11

11

幻の滝の、幻

2015年07月29日 | Weblog

五家荘のN氏は相変わらず元気である。この前、熊本県の文化振興課から昔の五家荘の資料が送られてきたそうな。その名も五箇荘紀行。その図版の中に描かれている滝で、今も見つかっていない滝があるそうだ。

それこそ、今その滝を発見する探検隊を組織して行動に移せば、マスコミは飛びつくし、もちろん幻の滝を発見出来れば久々に大事件だ。やろうやろうとそそのかしたけど、途端N氏の元気がなくなった。

彼は川が苦手なのだ。いや、川ではなく川にいるマムシ君が大の苦手なのだ。滝を見つけるのは川をさかのぼる必要がある、しかしそこでマムシ君を発見したらN氏の体は蛇に睨まれたカエル状態になる。

もちろん僕もマムシ君は好きではない。ある日、釣りをして汗だくになり、ワケありで誰も居ない河原ですっぽんぽんになり、体を洗おうとして目の前の石を見たら、そこに鎌首を持ち上げたマムシ君がいた。茶色でつやつやした肉体。なんて不気味で、怖いことか。そして僕より先に彼は川に入り、クネクネしながら目の前の渓流を遡って行った。恐怖で僕の体のすっぽんぽんは縮みあがった。後から知るにそこはマムシの巣がある場所だった。

一度、他の場所で黒蛇だらけの場所に出くわしたことがある。あちこちの草むらに、黒蛇君が居て怖くてそれ以上、歩みを進められない。ふと目の前の崖を見ると、二匹の黒蛇君がくんずほぐれつ、絡まりながら僕の眼の前に滑り込んできた…。その経験があるので、川から草むらをよじ登るのが怖かったこと。

要するに幻の滝を探す、探検隊の組織自体が幻なのだ。昔も今も、山の持ち主は人間ではないのだ。

しかし、この熊の赤ちゃんにお乳をあげる緒方さん宅のおくさんはなんともスゴイ。




これが五家荘だ。(何のこっちゃ)この絵に僕ははまってしまい、相当の時間、体の中から笑いがこみあげてきた。

奥さん、ワイルドだ、シュールだ、自由自在だ。滝が見つからないなら、緒方さんの奥さんを探したらどうか?何か、ほっとするんだなぁ。奥さんの存在。

今からでも遅くない、五家荘の民俗学的な考察を現代風に蘇らせたら、おもしろいかもしれない。やるほうも、見る方も。



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。