メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

嵐のなかのベビー

2006-04-03 19:55:00 | lyrics
記憶の中の広場には
夕暮れの風が吹き
捨て犬が駆け抜ける
僕たちは1秒毎にバランスをとりながら
歩いていた

高い秋空の向こうから注がれる
視線にあいさつを返す手段があったら
僕たちは1マイル毎に尋ねていた
「こうしてる自分は誰なんだい?」って

'70のベビーを見てごらん
もうすっかり荷をまとめて
ここから手を引こうとしている
わからない わからない
君はあのストレートな笑顔を
どこへ捨ててきたんだろう?

君は言った
「ひとかどの人物になってみせる
いつか、いつかね」
君は忘れても、僕は覚えてる
淋しくなったら占いの列に加わるといい
時間料金制の話し相手だっている
太陽だった君が今じゃ
無菌状態のワンルームに閉じこもり
サイコリストを必要としている

「人間は独りじゃない」と彼らは言う
「どこにいても人はいつも一人だ」と彼らは言う
ああ 無責任な声たち
君らの言いなりになるのは止めにするよ
いま心に忍び込めるのは
フィービー・スノウの歌声
one & only の正直なつぶやきだけ

大切な 大切な純白の翼が
青い秋空に飛び去ってゆく
わからない わからない
君はあのやわらかな魂を
いつブリキの板と取り替えてしまったのか?


僕はいつかとびきりハッピーな歌を書くよ
みんなを金魚鉢の底からすくい上げるんだ
その尖った涙と心臓を
ピラミッドのてっぺんにいる
太陽神に捧げてしまおう
どうぞ 受け取ってください
それからストロベリー・アイスクリームみたいに
溶けてしまう
'70のベビーは許しを乞い
北極の氷の底に眠る
真実を探しにいくのさ
からだ一杯の情熱を与えるために


日々のあちこち、1秒毎に
死の影は潜んでいる
無臭の香り、静寂な足音
見えているけど気付かない
ガスコンロの中、アクセルペダルの上、
垂れた電線、石畳の隙間
隣人の瞳、ペットの愛らしい動きにさえ
明日の朝 無事に目覚められたら奇跡!

'70のベビーは非現実主義のモラリスト
足首には LOVE & PEACE の刺青
僕らは筋の通らない小説の中で生きている
自己を考える時間すら許されていない
切り傷から流れる血の中に
両親の顔が見える
夜昼鳴りっぱなしの電話
そのコールひとつひとつが
帰ってこないかという叫びに聞こえる
僕らをただのボヤッとした甘えん坊にしたいのかい?

'70のベビーたちを見てごらん
裏通りを時速200kmで滑ってゆく
ニセモノのユーレイみたいだ
みんなこのメッセージを受け取ったかい?
どうにかこうにか全力を尽くして
あの「太っちょのオバサン」のために
暴風雨が荒れ狂う嵐の中を
僕らは突っ走っていくのさ


ああだから 僕はきっと底抜けにハッピーな
歌を書くよ
ひとり残らず暗くて冷たいトンネルから
ひき出してやるんだ
あてにならない社会福祉制度なんかよりは
いくらか役に立つだろう
'70のベビーはどうすればよいかを全部
メモにとって この迷路を抜け出すのさ

月の女神はとてもゆっくり降りてきて
生命はつづいてゆく つづいてゆく
生命はつむいでゆく つむいでゆく
つぎの朝陽の上昇へ
これこそ素晴らしい奇跡なんだ

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