ベス:私のお母さんは、お返ししてくれない人を助けるのは、やりがいのないことだって言ってるわ
ティリー:
私のお母さんは“自分がしてもらいたいことを他の人にもしてあげなさい”と言ってるわ
聖書にも“自分を愛するように隣人を愛しなさい”という言葉がある
私、ときどき、隣りに住むお金持ちが
私の家のことを気にかけてくれればいいと思うの
ケイト:お隣のキングさんは少しも気にかけたりしないわよ
ティリーが家に帰ると、母は何も食べずに、娘にミルクを出す
戸棚の中にはひからびたパンしかない
ティリーは母が薪を割っている間に、学校の友だちからもらったパンを焼き
熱い紅茶を用意する
母:
今夜は早く寝ましょう 薪を節約しないとね
あさっては仕事のお金が入るから買い物ができますよ
その小鳥はあなたへの贈り物を持っていますよ
人生でもっとも尊いもののひとつは善いことをする喜びです
窓に見知らぬ男の顔が見えて驚くティリー
ティリー:窓にカーテンがあればいいのにね
母:
夕方は暗く寂しいから、わが家の光で外を照らしてあげたいの
ここを通る人の気分が明るくなってくれたら嬉しいわ
クリスマスの朝、ポーチに薪がどっさり置かれ
バスケットの中には、欲しいものがすべて入っている
母:クリスマスの天使のうちでも、最も慈しみ深いのは“慈愛”なのよ
メモには“自分を愛するように隣人を愛する小さなおじょうさんへ”とある
ティリーは小鳥が姿をかえた天使なのだと思うが
前日の夕方、キングさんが3人の少女の会話を聞いて置いたのだった
■ローザの物語
ベリンダは馬のローザがまだプレゼントをもらってないと気づいて
納屋に届けにいく
イエス・キリストがベツレヘムの馬小屋で生まれた時
動物たちが静かにしていたため
イブの真夜中から1時間話す能力が授けられたという言い伝えがあり
ベリンダ:ローザが口をきけたらいいのにね
というと、ほんとうに喋り出すローザ
ローザ:
父は名の知れた競走馬でした
私はいい血統、足の速さ、美しさにうぬぼれ、野心家だった
運命を決めた最後のレースに、何千ドルものお金が私に賭けられた
レースの数日前の晩、見知らぬ人がさしだした皿から食べて、毒をもられた
私は勝利か死かと誓って、勝ちました!
でも、毒と、ムリな訓練と、転倒でダメになり
主人は銃殺するつもりだったが、調教師のビルが安い値段で買ってくれた
ビルが亡くなり、病弱なアリスに仕えた
アリスが元気になり、西部へ行き
私は若い将校に買われて戦争に行った
もっとも危険な戦闘に突進し、首に傷を負い、脇腹を切られたが
戦いに勝利し、主人は昇進した
主人は小部隊同士の戦いで命を落とし
次の飼い主はせっかちな若い男で手荒くされたため、振り落とした
今度は馬車馬として売られ、もう少しで死ぬところだった
私は頭を殴られる代わりにニューハンプシャーへ送られ、休むことになった
ある貸し馬屋が私を買い、ベリンダと出会った
ミス・メリーがやって来て、乗用馬を借りたいと言った
彼女は私を完全に理解してくれていると確信しました
痩せこけて、足が不自由で、みすぼらしくても
メリーは愛してくれました
メリーは私の足を洗い、ブラシをかけ、水を飲ませ、毛布をかけてくれた
だから私は死ぬまでメリーのもとで働きたいのです
どうか知らない人の所へやらないでください!
