スイッチを押す土壇場の明鴉 死にたがりの魔術師秋の陽を恋しがる 秋燕や伝助劇場いまもある 明治大帝の雪溶けて絶海を見失ふ からんからん浅草に猿人の夏迫る <fon</strong>
鸚鵡追へば火を焚くばかり夜の静寂(しじま) 佇ち止まる大いなる不在の一片として 父も母も花屋で焼かれ蘇生せり 砕けても岩礁でありたい人間でありたい 爆心地の少年兵に何の夢か聞いてみる かまつかはかまつかにあらず紅つのる コンビニの隣人彼岸のまた彼岸 青春残酷物語の主役人体は無謬なり 胡桃割り人形忘却の空つづく 蓑虫の蓑より出でて果てはなし