昭和51年初版 中村浩三/訳 由谷敏明/絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください
このシリーズはこれまでと全然違って
子どもたちの冒険増し増しで素晴らしい児童文学!
赤いUが誰かは前半ですぐに分かったけれども
誘拐事件の顛末がどうなるかハラハラした
最後に言う言葉、勉強よりずっと学んだっていうのがテーマで真実だ
気の合う仲間と様々な体験をするほうが
狭い教室にずっと座って
退屈な授業を聞くよりずっと大事なこと
【内容抜粋メモ】
登場人物
ボッダス
ジリー ボッダスの姉 仲間うちで唯一女の子
マーラ
デル 一番大きくて力持ち
クネーレス 一番小さくてすばしこい
ユール 体の弱い少年
ベルンハルト氏 ユールの父 地方裁判所判事
ベールマン氏
●赤いUからのメモ
ノートの間に「赤いU」と名乗る謎の人物からメモが挟まれている
きみたちの素性は分かっている
いろいろなイタズラをしていて、警察に通告するところだが
君たちの首領になる
今晩、6時にユック屋敷に行け
Uの文字が赤でタイプしてある
●ユール少年
体が弱く、いつも他のコにまざって遊びたいと思いながら
つまはじきにされている
父は地方裁判所判事、美人の母は毎日学校に迎えに来て
「おかえり、ぼうや!」と言うのがバカにされている
●ユック屋敷
いつもの隠れ場所に集まったボッダスらは、それぞれの意見をまとめて
大雨の中、指定されたユック屋敷に来る
ここは2年前、警察沙汰になったいわくつきの場所
若者の一味が根城にしていて、酒を飲み、タバコを吸い
彼らが逮捕された後はすべてのドアのカギを新しくした
人影を見て、足跡を尾けると地下室に通じている
その下はライン川が流れている
クネーレスは赤いUのメモを見つけて戻る
赤いU:くつ屋のデーレンドルフの小鳥たちを明日の晩までに逃がしてやること
●名前の誕生日
キリスト教のカトリック教徒は、洗礼名として聖人の名前をつける
その成人の日を地方により誕生日の代わりに祝う
デルの母はジャガイモのパンケーキをふるまう(どんな味だろう?
ボッダスらは赤いUが悪いことを要求するのではないことに尊敬の念を抱く
デルは自分と父の靴を修理してもらう口実を作ってデーレンドルフの所に行く
小鳥の入ったカゴは大きく、重く、部屋の奥にあり
エサもろくにやってない
くつ屋は酒場から追い出されて、酔っ払いながら怒って帰る
デルは名前の誕生日のために、酒場でお酒を買ってあげようと考える
ジャガイモのパンケーキでノドが渇いた時は
父が酒場に行くので、1マルクちょうだいとねだる
酒屋の主人にワケを話すと、ただで瓶に酒を入れてくれる
主人:デーレンドルフに名前の日おめでとうと言ってくれ
デーレンドルフに渡すと、中身が水と分かって怒り出すが
酔いがまわって寝てしまう
その間に小鳥を逃がし、ついでにくつ屋をカゴに入れ
手押し車に乗せて、酒場まで持っていくと父らが笑う
●職さがし
ゲーベンダイル夫人は夫と4人の息子に美味しい食事を作ろうにも
錠前屋の夫が何か月も失業していてお金がなくジャガイモばかり
窓からウサギが3羽投げ込まれて驚く(!