ベリンダ:あなたは立派な馬小屋へ行って世話をしてもらうのよ
ローザ:
食費を稼ぐために何かしたいのです
休養は素晴らしいけど、働かないでいるのはイヤです
ベリンダ:
あなたが話してくれたことを短い物語にして新聞に送るわ
それでもらうお金をあなたの食費にあてればいい
■作品について
ルイザの母は、アメリカで初めて有給で雇用されたソーシャルワーカーの一人
ルイザは個人の努力が変化をもたらすと信じていた
慈善はクリスマス時期の重要なテーマ
自分に与えられたものを受け入れるという善行が
人生に挑戦するよう力づけてくれる
善行そのものが報いであり、魂の幸福であり
謙虚さと偉大さを等しく有するもの
■推薦者について
ハイネスは、作家、研究者、編集者
アメリカのテネシー州で妻娘と暮らしている
本作は長い間忘れられていた子ども向けの雑誌に掲載されたもので
70年以上も気づかれないままだった
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
絵本のような横書きの左開きが久しぶりでちょい読みづらい
『女性に贈る読書の花束 1』とあるが、その後、2、3の情報がなかった
【内容抜粋メモ】
■はじめに スティーブン・W・ハイネス
「私は自ら努力する女性を応援したいと思います
それが女性の問題を解決する最良の方法だと考えるからです」
ルイザが『小さきもの』という雑誌を作りはじめたルークン家の
キャリー、マギー、ネリー、エマ、ヘレンにあてた言葉
5人はマサチューセッツ州の貧しい家庭の姉妹で
『若草物語』のマーチ家の4人姉妹に習ってはじめたもの
購読者が千人を超えると、刊行を続けられなくなり
購読者名簿を売却してしまった
ルイザは南北戦争の初期に看護婦として働いていた頃
水銀中毒にかかり健康を損ねたが
ルークン家姉妹に寄せる関心はとても高かった
自身の物語1編に100ドルもの値がついていた時
雑誌『小さきもの』のために物語を書き下ろした
■もの静かな小さな娘
孤児院で育ったパティは、誰かが迎えに来て、ここから連れ出してくれたらいいのに
という切実な思いでいっぱい
以前、ケイティという孤児にお金持ちの親戚がいると分かり
自家用馬車で迎えに来たことがあり
パティもそうなることを夢見ていたが
顔色が悪く、背が低く、片方の肩が上がり、内気な性格の13歳のパティを
欲しがる者はいなかった
重要ではないと思われた出来事が一生の経験となり
見知らぬ者が友となることがある
(この一節は、どこか違う本でも見た気がする
パティ:もう、これ以上耐えられそうにない
というつぶやきを聞いたジェインはワケを聞く
パティは自分の生い立ちと、どんな家事も器用にできると話す
ジェイン:
私の義理の妹のマーリがリジーを引き取るつもりらしいわ
あなたの家族が現れなくても、自分で友だちを作ったり
運を切り開いたりできるはず
先の夢ばかり見て、時間をムダにせず
勇気をもって、1日1日を快適で楽しいものにしていくことはできますか?
パティはその日から、ジェインと暮らす空想にふける
リジーがなまけ者だと分かり、マーリは代わりにパティを引き取る
パティはとうとう居場所を見つけて、世界一幸福だと感じる
その1年後
マーリ家の人たちは親切だが、愛情を示したり、努力を褒める者はいなかった
農場をりきもりする主人ジョージと長男ネッド、妻マーリは忙しく
娘のエラは毎日楽しく過ごしている
末子で足の不自由なハリーだけがパティに心づかいを見せる
エラ:あの子はただの使用人で、うちで施しを受けているのよ
パティは離れた所に住むジェインと文通することで辛うじてバランスを保っていた
一家はクリスマスイブをジェインの所で過ごす
ジェインはパティも来るものだと思っていたが、マーリは留守番を頼んだため
1人で泣きはらしている
マーリ:
私はあの子をとても信頼しているけれども
褒めたりしたら甘やかすだけ
ジェイン:あなたは間違っているわ
ジェインはこれまで文通していたパティの手紙を読んで聞かせる
パティ:
私は感謝している
でも、おやすみのキスをしてくれるだけで、ずっと幸せなのに
マーリ一家は過去の無関心さを償いたいと心から願う
帰宅すると、少年たちにプレゼントを用意しながら
泣いているうちに眠ってしまったパティに優しく接する一家
翌朝、ベッドにプレゼントが詰まった靴下を見つける
「メリー・クリスマス、パティ!」
ジョージ:
一緒に食事を楽しもう
給仕役はいらない 私たちは皆ひとつの家族になったんだからね
エラからはきれいな青い服をもらい
