秋の宵誰かが私を待っていた まほろば
この駅前公園はじつに不思議な場所である。会うはずのない人々がまるで会うことが当然であるかのように出会いを繰り返す。 時は2019年10月27日。日曜日の夕方の5時半のことだった。この日、私は東京の城西のとある学園都市に、これまた不思議な仕事のために出向いていた。働くこと自体半年ぶりのことだったので、とにかく疲れ切っていた。ここ数年来、まるで家族のように同じ時刻に集り、30分ほど決まりきった話をして暗くなるとただ一言『また明日ね』と言い合って帰ってゆく。そんな60歳代から80歳代の中高年者が数人片寄せ合っている。公園のいくつかあるベンチの中のまだニスの匂いのする飛びっきり新しく、考えようによっては豪華な定員3人のスペースがここには存在する。・・・《続く》