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メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ドラマ『大地の子 第1部 父二人』(1995 全11話)

2015-08-18 13:05:57 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第1部 父二人』(1995 全11話)
原作:山崎豊子


出演:
陸一心(松本勝男) - 上川隆也(少年期:笠原秀幸)
松本耕次 - 仲代達矢
松本タキエ - 田中好子
松本耕平 - 牟田悌三
張玉花(松本あつ子) - 永井真理子

大沢咲子 - 飯塚雅弓(帰国後の咲子:十勝花子)

陸徳志 - 朱旭
王淑琴 - 呂中

袁力本 - 馮国強(少年期:張利敏)
陸秀蘭 - 高常林

江月梅 - 蒋?麗

趙丹青 - 盖麗麗
馮長幸 - 廖京生
楊祐民 - 銭学格
冷珠 - 鄭振瑶
黄書海 - 薄宏

陸燕々 - 趙娃

稲村嘉三 - 西村晃
柿田潔 - 宇津井健
斎木吾郎 - 児玉清
紅谷擁 - 山下輝彦
工場長 - 角野卓造

狭間信一 - 渡辺文雄


【ブログ内関連記事】
『シリーズ戦争孤児4 引揚孤児と残留孤児~海峡を越えた子・越えられなかった子』(汐文社)

上記の本を読んでこのドラマを観たくなった。
随分前に、母もこのドラマをテレビで観たらしく感動したと言っていたのを思い出した。

一番驚いたのは、上川隆也さんの中国語の流暢さ
「この人、中国人だったの?!」と思って調べたほど。
意味は分からないまま、短時間で音で覚えたって書いてあったけど、凄すぎる。
中国語にも、日本同様、地域によっていろいろアクセントが違うと分かった。

このドラマの主人公のたどった苦悩の連続の人生は、まさに上記の本の証言通りで、
原作者の山崎豊子さんの想い入れもひしひしと感じた。

まだまだ知らない歴史があるなあ。
それも、生き証人がいらっしゃる、そう遠い過去じゃないこと。

戦争は、その時、命を奪われるのも悲劇なら、その後の人生にも長い、はかり知れない影を落とすものだと改めて知った。



あらすじ(ネタバレ注意
「文化大革命」
「労働改造所」

1966年。「文化大革命」により、日本人の子で中国人の養父母に育てられた陸一心は、
スパイの冤罪をかけられて「労働改造所」(極寒の僻地の強制労働所)に送られる。
そこでは毎晩のように夢に戦争から逃げる家族、妹アツコが出てくるが、当時のショックが大きく記憶はなくなってしまっている。



陸一心の実父・松本耕次は、東洋製鉄の社員。
満州開拓団にいた妻タキエ、父耕平、長男勝男、長女アツコ、次女ミツコらと別れたまま、死んだものとして仏壇に弔っている。



柿田本部長も、妻を満州で亡くしている。
耕次が海外出張から戻ると、柿田から、マレーシアにいた耕次の妻(再婚相手・ノブコ)がくも膜下出血で急死したと知らせる。


昭和20年。ソ連参戦、必死の逃避行
 

昭和20年。ソ連参戦の知らせが信濃郷満蒙開拓団(!)に入り、タキエらも含め全員とりあえずの荷物を持って徒歩で逃げる。

 

へとへとになって関東軍駐屯地に着くと、兵らはとっくに逃げた後。
リーダーは「満鉄まで行けば大丈夫だ。あと170km頑張ろう!」
残っていた数人の兵士らも「一緒に行く」といって指揮をとる。

途中でトラック、布団など、重荷になるものは「全部捨てていけ!」と言われる。
大河を渡る時、リーダーの妻は溺れ死ぬ。

タキエが背負っていたミツコも冷たくなっていて「父ちゃんに会わせる顔がねえ!」と泣き崩れる。
「赤ん坊はここに放置していってほしい」と言われる。(8/15)

「5歳以下の子どもは足手まといだ。全員殺せ! 母親が殺らないなら、オレたちが殺る!」と兵士が命令。
アツコは6歳だと誤魔化して助かる。

道の途中で捨てられている老人、子どもがいて、祖父・耕平も「わしもここに残る!」と言い出し、タキエは祖父を背負って歩く。
その後、祖父は病気となり「勝男、父ちゃんには、母ちゃんは偉かったと言うんだぞ」と言って亡くなる。

佐渡開拓団に着くと皆、集団自決した後だった
リーダー「イランに向かう。そこからハルピンに行く!」




佐渡開拓団でソ連軍の爆撃
敗戦のビラを落とす飛行機を信じず銃で撃ち落したため、ソ連軍は反撃のため爆撃し、開拓民も皆殺しとなる。
死んだふりをして助かった勝男は、ショックで自分も家族も分からなくなる。

 
「母という実感がなかった。涙も出なかった」

親しい大沢咲子も助かり、母タキエの死体を見せる。咲子の家族も皆死んだ。
アキコは助かり、勝男と再会する。

その後、現地民がきて、3人は連れ去られ、咲子は「オレの嫁にする」とつれていかれ、アツコも皆バラバラとなる。
「七台屯」で強制労働させられていた勝男は、命からがら家を逃げ出し、列車に乗り込む。