赤いU:
ゲーベンダイル家が食べる肉を世話してやること
1週間以内にゲーベンダイル氏に仕事を見つけること
この指令を受けて、ボッダスらは修道院の庭からウサギを盗んだ
ユールを一緒にボートに乗せてあげると
父がユック屋敷の若者を逮捕して、あと2、3週間後に刑期が終わるが
犯人らは復讐を誓っているから心配していると話す
建築請負業のヨハン・ボーデン夫妻(ボッダスとジリーの両親)は
教会に暖房をつける仕事の依頼を受けたため
みんなの隠れ場所、修道院の庭がつぶれるのにガッカリする
ボッダスとジリーは司祭館の地下室を探索する
建築師の息子ボッダスは丁寧に計測して
地下室は教会の合唱隊席の下に通じていることが分かる
主席司祭に会いに行き、地下を掘る1万マルクが節約できると説明する
ご褒美に、ゲーベンダイル氏を暖房工事に就かせ
その後もボイラー焚きに雇って欲しいと頼む
司祭は驚いて、来週から始めてもらおうと請け負う
●創立記念日
赤いU:12月17日に学校が休みになるようにしろ
この無理難題には、父が日刊新聞編集長のマーラが取り組む
以前、トルコ皇帝が来るというウソの噂がたって
街中大騒ぎになった話から思いつき
父の学友で、たまに記事を書くベールマン氏に相談に行く
ベールマン氏:人々に、いかに愚かか一度教えてやらなくてはならんな
その後、12月17日は学校の創立300年記念日だと話題になる
体育館にある天井画も歴史あるものだと書き加えたことで大勢が見に来る
ベールマン氏:
新聞に載ることをいちいち調べる人はいない
エンドウ豆のスープと同じだ
ほかのエンドウ豆がいい豆なら、悪いのが1コ混ざっていても誰も気づかない
学校の壁画は祝典のためにキレイに修復された
マーラの父までが信じきっていて、マーラは気がとがめる
マーラの家に校長から電話があり、創立記念日を調べたら
12月28日で、300年ではなく200年目だと分かる
ベールマン氏は自分のウソが真実に近いと分かりフシギに思う
祝典は17日に行われ、今後10年ごとに祝典が行われることに決まる
しかし、今年の17日は日曜日だった
●釈放
赤いU:
今日、11時に3人の犯人が釈放される
かれらを監視し、報告書を届けろ 中央郵便局留
3人が釈放され、酒場に行くのを尾行する
犯人の1人のために切手を買い、ポストに投函してあげるクネーレス
ノリが乾く前に手紙の内容を見ようと封筒を開けると
仲間のアウグスト宛てに、折り畳みボートを用意するよう書いてある
それを別の紙に書き移して投函
酔っぱらった3人はユック屋敷に向かい
近くのシュミッツばあさんの宿に泊まった
それらをすべて書いた手紙を赤いU宛てに出す
●誘拐
その後、返事がなくてイライラしていると
校長がラーデマッハー警部と教室に来て
ユールが家に帰らないため、調べていると言う
ベルンハルト氏の復讐のために誘拐されたのかもしれないと推理するボッダスら
警察は3人を再逮捕する
ジリー:赤いUの指示がなくても、私たちが赤いUになったつもりで働くべきよ!
赤いUが手紙を受け取ったか調べに行く途中、ベールマン氏に会い協力を求める
ベールマン氏は赤いUが誰かも分かった様子で手紙は残っていることを調べる
ラーデマッハー警部に電話して、アウグストの住所を教える
アウグストと思われる1人の男が
ユック屋敷の隣りの家具工場に入るのを見たジリー
地下室に通じる入口から追う際、特別警察隊を呼ぶように指示する
地下室からライン川に通じる水路を通ると分かり、水上警察も呼ぶ
クネーレスとジリーは先回りすると
ユールの入った袋をかついだアウグストが氷を踏み外して川に落ちる
ジリーは氷にひっかかったユールを助けて気絶
目が覚めると、ユールも救助され、ベルンハルト氏も呼ばれる
赤いUがユールで、2か月前から犯人を見張らせていたことが分かる
ボッダスらは思いもよらぬ赤いUの正体に言葉を失う
●クリスマス前夜
ベルンハルト家に呼ばれてボッダスらが訪れると
新しいスケート靴などをもらう
インディアンテントの前に戦闘用の衣装を着たユールの酋長が立っている
黒い盾には赤くUと書かれている
学校の本にメモを挟んだりすることができたり
ユールの名前がUで始まることから分かりそうなものなのに
誰も予想できずに驚き、尊敬と感動の目で見つめる
クネーレス:
ぼくたち、また1つなにかを勉強したんだよ
その分、1年中、学校をサボってもいいくらいだ
ボッダス:そして、赤いUと冒険に出かけるんだ
デル:赤いUはこれからも続けるかなあ?
ジリー:
当たり前絵よ!
ユールは「今までも君たちと遊びたかったが言えなかった」と言っていたもの
赤いUばんざい!と叫ぶと、アパートにいたベールマン氏も一緒に叫ぶw
■あとがき
こういう作品は、なんの先入観も持たずに、いきなり読むに限ります
5人の主人公は、それぞれの持ち味を生かして活躍します
ヴィルヘルム・マッティーセン
1891年~1965年
本書のほか、『古い家』『五色のカッコー』『緑の学校』の三部作など
本書に出てくる旧市街、マックス学校は作者が少年時代過ごした場所
今でもたくさんの人に読み継がれ、古典的存在
日本で紹介されていないのがフシギなくらい
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
【注意】
トリックもオチもネタバレがあります
極上のミステリーなので、ぜひ読んで犯人当てをしてみてください
このシリーズはこれまでと全然違って
子どもたちの冒険増し増しで素晴らしい児童文学!
