★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

反恋愛論――カツカレーと小蛇

2024-06-17 23:00:40 | 文学


ふたたび澗のほとりへ走り行き、翻江攪海の神通をつかひ、澗水をひるがへし泥水とかき濁せば、かの龍たまり得ず、牙をならして跳り出で、悟空と戦ふ事半時ばかり、さしもの大龍力勞れ、かなひがたくや思ひけん、身を変じて小蛇となり、艸の中にかくれたり。

最近、カツカレーなんかを食べたいとあまりおもわなくなってきたが、――結局「ゴジラ対キングコング」だかをみにいってないことと関係があるとおもう。ああ酢が美味い。

上の場面を興奮して語っている連中はまだカツカレー派であろう。

思うに、恋愛などもいつ戦いをやめ、カツカレーを諦めるにかかっている。昨日、大河ドラマで、紫式部が道長とは向かい合いすぎ、求め合いすぎて、しんどかった、と言うばかりか、中国の青年とも脅しあいと見透かしあいの泥仕合を演じていた。そこで、親父の親友から求婚されたときのせりふ「ありのままのお前を引き受けるぜ」みたいな、雪の女王かよ、というせりふが新鮮にうつってくるのである。むろん、このおっさんのせりふは嘘なのだ。この方に限らず、こういう事を言うやつはかなりの確率で、ありのままの自分も許しておりすなわち浮気者である。しかし、恋愛が悟空と龍との戦いみたいになりがちであるのに対し、小蛇になってかわいく笑いをとるべきなのだ。