小学校教師・陸徳志、その妻・淑琴との出会い
汽車では、袁力本という少年に助けられる。家が貧しく、口減らしにあったという。
勝男らは駅員に見つかり、逃げる途中でエンと離れ離れになる。
着いた大きな駅は、その後「長春」と分かる。
妹がいるかもしれないと言われた場所で、毎日のように探したが見つからなかった。

ゴミ箱から食べ物をあさったりして路上生活をしていると「ご飯いっぱい食べさせてあげる」と日本語で話しかけられ、
ついていくと、彼は「人売り」だと分かる。

 

「行商、荷運びなんでもやるよ!」と売られているのを見た、小学校教師・陸徳志は、「可哀想だ」と言って、
なけなしのお金で勝男を買い、家に連れて帰る。

その後、一心は「黒液病」にかかり、クスリ代が高いため、「日本人街」に連れていけば、誰か助けてくれるかもしれないと思ったが、
まったくのゴーストタウンとなっていて、徳志はいったん勝男を置いていくが、「私の子だ! ウチへ帰ろう!」と連れて帰り
養子にして「陸一心」と名付ける。

 

この街にも革命の戦火が押し寄せ、徳志の実家に行くことにする。「蘇家屯」
途中、2ヶ所、関所?があり、勝男の中国語のアクセントがおかしいと言われて呼び止められ、、
引き裂かれそうになるが、徳志が小学校教師であることと、泣いて頼んだことが「親子愛は、思想に忠実だ」と言われ、
勝男は夫婦のもとに駆け寄り、初めて「父、母」と呼ぶ。

途中、食糧の略奪に遭うが「あの人たちは私たちより飢えている。食べさせてやりなさい」と徳志。

徳志「一心は、実の父母の名前を忘れてしまうほど辛い目に遭った。今後も一生差別と闘うことになるだろう」

徳志の兄弟の子らは一心をイジめたが、末っ子の秀蘭だけは仲良くしてくれた。
エンとも再会する。エンは秀蘭が好きだった。

 

ここにも革命の「紅衛兵」が来て、日本人の子を育てているせいで、徳志は“売国人”と呼ばれ、引き回しの刑にすると脅される。



ドラマ『大地の子 第2部 流刑』(1995 全11話)

2015-08-18 13:04:39 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第2部 流刑』(1995 全11話)
原作:山崎豊子

『大地の子 第1部 父二人』


あらすじ(ネタバレ注意

松本耕次のもとに開拓団仲間の狭間信一から電話がくる。
「紅十字会」(赤十字組織)が婦女子探しを始めるかもしれないから協力して欲しいと言われる。
耕次は、すぐ木更津に転勤になるから、連絡を下さいと頼む。




1966年。陸一心が「労働改造所」に送られた経緯
一心は素性を隠して革命に参加していたが、同志の告発によってスパイ容疑で捕まり、
髪を剃られ、朱色に塗られ、手を爆破された後、「労働改造所」に送られた。
思想を改善すると刑は短くなるが、日本人の一心は刑期も決められていない。

 


大学時代、恋人との別れ
 

大学時代、趙丹青と出会い、互いに恋に落ちるが、一心は自分が日本人だと告げられない。
卒業後、海辺でようやく伝えると、激怒する丹青。

「成績が良いのに、昇進できないのは変だと思ってた。今まで言う機会はいくらでもあったはず。
 あなたが日本人だと知ってたら愛さなかったのに!」と言って去る。


「労働改造所」での生活
朝の点呼にはじまり、どこへ連れて行かれるのかも知らされない。そこはダム建設で、関東軍の兵士もいた。
一心らは土運びをさせられるが、電車の長旅で体の筋肉が衰え、想像以上の苦しい作業。
1往復は1.5km。昼寝の時も一心にだけは逃亡しないよう銃警備がついた。



1969年。移動命令で羊飼いに
その頃、エンはウスリー江で上級官の立場でソ連軍と戦争していた。
入団審査の時のことを思い出すエン。

 

一心は、妹のお守りのことを密告されて入団出来なかった。「迷信は禁止です!」「踏みつけてみろ!」
「支部が預かる」とエンが持ち帰り、別れる時返してくれた。
「なにかあったら、オレが必ず助けてやる」


看護師・江月梅との出会い
一心の乗せられた汽車は内蒙古へ。
羊飼いは、土運びよりはラク。日本人は例え逃げても養父母しか行き場がなく逮捕しやすいというのが理由。

囚人は一般人と話してはいけないルールがあるが、ある時、医療団を乗せたトラックがくぼ地にハマり、
一心が助けたことで、急患に間に合った。それは、師団の上官だった。

 

牧場で♪さくら さくら を口笛で吹く男・黄書海と出会う。



ドラマ『大地の子 第3部 再会』(1995 全11話)

2015-08-18 13:03:39 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第3部 再会』(1995 全11話)
原作:山崎豊子

『大地の子 第1部 父二人』
『大地の子 第2部 流刑』


あらすじ(ネタバレ注意

黄書海から日本語を学ぶ
黄書海は♪さくら さくら で振り向いた一心が日本人じゃないかと見抜く。



「私は華僑だ。日本で育ち、差別を受けたが、母国語を忘れることはなかった。
 母国語を知らないのは恥だ。私が教えてやる。ただし、土に書いて、口と耳で覚えるんだ。
 兵に見つかったらただじゃおかなくなる」

