７句/船団１０７号

世界最終戦争いつか羽抜鶏
夜のメール在りし日の歌続きをり
東京ミッドタウン空蝉何も見てをらず
藤圭子忌の天使のラッパ吹かれしまま
鏡の向かうのブレイクダンス今日の月
夏終焉清宮幸太郎負けただらう
マツコ・デラックスの膨らむ速さ八月尽

フレンチとイタリアン/雑句雑感六～プロローグ４の終わり（その６０）

孤独死にも仏性ありや一遍忌　　俳句などやっていては駄目一遍忌　　東京ミッドタウン知る由も無き一遍忌　　フレンチとイタリアンどっちが多い一遍忌　　どうすれば楽に死ねるか一遍忌　　マツコ・デラックスそいつは仏よ一遍忌　　愛されずして誰かを愛す一遍忌　　深山には海があるだけ一遍忌　　ジグソーパズル解けたと一遍忌を修す　　兜太とは空蝉の途上にあるのだらう　　空蝉の虚ろなること遠からず　　愛餓とは黙して語らず蝉の殻　　愛餓（あいうえ）をに続くあかさたな蝉時雨　　空蝉やレイテ戦記の死者の数　　空蝉に不生不滅と叫んでみる　　空蝉とは奈落の底のあをびかり　　高槻の中一生（こども）空蝉がポケットに　　球場のある公園空蝉の鳴き始む　　

大遊行/雑句雑感六～プロローグ４の終わり（その６０）

一遍忌妙なる調べ我が身から（旧暦８月２３日）　　生きむとし死にそこないの一遍忌　　十三歳とは何のとば口一遍忌（高槻市中１生）　　人殺めたがまだ生きている一遍忌　　医師５３歳人が吹っ飛んだ一遍忌（８月１６日池袋駅東口）　　江ノ島まで全力疾走一遍忌　　戦争は終ったと何度聞いたか一遍忌　　大遊行のシャツ山積みに一遍忌　　桃子さんはいまでも詩人一遍忌　　小さいおじさんは遊行者なのか一遍忌　　日本橋から徒歩二十時間一遍忌　　遊行などはなから出来ず一遍忌

強きもの/雑句雑感六～プロローグ４の終わり（その６０）

秋蝉は泣いてはをらず薄れゆく　　秋蝉とペットボトルは悲しけれ　　秋蝉は戦さに負けたこと知らず　　秋蝉や人間は必ず死ぬといふ　　秋蝉も人間だったのかといふ思い　　耳を澄ませば秋蝉しかと生きている　　秋蝉とはスカイツリーの微かな揺れ　　東京ミッドタウン秋蝉は強きもの　　そこかしこ秋蝉問はず語りなり　宇宙から遠く秋蝉静まれり　　秋蝉の声より高し誰か死す

未熟ということ/雑句雑感六～プロローグ４の終わり（その６０）

もう一度やってみるかと夏逝けり　　夏逝くと天使のラッパ吹かれしまま　　鏡の向かうブレイクダンスの夏終る　　この空腹この夏終るはずもなく　　色々ありましてと誰かが言った夏の果て　　夏終る清宮幸太郎負けただろう　　戦争は終った晩夏の果てしなく　　マツコ・デラックスと小林一茶夏逝かす　　逝く夏をワ・タ・シもいくと追い縋る　　夏終るも戦さは続くと打電せり　　誰も死なず誰も生かさず夏の果て　　指原莉乃の未熟ということ夏終る