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「どんぐりども」と山猫(昨日書いたブログ)

2010年04月26日 | 1
宮沢賢治の童話に「どんぐりと山猫」という作品があります。

物語はある日、山猫からかねた一郎君(多分、小学生)の家に不思議な葉書が届くところから始まります。

その葉書には「あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。とびどぐもたないでください。」と書かれてあり、かねた一郎君はその裁判に出るために里山を訪ね歩くのです。そして山猫と馬車別当に出会い、めんどうな裁判の判決を引き受けます。

毎年山猫を悩ませるその裁判とは、山のどんぐりたちの“騒がしい”喧嘩。ものすごい数のどんぐりたちが「自分が一番偉い」と言い張りうるさくて仕方がない。

四方の草のなかから、どんぐりどもが、ぎらぎらひかって飛び出して、わぁわぁわぁ…頭のとがっている俺が偉い、頭の丸い俺が偉い、おおきな体の俺が偉いと言いだして…裁判は収集がつきません。



そこで山猫の信託を受けた一郎君の名判決。

彼は言う。「そんならこう言いわたしたらいいでしょう。このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、いちばんえらいとね。ぼくお説教できいたんです。」その判決が下されると騒ぎは一件落着、一堂、しんと堅まってしまった…。

かねた君は山猫からお礼に金のどんぐり一升をもらい馬車別当に送ってもらい、気がつくと普通のどんぐりを手に持ち家の前に立っていたという。その後、山猫からの裁判の依頼の葉書はこなかった…と言うお話です。


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実は今日(4月25日)は私の住む市の“どんぐり”どもの市議会選挙の投票日なのであります。

どんぐりどもは相変わらずです。

昨日の朝、遠くで「助けてくだぁーいっ、助けてくださぁーいっ」とマイクで中年の女性の甲高い声がする。いったい何事なのでしょうか、その声は国道沿いにどんどん近付いてうるさくて仕方がない。なんと●●候補の宣伝カー。

「今回は大変厳しい選挙戦です、あなたの一票で●●を助けてくださぁーいっ!、助けてくださあーい!」

裏道からもう一台「※※地区の皆様、とにかくお願いいたします。●●に一票、ぜひよろしくお願い致します。と、に、かく、お願い、いたしますうう(うるうる…涙ぐみ、絶叫!)」

その後にも、もう一台、猛スピードで「●●です、●●です、●●でーええっす!」と駆け抜ける宣伝カー。

数日前からうちの玄関も花盛り。鉢植えが数台、蘭の花がむんむんと咲き誇ります。
もちろん候補者からのプレゼント。(なにしろ我が家は6票ありマス。)

ああ、騒がしいどんぐりども!TVを付けると国会も、政党も同じ騒ぎ。しかし身近な政治の基本となる、町村議会、市議会、県議会から見直していかないと我が国は相変わらずだと思いませんか。

万象堂は提案します。

まず選挙制度の改革を!選挙の基本はすべてコンピュターで数値化します。議席も削減。本人の議会の出席率、発言率、無作為で選んだ市民100人単位での評価などを計算し、選挙での得票率に掛け算してその本人の正式な得票とします。二世議員対策として新人は事前に「国営議員大学校」で学び、まず合格しないと候補者の資格はありません。この制度がうまく行けば選挙違反も激減、メデタシメデタシにならないでしょうか。それぐらいしないと感情論ばかりで、世の中は何も変わらない。

自戒を込めて、誰か「山猫党」とか新しい政党を作りませんかね。

さぁ、今から投票に行って来ます。
今回の投票者名に私は、「かねた一郎」と書いて投票しましょうか。

※写真はパロル舎 どんぐりと山猫 画本宮沢賢治 より


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…で肝心の選挙結果です。

本日(4月26日)、新聞を開くと「助けて下さい!」の人も、「とにかくお願いします!」の人も、「猛スピードで逃げ去る!」の人も、見事当選されておりました。

きっと投票者も「どんぐり」だったのでしょう。





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