「この空は日本にも通じているよ」

黄書海が「労働改造所」に来た理由もやはり冤罪だった。
1953年。日本から天津にきた。祖父母は横浜で貿易をしていて、
孫の帰国には反対したが、27歳で結婚し、妻と帰国。

華僑は日本のスパイだという冤罪で逮捕された。
妻も台湾出身(なぜそれだけで?)だということで地下牢に入れられ、冷たい床に寝かされ、歩けなくなった。
子ども3人のうち長男は行方知れず。
娘から手紙が来て、弟と一緒にいるが、極寒の地で毎日差別を受けていると書かれていた。

「どうか自白し、弟に温かいお湯を飲ませて下さい」

「私は冤罪と認め、10年の刑となったんだ」と号泣する書海に、
一心はようやく心を開き「妹は、日本語何と言いますか?」
その日から、毎日のように野外での日本語勉強が始まる。


医療隊と再会
一心は、羊の解体時、手を切って破傷風になり、捨てられると思ったが、病院に運ばれる。
貴重な血清を日本人の囚人に与えるべきか論議となる。

「日本との戦争で、皆虐殺されました」という同志。

江月梅は「彼はトラックの時助けてくれたおかげで、指導者が助かった。それは大勢の命を救ったと同じこと」
と言って、皆納得する。江月梅は毎日、献身的な看護をして、一心は回復する。

「よく寝言を言っていたわ。パパ、パパって」
「3年半も音信不通なんです。父はなけなしのお金で私を大学まで行かせてくれた」と号泣。



江月梅は北京に発つが、匿名の手紙で陸徳志に「一心は労改に送られています」と知らせる。
「今まで知らなかったなんて! 助けなければ!」と泣き崩れる養父。

 

養父は「北京の人民来信来訪室に行って直訴する」と決意する。
秀蘭「ツテがないとダメよ」
淑琴「一心の結婚資金のためと思って貯めていたお金を旅費にあてて」


養父、人民来信来訪室に行く
「人民来信来訪室」では、コネのない人々は皆直訴のために毎日並び、
極寒の中、バラックに長期間暮らしていた。冤罪の人も多く、互いに支え合っている。

秀蘭はエンに手紙を出し、一心と養父の事情を知らせると、
ある夜、エンの使いが来て、一心のことは任せてくれと言って、温かい宿まであてがってくれる。

1年後、医療隊が内蒙古に来て、月梅と一心はまた会う。
現地民が恐れる砂嵐に巻き込まれていた月梅を一心が助けたのだった。





ドラマ『大地の子 第4部 黒災』(1995 全11話)

2015-08-18 13:02:39 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第4部 黒災』(1995 全11話)
原作:山崎豊子

『大地の子 第1部 父二人』
『大地の子 第2部 流刑』
『大地の子 第3部 再会』


あらすじ(ネタバレ注意

一心の告白
一心は、月梅に自分の身の上を話し、毛沢東の教えの本に書かれた日本語を見せる。



仲間が脱走を図り、一心も幇助罪となり、日本語を暗号と思われる。
その時、日本語を教えた黄書海は、まさかの裏切りの演説をするが、後でそれが演技で、ヒントを与えてくれたのだと分かる。



中国の字をすごく崩す書家がいることを引き合いに出し、一心は銃殺を逃れたが、15年の刑となる。
今では羊飼いではなく、糞尿処理

養父から数年ぶりに手紙をもらって、今も大事にしていると見せる。
自分がここにいることを教えてくれたのは、月梅では?と尋ね、うなづく月梅。

月梅もまた苦しい過去を告白する。
医師だった父は、「ソ連一辺倒の医療はおかしい」と言って、反分子だと吊るし上げられ、
厳しい審査を何度も受けた末に投身自殺した。

 

中国では自殺は重罪(そうなんだ/驚)。家族も離散。
父を見習い医師を目指していた月梅は、なんとか看護婦になったものの僻地を転々とさせられている。

「私はあなたを信じます。あなたは強い人です」と想いを告げられ、
「あなたを危険にさらすだけだ。お願いだ、私に近づかないでくれ。私は日本人で囚人だ!」

泣きながら小屋を飛び出す一心。


1972年。突然、釈放された一心
 

労働服と切符をもらい実家に戻る。養父は、夜1回だけしか来ない内蒙古の列車を、北京で10日間も待っていてくれた。
養父との5年ぶりの再会を果たす。
エンと秀蘭は結婚する。




木更津の父・松本耕次
 

田中首相が万里の長城を訪問したニュースが流れる。
耕次は、柿田に会いに行くと、訪中団の話を聞く。

「鉄鋼産業は重要だから協力してくれ。これは稲村嘉三社長の償いの想いでもあるんだ」

1972年。日中国交正常化。


製鉄所で働く一心に通訳の仕事が
製鉄所の図書室で本の整理に回された一心は、毎日、日本語を熱心に学んでいた。

月梅に1年ぶりに会いに行く。



一心「国交なんて関係ない。自分の一生には“労改”にいたことがつきまとう」
月梅「私にも、自殺した父の娘という烙印は変わらない」

一心は、なぜか月梅にアツコの記憶が重なる。
月梅が七台屯に巡回に来た時、2人は結婚し、翌年、女児・燕々が産まれた。

 

