ティコ・ブラーエ


パパとママの視点から
子供と建築探訪
こどものおやつから考える体にやさしいレシピ

ギャッベ

2010-02-08 | いいもの
アスティエに続き、我が家で大切にしているもの。
ペルシャ語で「粗い」を意味するギャッベ。



ギャッベとはイランの遊牧民族カシュガイ族の女性達が織り成す絨毯のこと。
女性たちはたしなみとして技術を身につけ、生活に役立てていた。
テント生活の必需品であり、固い地面に敷くために非常に丈夫で分厚い。
羊、ヤギ、ラクダの毛を草木染めし、ざっくりと織った素朴な風合いは彼らの生活を思い起こさせる。
またギャッベには下絵がない。
即興で色の組み合わせや模様を決めていく彼女たちは、すばらしいアーティストだ。
その題材は遊牧生活の舞台である美しい自然、織り手の毎日の生活や身近に起こった出来事などであり、ときにはその願望などをギャッベに託して表現することもあるようだ。
今は市場に出回っているが、本来は非常にプライベートなもので、織り主の心のありようを示した手紙であり、日記であったのだ。



モチーフにはもちろん、色にも意味がある。
例えば、黄色。
黄色はイランの砂漠の色。
砂漠とは遊牧民にとっての生活の場、彼らの「故郷」そのもの。
砂漠が干上がり、羊たちの餌を求めて緑多いザクロス山中で夏を過ごすとき、黄色いギャッベが織られることが多いそうだ。
青は夜空とそこに輝く星もしくは水への憧れ、風に吹かれる草原がどこまでも続く緑、赤やオレンジの夕日に染まる大地。
そのものから感ずる思いを色に込めて織り込む。
なんだか、知れば知るほど大切な思いが伝わってくる。



我が家のギャッベは壁にはってある。
モチーフは鹿とヤギ。
鹿は子供を大切に育てる生態から家庭円満の象徴。
ヤギは遊牧民にとって一番身近な動物で、家族同様の存在、子孫繁栄の象徴。
イランの女性たちの大切な思いを受け継いでいこう。




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