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★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

月の兎後日談

2010-09-23 21:49:29 | 文学


 いまし三人の 友だちは 
 いづれ劣ると なけれども
 兎はことに やさしとて
 骸をかかへて ひさがたの
 月の宮にぞ 葬りける
 
 今の世までも 語りつぎ
 月の兎と いうことは これがもとにて ありけると
 聞く吾さへも 白袴の
 衣の袖は とほりて濡れぬ

有名な良寛の『月の兎』である。今昔では「三獣行菩薩通兎焼身語」という題になっている例の話を長歌にしたのである。飢えた老人のために、猿と狐は食糧を集めてこれたけど、兎は何も出来なかったので、火の中に投身して自ら食糧となった。老人は実は帝釈天で、兎だけ月に飾ってあげたという。

今なら、兎に嫉妬した猿と狐が、「上から目線はやめろ」とか「かわいい子をひいきした」とかいって帝釈天を訴えるところだ。そのうち、帝釈天が公文書偽造をしてたとか、兎と渋谷でデートしてたとかいう事実が、週刊誌をにぎわし、若い社会学者とかが「兎がかわいいというのは老人の常識に過ぎないんじゃないですか~。」とか自慢げに言い出し、統計を取ったりして「猿や狐も好きな人がたくさんいました」と喜んだりする。


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