 

人事所長に突然呼ばれ「お前は日本語が喋れるな」と言われて、断固、否定する一心。
「早急に通訳がいるんだ。日本から視察団が来る。質問されても何も答えるな!」
「私は日本語など知りません!」

結局、通訳は女性となり、一心は工員として参加し、視察団の1人が
「遅れてるな。オモチャみたいだ」と言ったのを聞いて、悔しくて憎悪すら抱くようになる。

 

今度は「外事司で働いてくれないか」と誘われる。
「勉強が足りないというのなら、学び直せ」と手の平を返したような申し出をされる。

「私は、今では日本人に嫌悪感を持っています」と信頼する上司に明かす一心。


ドラマ『大地の子 第5部 長城』(1995 全11話)

2015-08-18 13:01:39 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第5部 長城』(1995 全11話)
原作:山崎豊子

『大地の子 第1部 父二人』
『大地の子 第2部 流刑』
『大地の子 第3部 再会』
『大地の子 第4部 黒災』


あらすじ(ネタバレ注意

考察団が来日

「私は、今では日本人に嫌悪感を持っています」と信頼する上司に明かす一心。

「自分のココロには矛盾がある。かつて日本人は中国を侵略した。
 僕のような孤児も日本の“軍国主義”の犠牲者ではないでしょうか?
 ぼくら孤児や難民は、日本に捨てられた人間なのに、
 それがなぜ、日本の軍国主義の罪を身をもって償わなければならないんですか?
 この日本語のために自分ばかりか、家族まで犠牲になるかと思うと、それだけは絶対できません」


周恩来氏、毛沢東氏が死去。
 

考察団が来日し、木更津の最新技術を視察する。
会長となった稲村は、今や経済界を牛耳っている。周恩来氏とも交流があったといって大歓迎する。

 

「鉄の女」と呼ばれている副団長・冷珠
「戦後、日本が30年でこれほど高度成長できた理由は?」

稲村「基幹産業である鉄鋼を、政府と民間が一体となって力を入れたからです」

冷珠は団長に
「日本の鉄鋼業は今や先細りと聞いています。もしや、中国を格好の標的としているのでは?」と囁く。

現場を案内する社員。


「環境問題にも配慮して、工場はまるで公園のようなつくりになっております。
 日本は資源が貧しいので、輸入に頼らざるを得ない。工場を建てるには、臨海地がベストなのです。
 高炉は最大級。たった10人で操業しています」

(高度成長期の日本も、バブル期も、戦時中と同じくらい、
 いろいろ勘違いしてたんだな。それは先進国が歩む道の典型なのか?


1ヵ月の視察が終わり、芸者で接待。

冷珠「なにより、日本人の仕事熱心さ、集中力に驚きます」
日本人社員「それは、国の教育水準が高いことも関係しています」
団長「ところで、あの高炉は1本いくらです?」


一心は、工場建設地を探す任務につく
臨海地の候補地探しのため、軍艦に乗って長いこと探すがなかなか見つからない。
上司の楊祐民に「中国でも、やはり輸入が必要です」と提案。
久々に家に帰ると、上海土産などを家族にあげて、月梅、燕々は喜ぶ。



文革で疲弊した中国だったが、木更津と同じ最新鋭の工場をたった2年で建てると告げる。
「我々には、大勢の人間がいるのが武器です」

日本人社員からは、さまざまな懸念の声があがる。

「土地探しからだと2年はムリでは?」
「建設費がふくらみます。日本から工具や材料いっさいを購入するしかありませんよ」

「我々は、現代化を国民に示す必要があります。一括現金払いなら安くなりますか?」

稲村は、引き受ける。


養父のもとに、日本の肉親探しの手紙が届く
吉林省公安部に出頭するよう手紙が来て、一心に何かあったのではと心配して行くと、
処長から、もう随分前から日本の肉親探しが始まっているという話を聞いてショックを受ける。

「戦時中7歳だった一心が、何も覚えていないのはおかしい。
 気兼ねして養父母に言わない者もいる。恩を忘れて強引に帰ってしまう者もいる。
 希望者は申し出るよう。一時帰国は国の方針。あとは家族の問題なのでよく話し合ってみてください」



養父は、「孫の顔が見たい」と言って、突然、一心を訪ねてくる。
「明日、万里の長城に行かないか?」
「12月で寒いですよ。なにか、私に話があるのですか」

 

万里の長城に行った親子。
一心が会社の上司と偶然会い、流暢な日本語で話すのをしみじみ見つめる養父。

「秦の始皇帝は外敵に備えて牢獄のような堅固な長城を築いたが、結局滅びた。
 国の守りは堅固な城を築くことではない。徳にある、という詩だ」

その一団の中には、松本耕次もいた。



「今の日本語の上手い人だが、誰ですか?」
「計画司の、陸一心です」

養父は、日本の肉親探しのことを話して、一心は驚く。


1978年。上海で建設が始まり、松本耕次はそこの所長に選ばれた。
理由は「中国に想い入れを持った人物が必要なんだ」という。

狭間から連絡があり、咲子生存の知らせを聞く。
「中国残留孤児の連絡会が明日あって、咲子さんもちょうど里帰りしてるから会わないか?」

松本は仏壇に祈る松本「誰か一人でも・・・」


ドラマ『大地の子 第6部 日本』(1995 全11話)

