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どうしようもないこと。

2008年06月08日 | 1
 五木村の川にフライをしに行く。降り止まぬ雨の中、竿を振る。何度か当たりがあるもののタイミングが合わず、山女に逃げられてばかり。川釣りは基本的に一人で行くものと思う自分。朝からすでに3時間は過ぎ、ひたすら川を遡り、岩をよじ登り、藍色の淵を見つけては期待を込めてフライを結びラインを飛ばす。砂地でたくさんの猪の足跡を見つける。散弾銃の弾の殻も。



 遅い昼飯を食べに行こうと東屋くらいの岩の横の窪みをよじ登ろうとした時、すぐ足元の岩陰に小鹿がうずくまっているのを見つけた。近づいても逃げない。頭にケガをして白いものが見えている。左岸の崖から落ちたのだろうか。体力も落ちているようだ。小鹿は私を見つめ、鼻を向け匂いを嗅ぐ。その距離1メートル。

 村では鹿や猪の食害で田畑が荒れ、猟友会に“駆除”をお願いしていると聞いた。助けることもできない。無視することもできない。車に帰って小鹿の前におにぎりを置く。

 食べるそぶりはない。雨はまだ止まないし、山女は今日も釣れそうにない。どうしようもないこと。


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