★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

ふしぎなメルモの風俗壊乱っぷり

2010-08-23 23:26:52 | 漫画など
朝起きたらまだ怠かったので、手塚治虫の『ふしぎなメルモ』を読んでみた。以前買っておいたのだが、そのときは今日よりも体調が悪く、コマを追う元気もなかったのである。

手塚治虫の絵って、動線がなくても動いているように見える。ふしぎだなあ。これをまねしようとした人がうまくいかなくて動線を増やし背景を書き込み、と苦労したのがよく分かる。止め口パクのアニメーションの伝統をつくってしまったことで手塚は批判されたりしてるけど、「えっ?俺の絵は止まってても動いてるじゃん」という自信があったのかもしれない。

キャンデーを食べると歳をとったり、若くなったりする話ですが、メルモちゃんが子供服を着たまま妙齢の女性に変身するとか、手塚治虫の変×っぷりは常軌を逸してるな。あるいは、一人の主人公で、すべての読者の趣味を満足させようとする発想がすごいな。萌えキャラを複数出して、キャラが立ってないとか立ってるとか言っている現在のアニメーションはまどろっこしいな。全員の役を一人に変身させればいいのである。でもいまどきの人間はそれを許さない。自己同一性とやらが大事らしいので。