2015-08-18 13:00:39 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第6部 日本』(1995 全11話)
原作:山崎豊子

『大地の子 第1部 父二人』
『大地の子 第2部 流刑』
『大地の子 第3部 再会』
『大地の子 第4部 黒災』
『大地の子 第5部 長城』


あらすじ(ネタバレ注意

中国残留孤児の連絡会
 

「そして、今やっと日本に帰ってきたというのに、なぜ祖国は受け入れてくれないのです!
 私たちも日本人なのです。3度も見捨てないでください!」



咲子は別室で松本を待っていて、覚えていた(流暢な日本語で話せるんだな
勝男とあつ子は別々に中国人に引き取られたと話す。
狭間「無事という保証はないが・・・」
そして、父の松本耕平、妻タキエの死の様子を聞いて号泣する。


趙丹青との再会


上海へ向かう一心は、大学時代の恋人・趙丹青と再会する。
彼女も同じ製鉄所でバリバリと働いていたが、父は左遷され、再婚相手ともうまくいっていないという噂。

声をかけられた一心は、
「意外だろ? 日本人がそんなポストで働いているなんて。君の部署は僕の計画司の下だ」


党員になれと薦められる一心
上司から「君も党員になったらどうだ。昔のわだかまりを捨てて。拒否されるというんだろ? 積極的にチャンスをつかまえないと」
(党員になるとなにか得なのかな???


交渉でモメる
会議の席で、松本が中国語で「日本の誠意を信頼してほしい!」と熱弁をふるい、
「なぜ、あの日本人は中国語が喋れるのか」と噂となる。

一心も経歴を調べると、不審な空白年数があることが分かる。
「もしや中国への出征?」


日本への考察団に加わる一心は、趙丹青の元夫・馮長幸に会う
日本に行く際「きっと帰ってきてね」と泣く月梅。

「中国協力本部」では柿田と再会。1日目は木更津工場の見学。



一心は、趙丹青の元夫・馮長幸から「妻から聞いたが、一度婚約していたそうだな」と聞かれる。
なぜか監視されているような雰囲気を感じる一心。

箱根の宿で、隣りから聞こえる歌が昔聴いたことがある気がする。♪木曽の御嶽山 だった。

 



大涌谷から富士山を見て、開拓団にいた頃、信濃富士に柏手を打って拝む仲間たちの面影の幻を見る。
一心は、ガイドに信濃富士のことを聞き、自分は長野県の出身ではないかと思う。
書店で長野のことを調べると、絹産業が盛んだったが、暴落し、満州に多くの開拓団を出したと書かれていた。



開梱検査でモメ、実父と議論する
日本からの輸入品を全品チェックする様子に呆れる日本人社員。
ネジの数ミリ単位の違い、錆ている部品があることでモメていると聞き、
一心が行くと、日本の代表者は松本だった。

 

松本「何十万もの部品があれば、許容範囲というものがある。抜き取り検査も許して欲しい」
一心「錆の原因は?」

松本「出荷した際は問題なかった」と証明書を見せ、
「推測だが、積荷は港に着いてから3週間も放置されていた。この湿気と暑さのせいだと思う。
 それよりも大事なのは、遅れた工期を取り戻し、ボルトを待っている工員に届けて頂きたい」

一心は、納得し、なんとか仲間の怒りをしずめる。


松本のもとに狭間から手紙があり、長男・勝男のことも調べているという。
松本は長春も訪ねるが、家族写真を見せても知らないと言われるばかり。



 

長春を離れる際、孤児たちと“再会(サイツェン)”“元気で待っているんだよ”と言い合った。
 パパ、ママ、ニッポンへ連れてって、という声が耳から離れません。
 戦争とはなんと残酷なものでしょう。覚悟していたとはいえ、
 この子探しの旅がこれほどまでに辛く悲しいものになるとは」(狭間)


「佐渡開拓団」の慰霊祭
 

お参りを済ませ、その後、もっとも可能性の高い孤児面接でも手がかりはなかったが、
その後、七台屯の陳という人が勝男のことを知っているという知らせが入り、松本は自ら家を訪ねる。
「自分から行きたいんです。もし人違いでも諦めがつく」


陳夫婦に家族写真を見せると、
「これは大福だわ! 可哀想に毎日こきつかわれて、必死で逃げたのよ。
 体には血がついていた。きっと死体の山から来たんですよ」と号泣する。
(この写真から、数十年前の記憶でよく分かるなあ!驚





ドラマ『大地の子 第7部 兄妹』(1995 全11話)

2015-08-18 13:00:38 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第7部 兄妹』(1995 全11話)
原作:山崎豊子

『大地の子 第1部 父二人』
『大地の子 第2部 流刑』
『大地の子 第3部 再会』
『大地の子 第4部 黒災』
『大地の子 第5部 長城』
『大地の子 第6部 日本』


あらすじ(ネタバレ注意

妹・アツコらしき人物を見つけた月梅
一心は入党し、喜ぶ月梅。巡回先で、今年39歳になっているはずの女性をファイルから探す。
(毎回、こうして探してくれていたんだなぁ