ネッドはパティをダンスに誘う
パティ:私、自分の家族を見つけた気がする
■ティリーのクリスマス
学校の帰り道
ケイト、ベスはプレゼントの話をするが
貧しい家のティリーはクリスマスプレゼントがないと話す
ケイト:お金がつまった財布が落ちていればいいのに
ティリーは道に一羽の弱った小鳥を見つけて、家に連れて帰る
ベス:私のお母さんは、お返ししてくれない人を助けるのは、やりがいのないことだって言ってるわ
ティリー:
私のお母さんは“自分がしてもらいたいことを他の人にもしてあげなさい”と言ってるわ
聖書にも“自分を愛するように隣人を愛しなさい”という言葉がある
私、ときどき、隣りに住むお金持ちが
私の家のことを気にかけてくれればいいと思うの
ケイト:お隣のキングさんは少しも気にかけたりしないわよ
ティリーが家に帰ると、母は何も食べずに、娘にミルクを出す
戸棚の中にはひからびたパンしかない
ティリーは母が薪を割っている間に、学校の友だちからもらったパンを焼き
熱い紅茶を用意する
母:
今夜は早く寝ましょう 薪を節約しないとね
あさっては仕事のお金が入るから買い物ができますよ
その小鳥はあなたへの贈り物を持っていますよ
人生でもっとも尊いもののひとつは善いことをする喜びです
窓に見知らぬ男の顔が見えて驚くティリー
ティリー:窓にカーテンがあればいいのにね
母:
夕方は暗く寂しいから、わが家の光で外を照らしてあげたいの
ここを通る人の気分が明るくなってくれたら嬉しいわ
クリスマスの朝、ポーチに薪がどっさり置かれ
バスケットの中には、欲しいものがすべて入っている
母:クリスマスの天使のうちでも、最も慈しみ深いのは“慈愛”なのよ
メモには“自分を愛するように隣人を愛する小さなおじょうさんへ”とある
ティリーは小鳥が姿をかえた天使なのだと思うが
前日の夕方、キングさんが3人の少女の会話を聞いて置いたのだった
■ローザの物語
ベリンダは馬のローザがまだプレゼントをもらってないと気づいて
納屋に届けにいく
イエス・キリストがベツレヘムの馬小屋で生まれた時
動物たちが静かにしていたため
イブの真夜中から1時間話す能力が授けられたという言い伝えがあり
ベリンダ:ローザが口をきけたらいいのにね
というと、ほんとうに喋り出すローザ
ローザ:
父は名の知れた競走馬でした
私はいい血統、足の速さ、美しさにうぬぼれ、野心家だった
運命を決めた最後のレースに、何千ドルものお金が私に賭けられた
レースの数日前の晩、見知らぬ人がさしだした皿から食べて、毒をもられた
私は勝利か死かと誓って、勝ちました!
でも、毒と、ムリな訓練と、転倒でダメになり
主人は銃殺するつもりだったが、調教師のビルが安い値段で買ってくれた
ビルが亡くなり、病弱なアリスに仕えた
アリスが元気になり、西部へ行き
私は若い将校に買われて戦争に行った
もっとも危険な戦闘に突進し、首に傷を負い、脇腹を切られたが
戦いに勝利し、主人は昇進した
主人は小部隊同士の戦いで命を落とし
次の飼い主はせっかちな若い男で手荒くされたため、振り落とした
今度は馬車馬として売られ、もう少しで死ぬところだった
私は頭を殴られる代わりにニューハンプシャーへ送られ、休むことになった
ある貸し馬屋が私を買い、ベリンダと出会った
ミス・メリーがやって来て、乗用馬を借りたいと言った
彼女は私を完全に理解してくれていると確信しました
痩せこけて、足が不自由で、みすぼらしくても
メリーは愛してくれました
メリーは私の足を洗い、ブラシをかけ、水を飲ませ、毛布をかけてくれた
だから私は死ぬまでメリーのもとで働きたいのです
どうか知らない人の所へやらないでください!
ベリンダ:あなたは立派な馬小屋へ行って世話をしてもらうのよ
ローザ:
食費を稼ぐために何かしたいのです
休養は素晴らしいけど、働かないでいるのはイヤです
ベリンダ:
あなたが話してくれたことを短い物語にして新聞に送るわ
それでもらうお金をあなたの食費にあてればいい
■作品について
ルイザの母は、アメリカで初めて有給で雇用されたソーシャルワーカーの一人
ルイザは個人の努力が変化をもたらすと信じていた
慈善はクリスマス時期の重要なテーマ
自分に与えられたものを受け入れるという善行が
人生に挑戦するよう力づけてくれる
善行そのものが報いであり、魂の幸福であり
謙虚さと偉大さを等しく有するもの
■推薦者について
ハイネスは、作家、研究者、編集者
アメリカのテネシー州で妻娘と暮らしている
本作は長い間忘れられていた子ども向けの雑誌に掲載されたもので
70年以上も気づかれないままだった