赤いUが誰かは前半ですぐに分かったけれども
誘拐事件の顛末がどうなるかハラハラした
最後に言う言葉、勉強よりずっと学んだっていうのがテーマで真実だ
気の合う仲間と様々な体験をするほうが
狭い教室にずっと座って
退屈な授業を聞くよりずっと大事なこと
【内容抜粋メモ】
登場人物
ボッダス
ジリー ボッダスの姉 仲間うちで唯一女の子
マーラ
デル 一番大きくて力持ち
クネーレス 一番小さくてすばしこい
ユール 体の弱い少年
ベルンハルト氏 ユールの父 地方裁判所判事
ベールマン氏
●赤いUからのメモ
ノートの間に「赤いU」と名乗る謎の人物からメモが挟まれている
きみたちの素性は分かっている
いろいろなイタズラをしていて、警察に通告するところだが
君たちの首領になる
今晩、6時にユック屋敷に行け
Uの文字が赤でタイプしてある
●ユール少年
体が弱く、いつも他のコにまざって遊びたいと思いながら
つまはじきにされている
父は地方裁判所判事、美人の母は毎日学校に迎えに来て
「おかえり、ぼうや!」と言うのがバカにされている
●ユック屋敷
いつもの隠れ場所に集まったボッダスらは、それぞれの意見をまとめて
大雨の中、指定されたユック屋敷に来る
ここは2年前、警察沙汰になったいわくつきの場所
若者の一味が根城にしていて、酒を飲み、タバコを吸い
彼らが逮捕された後はすべてのドアのカギを新しくした
人影を見て、足跡を尾けると地下室に通じている
その下はライン川が流れている
クネーレスは赤いUのメモを見つけて戻る
赤いU:くつ屋のデーレンドルフの小鳥たちを明日の晩までに逃がしてやること
●名前の誕生日
キリスト教のカトリック教徒は、洗礼名として聖人の名前をつける
その成人の日を地方により誕生日の代わりに祝う
デルの母はジャガイモのパンケーキをふるまう(どんな味だろう?
ボッダスらは赤いUが悪いことを要求するのではないことに尊敬の念を抱く
デルは自分と父の靴を修理してもらう口実を作ってデーレンドルフの所に行く
小鳥の入ったカゴは大きく、重く、部屋の奥にあり
エサもろくにやってない
くつ屋は酒場から追い出されて、酔っ払いながら怒って帰る
デルは名前の誕生日のために、酒場でお酒を買ってあげようと考える
ジャガイモのパンケーキでノドが渇いた時は
父が酒場に行くので、1マルクちょうだいとねだる
酒屋の主人にワケを話すと、ただで瓶に酒を入れてくれる
主人:デーレンドルフに名前の日おめでとうと言ってくれ
デーレンドルフに渡すと、中身が水と分かって怒り出すが
酔いがまわって寝てしまう
その間に小鳥を逃がし、ついでにくつ屋をカゴに入れ
手押し車に乗せて、酒場まで持っていくと父らが笑う
●職さがし
ゲーベンダイル夫人は夫と4人の息子に美味しい食事を作ろうにも
錠前屋の夫が何か月も失業していてお金がなくジャガイモばかり
窓からウサギが3羽投げ込まれて驚く(!