診療が終わった後、「どうしても診てほしい」という貧しい母と娘が来て、受け入れる月梅。
病気の娘が39歳と知って驚く。名前は張玉花。養母と極貧の暮らしをしている。



5人も子を産み、全員死亡。連続出産の末の「骨疎漏」と診断。
日本人孤児で、腕に酷いヤケド跡がある。

その後、病院に来ないので、質素な家を訪ねると、痛みを我慢して養母と畑仕事をしているのを見て涙する月梅。
月梅は、一心に妹さんでは?と手紙を書く。




疑われる一心の影に、趙丹青の夫・馮長幸がいた
上司・楊から呼び出される一心。「日本でなぜ地図を見ていたんだ?」

一心の事情を知っている楊にありのままを話すと、「スパイ容疑に気をつけろよ」と言われる。
机の上には匿名の密告書があった。

製鉄所建設は一時中止され、養生作業を見に来た松本は、趙丹青と会う。
社員「社長のコネで入ったという噂でしたが、問題点を突いてくるところなど、全然噂と違いましたね」

一心とも再会する。松本の中国語に東北訛りがある理由を聞くと、
「以前ちょっといたことがあってね。君も東北に縁が?」
一心は警戒して、その場を早々に去る。




張玉花を訪ねる一心
月梅から手紙をもらう一心。

「玉花さんは、結核性の脊髄炎だった。小さい頃のことは覚えていないが、3つの日本語を喋った。
 もう命が長くないので、早く訪ねて欲しい」

電車内で、丹青と再会。父は左遷され酒びたりだという。一心の妻子の話を聞き「優しい奥さまなのね」と言うので、
「君もそうだろう?」と聞くと、なにか問題を抱えている様子で去る。
その様子を盗み見ている馮長幸。



一心は、久々、炎に包まれる妹の夢を見る。
家に帰り、お守りを持って、張玉花を訪ねることにする。もし妹なら36年ぶり。分かるだろうかと不安になる。

質素な家で、咳き込みながら寝ている玉花。
日本語のことを聞くと「タマは飼っていた猫、シロは飼っていた犬の名前」と聞き、
一心「カッチャンは勝男。ぼくがカッチャンだ! 兄ちゃんだよ! お前の名前はアツコだ!」
ようやく兄妹は再会し、勝男の記憶も戻る。

 

アツコ「兄ちゃん、日本へ帰ろう。死ぬ前に父母に会いたい」
勝男「母は死んだ。父はどこにいるか分からないんだ。でも、兄ちゃんが背負って連れて行く!」
アツコ「お母ちゃんを一人で置いて帰れない・・・」


玉花は「人民病院」に入院する
一心は着替えやお金を渡し、親身に看病する。

玉花「ここにいて色々と思い出した。祖父がいて、母をタキと呼んでいた。
   日本語を教えて。日本に帰った時、喋れなかったら恥ずかしいから」

一心は、「コンニチワ」と「アリガトウ」を教える。
その後、養母を訪ねるが、何も話してはくれなかった。

北京に戻ると、また馮長幸は匿名で、上司に「一心の行動はおかしい」と密告書を出していた。

日本政府は3000億円の資金協力をして、製鉄所建設は再開される。

松本は、狭間から張玉花のことを知らされて、心が騒ぐ。

玉花は、ひどく喀血したため、強制的に退院させられ、家に戻ったと聞く一心。
田舎の風習で、死が近いと家の者が看取るのだという。

再び家を訪ねると、冷たい床に死に装束を着せられて横たえられていた。
「お兄ちゃん、寒い・・・」



一心「なぜ、オンドルに寝かせてあげないんです!」
養母「死ぬ者は、死に装束を着せて、床に寝かせないと、黄泉の国に行けない!」

一心「そんなの迷信だ!」と責めると、
玉花「母ちゃんを責めないで。私より苦労してるの・・・」

一心「一緒に北京へ行こう! おぶってでも行く!」



ドラマ『大地の子 第8部 密告』(1995 全11話)

2015-08-18 13:00:37 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第8部 密告』(1995 全11話)
原作:山崎豊子

『大地の子 第1部 父二人』
『大地の子 第2部 流刑』
『大地の子 第3部 再会』
『大地の子 第4部 黒災』
『大地の子 第5部 長城』
『大地の子 第6部 日本』
『大地の子 第7部 兄妹』


あらすじ(ネタバレ注意

一心は、家で玉花を看病する
月梅がくれたクスリを4時間おきに飲ませ、養父が送ってくれた白米でおかゆを作るが、
玉花は「兄ちゃん、手がヤケドで痛いよ」と夢にうなされている。

再会して1年しか経ってないのに、玉花は「ありがとう」と言って息を引き取る。
近所の人々は号泣し、「紙銭」を燃やす。「これであの世に行っても困らないよ」
(都心は教育水準も高く、経済発展していても、いまだに地方は、識字率等々なにも変わっていないだろう


実父との再会
庭で呆然としていると、張玉花を訪ねてきたと松本が来る。

「なぜ、君がここへ?」
「妹が死にましたので、ついさっき」
「もしや、張玉花さんですか?! アツコという名前ではありませんか?!」

松本は、変わり果てた娘の姿を見て「コレがアツコか? 違う、これはアツコじゃない!!」
「お守りがあります」
「信濃神社・・・かわいそうに。かわいそうに。かわいそうに。。。」

