……と……そのうちに或る突然な決心が私に襲いかかった。その決心に蹴飛ばされたように私は、素跣足のまま寝台を飛び降りた。宿直室を飛び出して、隣の室に通ずる、暗黒の廊下を突進した。
……するとその途中で何かしら真黒い、人間のようなものと真正面から衝突したように思うと、二つの身体がドターンと人造石の床の上にたおれた。そのままウームと気絶してしまった。
巨大な深夜のビルディング全体が……アハ……アハ……アハ……と笑う声をハッキリと耳にしながら……。
――夢野久作「ビルディング」
朝。
大学へのバスから県庁が新興国のなにかのようにみえる。
大学に着いたら、老眼鏡わすれたことに気がつきました。