赤いU:
ゲーベンダイル家が食べる肉を世話してやること
1週間以内にゲーベンダイル氏に仕事を見つけること
この指令を受けて、ボッダスらは修道院の庭からウサギを盗んだ
ユールを一緒にボートに乗せてあげると
父がユック屋敷の若者を逮捕して、あと2、3週間後に刑期が終わるが
犯人らは復讐を誓っているから心配していると話す
建築請負業のヨハン・ボーデン夫妻(ボッダスとジリーの両親)は
教会に暖房をつける仕事の依頼を受けたため
みんなの隠れ場所、修道院の庭がつぶれるのにガッカリする
ボッダスとジリーは司祭館の地下室を探索する
建築師の息子ボッダスは丁寧に計測して
地下室は教会の合唱隊席の下に通じていることが分かる
主席司祭に会いに行き、地下を掘る1万マルクが節約できると説明する
ご褒美に、ゲーベンダイル氏を暖房工事に就かせ
その後もボイラー焚きに雇って欲しいと頼む
司祭は驚いて、来週から始めてもらおうと請け負う
●創立記念日
赤いU:12月17日に学校が休みになるようにしろ
この無理難題には、父が日刊新聞編集長のマーラが取り組む
以前、トルコ皇帝が来るというウソの噂がたって
街中大騒ぎになった話から思いつき
父の学友で、たまに記事を書くベールマン氏に相談に行く
ベールマン氏:人々に、いかに愚かか一度教えてやらなくてはならんな
その後、12月17日は学校の創立300年記念日だと話題になる
体育館にある天井画も歴史あるものだと書き加えたことで大勢が見に来る
ベールマン氏:
新聞に載ることをいちいち調べる人はいない
エンドウ豆のスープと同じだ
ほかのエンドウ豆がいい豆なら、悪いのが1コ混ざっていても誰も気づかない
学校の壁画は祝典のためにキレイに修復された
マーラの父までが信じきっていて、マーラは気がとがめる
マーラの家に校長から電話があり、創立記念日を調べたら
12月28日で、300年ではなく200年目だと分かる
ベールマン氏は自分のウソが真実に近いと分かりフシギに思う
祝典は17日に行われ、今後10年ごとに祝典が行われることに決まる
しかし、今年の17日は日曜日だった
●釈放
赤いU:
今日、11時に3人の犯人が釈放される
かれらを監視し、報告書を届けろ 中央郵便局留
3人が釈放され、酒場に行くのを尾行する
犯人の1人のために切手を買い、ポストに投函してあげるクネーレス
ノリが乾く前に手紙の内容を見ようと封筒を開けると
仲間のアウグスト宛てに、折り畳みボートを用意するよう書いてある
それを別の紙に書き移して投函
酔っぱらった3人はユック屋敷に向かい
近くのシュミッツばあさんの宿に泊まった
それらをすべて書いた手紙を赤いU宛てに出す
●誘拐
その後、返事がなくてイライラしていると
校長がラーデマッハー警部と教室に来て
ユールが家に帰らないため、調べていると言う
ベルンハルト氏の復讐のために誘拐されたのかもしれないと推理するボッダスら
警察は3人を再逮捕する
ジリー:赤いUの指示がなくても、私たちが赤いUになったつもりで働くべきよ!
赤いUが手紙を受け取ったか調べに行く途中、ベールマン氏に会い協力を求める
ベールマン氏は赤いUが誰かも分かった様子で手紙は残っていることを調べる
ラーデマッハー警部に電話して、アウグストの住所を教える
アウグストと思われる1人の男が
ユック屋敷の隣りの家具工場に入るのを見たジリー
地下室に通じる入口から追う際、特別警察隊を呼ぶように指示する
地下室からライン川に通じる水路を通ると分かり、水上警察も呼ぶ
クネーレスとジリーは先回りすると
ユールの入った袋をかついだアウグストが氷を踏み外して川に落ちる
ジリーは氷にひっかかったユールを助けて気絶
目が覚めると、ユールも救助され、ベルンハルト氏も呼ばれる
赤いUがユールで、2か月前から犯人を見張らせていたことが分かる
ボッダスらは思いもよらぬ赤いUの正体に言葉を失う
●クリスマス前夜
ベルンハルト家に呼ばれてボッダスらが訪れると
新しいスケート靴などをもらう
インディアンテントの前に戦闘用の衣装を着たユールの酋長が立っている
黒い盾には赤くUと書かれている
学校の本にメモを挟んだりすることができたり
ユールの名前がUで始まることから分かりそうなものなのに
誰も予想できずに驚き、尊敬と感動の目で見つめる
クネーレス:
ぼくたち、また1つなにかを勉強したんだよ
その分、1年中、学校をサボってもいいくらいだ
ボッダス:そして、赤いUと冒険に出かけるんだ
デル:赤いUはこれからも続けるかなあ?
ジリー:
当たり前絵よ!
ユールは「今までも君たちと遊びたかったが言えなかった」と言っていたもの
赤いUばんざい!と叫ぶと、アパートにいたベールマン氏も一緒に叫ぶw
■あとがき
こういう作品は、なんの先入観も持たずに、いきなり読むに限ります
5人の主人公は、それぞれの持ち味を生かして活躍します
ヴィルヘルム・マッティーセン
1891年~1965年
本書のほか、『古い家』『五色のカッコー』『緑の学校』の三部作など
本書に出てくる旧市街、マックス学校は作者が少年時代過ごした場所
今でもたくさんの人に読み継がれ、古典的存在
日本で紹介されていないのがフシギなくらい