 

2人は親子だったと知る。

松本「苦労をかけた。長い間」
勝男「それはアツコのほうです。小学校も行けずに、文字も読めませんでした」

松本「母さんはタキじゃなくタキコだ。お前は小さい頃からとても利口でカッチャンと呼ばれて可愛がられていた。
   それがどうして記憶をなくしてしまったんだ」

勝男「ソ連軍の虐殺です」
松本「よく生き延びられた・・・」
勝男「全部、今の父のおかげです」

労改のことも、妻、子どものこともすべて話す一心。松本も自分のことを話す。

「私は“現地召集”された。大陸のためにと思っていた。南方へ送られると聞いた。
 鹿児島で終戦を迎えた。すぐ満州に帰ろうとしたがムリだった。
 どうして自分一人生き残ったのかとずっと責めてきた。
 本当に苦労をかけた。すまない」

勝男「私より、どうしてアツコをもっと早く探し出してくれなかったんですかっ!?」

松本は、アツコの髪ひとふさと、爪をポケットにしまう。
♪木曽の御嶽山 を歌いながら、棺を運んで、村のはずれに埋める。

勝男「いつの日か、妹の骨を日本に埋めてやってください」
松本「そのつもりだ」

松本「養父にもお礼を言いたい」
勝男「私から言います。それから、会社ではこれからも、取引先の一心として接してください」


また密告書
上司に妹の死と、松本が実父だったと告げる。
上司「これは、党や会社にとってとても重要事項だ。北京に留まれ。気をつけろよ」

アツコかもしれないという手紙を読んでいた養父母は、
「ここで養生させればいい。一心の妹なら、わしらの娘だ」
と喜んでいたところへ、今度はアツコの死の手紙が届く。実父のことも書いてある。



松本は養父母の家を訪ね礼を言う
 

徳志は、どう一心を引き取ったか、革命から命からがら逃げたかを話す。

 

徳志「一番辛かったのは、父母と呼ばなかったことです」

でも、門番に止められた時、やっと「父ちゃん」と呼んでくれたことを涙ながらに話す徳志に
松本は無言ながら、並々ならぬ恩義と、親子の絆を感じる。

養母・淑琴は「今日来たのは、一心を返して欲しいからでは?」
松本「とんでもない。私など分かりようもない苦労をして共に生きてこられたのを知りました。
   私はお礼を言いたかっただけです」

徳志は、松本が一人身だと知り、心中を察する(この人は、本当に賢明で、仏のような慈愛のある人だなぁ
「いえ、これからはあなたと過ごしなさい。昔から“血は水より濃い”と言う」

松本はそのまま帰るが、淑琴は激怒する。
「返すだなんて! 私は連れて帰るのは絶対反対です。一心は私の子です!」と号泣する。



ドラマ『大地の子 第9部 父と子』(1995 全11話)

2015-08-18 13:00:36 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第9部 父と子』(1995 全11話)
原作:山崎豊子

『大地の子 第1部 父二人』
『大地の子 第2部 流刑』
『大地の子 第3部 再会』
『大地の子 第4部 黒災』
『大地の子 第5部 長城』
『大地の子 第6部 日本』
『大地の子 第7部 兄妹』
『大地の子 第8部 密告』


あらすじ(ネタバレ注意

松本の訪問に怒る淑琴
淑琴「あんな人に親の資格なんかない。私は手放しません」
徳志「それは、一心の心次第だ」
淑琴「あの子は、そんな恩知らずじゃありません!」


2度目の来日
GISを送り返して点検する作業の担当に加わる一心。
また馮長幸と一緒で、まるで監視しているよう。

飛行機内には、一時帰国する戦争孤児が大勢いた。
その中にアツコの幻を見る。



ホテルの部屋も馮長幸と一緒!
一心が重要機密書類をスーツケースのさらに黒い鞄に入れ、鍵をかけ、鍵はスーツの内ポケットに入れるところを見ていた。
父が松本だということは、一部の人しか知らない。

ホテルに咲子と狭間が来る。松本から居場所を聞いたという。



狭間「勝男くんは、お父さんに心を開いていないんだね。でもそれは違う。
   松本さんは、自責の念に長年苦しみ、首をくくろうとして目が離せなかった。
   どんなに忙しくても、慰霊祭には毎年来ていた。必死に子探しをして、東北にも2度行った」

咲子「仏壇にお線香の1本もあげといで。偉くなったら、そんなことも出来なくなったのかい!?」

2人は、松本の家の住所を渡して帰る。
2人をホテルまで案内したのは、なんと馮長幸。一心とは仲が良いと言って騙し、実父が松本だということを知る。

松本も検査現場に来るが、一心とは目を合わせただけで声をかけなかった。


実父の家を訪ねて、門限に遅れる
最後の晩、夜桜見物している仲間と離れ「今しかない」と電車に乗り、松本の家を訪ねる。
仏壇に手を合わせ、妹の遺髪を見て号泣する。母の写真も初めて見る。

 

