*****ご注意!!一部ネタバレの可能性があります!*****
2016年発刊とネタとしては旬を過ぎたが、続くシリーズを読むには1冊目から、と手にした。
著者は協同通信の元金融庁担当記者で現在は編集委員
現在も全国の金融機関への取材を続け、捨てられる銀行はシリーズ4作に
シリーズ1作目は2015年夏に就任した森信親・金融庁長官の金融機関改革について。
不良債権処理・金融検査の強化の結果、リスクをとらなくなった金融機関(特に地方金融機関)の現状・問題点をあぶり出す。
地方創生は永らく語られている言葉だが、今の地銀・信金・信組に顧客である地元中小企業と密接な取引関係を築けるのか。
今だけでなく将来像まで一緒に描き、困難を解決するサポートができるのだろうか。
金融検査対策で取引先を数字でしかみなくなった金融機関は取引先へのヒアリングのノウハウさえも劣化させてしまった事実には恐ろしさも感じる
金融機関への信頼をどう再生させるのだろう。
マニュアルによる金融検査
リレーションシップ・バンキングの解禁
いずれも良い方向へと向かわせる施策・発案だったのだろうが、振り返れば過度な反応、思いもよらない余波が起こっていた。
それを見直し改めるのが後手後手になってしまった、ということだろうか。
波及範囲を見越した施策の難しさ・重大さを知って正直震える。
それでも、監督庁には方向修正・方向転換をする機敏さを期待したい。
既に独自の視点で営業方法を転換している金融機関も紹介されている。
ストーリーとしては面白い。
成功例としての参考にはなるかもしれないが、他機関が真似をしても失敗するような気がする。
これからは地方地方によって自らのスタイルを作り出さないと対応できないのでは?
そのくらい急速に人は減り地方の活力もサイズダウンしていっているように思う。