松本「やっと戒名をつけられたんだ。妻の写真もずっと辛くて引き出しにしまっといた。24歳だった。
   アツコの遺髪と爪は、長野の先祖の墓に埋めてやろうと思っている」

2人で号泣し、抱き合う。
一心は、実父がずっと一人暮らしなことに驚く。

松本「42で再婚した。病気で倒れて皆に迷惑をかけて。妻はよく供養してくれた。子はいない。
   勝男は、今の会社でも苦労してるだろう。実父が私だと知れれば都合がよくないはずだ。
   プロジェクトからもし外されることがあれば、それは私のほうだ。将来のあるお前じゃない」

話しこんでいると、門限の9時まであと10分しかないと気づく。

松本「電車で行っても21:17。22時にはホテルに着ける。一度、電話を入れたほうがいい」

一心は団長に電話するが、出たのは馮長幸で「団長は今いないから、私が伝言しておくよ」と言う。
松本「今度来れる時は、許可をとって泊まれるようにして来てくれ」と名残惜しく別れた後、
信号機故障で電車はさらに遅延する(こういう時に限って信号機が故障するんだよね、ほんとに

その間、馮長幸は、一心のスーツのポケットから鍵を出し、鞄の中の極秘資料を盗み出す。


疑われる一心
ホテルに着いたのは23時頃。なぜか皆が集まっていて、一心は遅れたことを謝り、
電話は入れたと話すが、馮長幸は知らないとウソをつく。
団長は「2人で話させてくれ」と人払いする。

団長「君の立場だと、なにか証明がないと皆納得しないだろう。とにかく、機密書類を持ってきてくれ」

一心は部屋に戻って、書類を渡すが、機密書類だけがなくなっていた。

一心「たしかに入れたんです。誰かに抜き取られたんだ・・・」
団長「これは団員に他言するな。次の通訳は来なくていい」

機密書類とは、「裏工程表」のことで、日本の企業に知れたら、一気に信用を失う重要なものだった。



団長に弁明に来る松本
松本「息子になにかあったんじゃないでしょうか?」と心配して訪ねて来るが、
機密書類のことは話せない一心と団長は誤魔化す。
松本は、一心に母親の写真を焼き増しして渡して帰る。



ドラマ『大地の子 第10部 冤罪』(1995 全11話)

2015-08-18 13:00:35 | ドラマ
ドラマ『大地の子 第10部 冤罪』(1995 全11話)
原作:山崎豊子

『大地の子 第1部 父二人』
『大地の子 第2部 流刑』
『大地の子 第3部 再会』
『大地の子 第4部 黒災』
『大地の子 第5部 長城』
『大地の子 第6部 日本』
『大地の子 第7部 兄妹』
『大地の子 第8部 密告』
『大地の子 第9部 父と子』


あらすじ(ネタバレ注意

党の事情聴取を受ける一心
「実父から渡された封筒には何が入っていたのかね?」
「母の写真と、心遣いのお金です」

「いくらだ?」
「10万円」
「大金だ! なにかの報酬では?」


処分が下り、再び内蒙古に左遷
家で、夫が書いた密告書を見つけた丹青は、一心の左遷は夫の仕業だと知る。

養父母を家に呼び、左遷の話をする。養父はお酒をあおり
「いっそ日本へ行ったらどうだ?!」というが、母は猛反対。

徳志「お前は中国人で、党員でもある。なのに、日本の血のせいで酷い目に遭っている。私は耐えられないんだよ!」

内蒙古へ行く汽車の中で、一心は「目に見えない手錠が縛っていた」と思う。





内蒙古に来て1年半後
 

総経理から、半年前に一心が出した提案書の許可がおりる。
日本の新幹線の技術を取り入れて、レールの原料にチタンを混ぜて修復する?もの。
テレビでは、上海の高炉が一級品に完成したニュースが流れていた。来年が火入れ式。

松本は「一身上の都合で、この機会に所長の任務を解いていただきたい」と柿田に頼むが「事情は分かるが残ってくれ」と断られる。

松本「それでは、我が子を二度捨てたことになります!」と涙を流す。


夫の浮気現場を見てしまう丹青。相手は通訳で、明日、アメリカに帰るという。
密告書を見せて、責めると、女に預けていた「裏工程表」も出てきた。

馮長幸「私の父は、私の目の前で日本兵に殺された。母と2人でとても苦労した。
    その書類は好きにしろ。よりを戻せばいい。責任は負うよ。君とも不運な出会いだった」



丹青は、事情を冷珠に話すと、「書類には通し番号がついていた。それはたしかにあの事件の時のだわ!」

丹青「彼には、彼なりの事情があったのです。どうか公正な処分をお願いします。
   そして、一心は上海に戻してあげて下さい」


名誉回復して、上海に戻る一心


内蒙古の仲間は一心が上海に戻ることを知って一緒に喜んでくれる。
「上海が終わったら、また戻ってこいよ! ・・・いやダメだ、こんな所に戻ってきちゃ」

上海に戻る前日、荒野を歩いていると、丹青がやって来る。

「前から内蒙古を見てみたかったの。大連を思い出さない?
 私たち、若すぎたんだわ。人生の選択を間違えた。あなたが日本人だというだけで。。。
 私、離婚したわ。一からやり直したくて。できれば、あなたと生き直したかった!」