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★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

盛り上がって参りました

2017-03-01 23:05:59 | ニュース


われわれにとってよくないのは、本来の仕事がこけそうな理由がそこかしこに生起することだ。言い訳をつくるのはよくない。とはいえ、ほとんど正気では聞いていられないレベルのプレゼンなどを聞いていると、逆に心を麻痺させるにはちょうどいいというものである。本気で批評したら「感情も何もかも狂ってる」で終わりである。しかし、これを評価するほどの人間が、あらゆる組織の中枢で威張っているため、もはや気分は地下生活者である。

最近話題になり、ここ数日急激にいろいろなことが出てきてなんだかアホらしくなってきた「森×」なんとか事件であるが、もうあまりにもひどすぎて我々の社会が陥っている深さの何もない闇に唖然とするばかりだ。

あの理事長があれであることは、すぐわかるが、問題は、ああいう幼稚園には理事長以上にあれな部下がいるかもしれないということである。出世のためにはトロツキストにもファシストにもなり何でもやる輩は実際いる。親も親である。なぜ、あんな選手宣誓や何やらを放置するのだ?しかし、教育界の片隅にいるわたくしは、確かにあんな現状をありがたがる人間が親も含めてこの業界には大量にいること、そして今や大学生にもいることを知っている。それは所謂「暴力」肯定の人たちや、「道徳」教育の教科化でこの世の春が来たと思っているある種の教育学者だけではなく、むしろ、「一方的に教えるんじゃなく子どもの心に寄り添い夢を持つような子どもを支援したい」とかニコニコしながら言っている学生もその範疇に入る。一見、教育勅語を叫ばしたりするあの理事長と、弱者擁護の人道主義的左翼思想に侵されたようにもみえる大学生が正反対に見えるかもしれないが、そんなことはない。思考の暴力性においてほとんど同一物である。実際に、思想的系譜としてもきちんと研究すれば歴史的につながりが見えてくると思うが、現象だけ取ってみても、日本人の心とか夢を持つ子どもといった妄想を、教育者としていいことをしているという自己愛(これは自己に対する暴力の一種であろう――)で形式論理的に、つまり暴力的に支えている(だから彼らは「支援」という言葉を好むのである。自分を支援してるからね…)ところがほとんど一緒である。だから、彼らはその「支え」、すなわち教育の経験を積めば積むほど、その傾向が増す。かれらに必要なのは、猛烈に本を読み議論をし、大学で自己愛の枝を切り落とすこと――自分に対する暴力を解体することである。彼らの感情は、そのあとでしか回復しないだろう。

確かにそれは見通しが甘い。そんなことができないほど、大学教員の一部は様々に脅迫されているからだ。正直、もう知るかっ、という気分である。

確かに、教育勅語でなくても、ああいう感じの統制をはかると、しゃんとする子どもはいる。戸×なんとかスクールとか、厳しい部活とか、ナチス親衛隊がしゃんとしているのと同じことである。どうしようもない無頼な青年が、軍隊ややくざに入ったら、いい感じに更正することはありうることであろう。げんこつも効き目があるかもしれない。心に寄り添う的な懐柔も実際効き目があるであろう。

しかし、そんな風に「しゃん」としてもしょうがないのだ。それらは猫やダッチワイフを愛でるのと同じ(そういえば、戦時下の杉山平助の作品に「猫と愛国心」というのがある。実に意味深である。)に、言葉や物象への愛で自己をねじ伏せることである。これでしか自分を支援できない人間が大量にいることは確かだが、かれらが社会を動かすのは危険である。必ず、馬鹿馬鹿しい支援=統制が強化されて悲惨なことになる。これは、ヒューマニズムや民主主義によっても対抗できない我々の心の習慣のようなものかもしれない。はじめは社会の乱れや弱者の疎外とかをどうにかしようとして始まるのだが、教育者はそれを地道にどうにかするものすごく長いプロセスに大概は耐えられない。しかし、我々(誰なのか知らんが)は、困難だがそうではない弁証法的なぐにゃぐにゃな道を歩もうとしたのである。それは失敗しつつある。

と思っていたら、鴻池元大臣が、以前、あの理事長に「無礼者といって金を突っ返した」ことがあっただの、「あんな学校は開講させちゃだめ」とか「今回は野党頑張れ」とか、明らかに計画的反攻とみられるインタビューをマスコミ相手にして、夜のニュースは大盛り上がり。わたくしは、この人も大して信用できるとは思えないが、まあおもしろかった。どうも、役人だか秘書だかが勝手に首相につながる事案なので空気を読んで便宜を合法的にはかってしまった可能性がでてきたな……、と思った次第だ。基礎的な問題であるが、政治の堕落とは、トランプや安倍やヒトラーが発狂することではなくて、周りの出世××ガイの小物が勝手にやらかすのであって、政治家の「思想」の責任が問われなければならないのは、そんなありふれた現象があるからだ。

ハリウッドと空想科学映画

2017-02-27 23:29:08 | ニュース
今年の「日本近代文学演習Ⅱ」は結構良いレジメが提出されたと思う。



その演習であつかった■田▼輝の『宝島の教訓』のなかに「空想科学映画」というコラムがある。そこでは、「ゴジラ」と「原子怪獣現る」が比較され、ハリウッドの近くに原爆でも落とせばより作品が良くなるのに、とか書かれている。また、武器をつくるのをやめれば、怪獣を家畜に出来るとも……。特に後者をどう解するのかはちょっと難しいのだが、それはともかく――、原爆でも落とされなければ傑作をつくれないのは、アメリカよりむしろ相変わらず我が国である。このコラムが書かれた頃、ハリウッドは赤狩りの時代だった。しかし、ハリウッドは、ゴタゴタしながらそれを自己批判する映画業界というイメージをなんとか作り上げている。

今回のアカデミー賞授賞式は、報道によると、「反トランプ」の嵐だったらしい。文化はだいたい様々な人たちが関わらないと生じないところがあるという一般論は脇に置いたとしても、ハリウッドがそうしなければ引っ込みがつかないのは、歴史的に理解できる。しかのみならず、そもそも原爆よりも赤狩りの方が気持ち悪い出来事なのだ。わたくしは、自己批判できるタイプの人間というのは、すすんで気持ち悪い行動をしてしまうものだと思っている。要するに批判とは振り子のようなものであって、批判のためにも意図的に一度あっち側にふれる必要があるからだ。アメリカというのは、なぜかそういう才能がある国である。今回、「作品賞を言い間違え事件」というのが起こった。司会者が主演女優賞の作品を言ってしまったのである。どうもあやしい。意図的に間違えたのではないか。「嘘じゃないよ、事実だよ」と受賞者が叫んでいたが、まさに、トランプへの当てつけとして解せる。よくわからんが、アメリカという国は、我々が考えるよりも、陰湿な社会かもしれない。だから、ときどき外部に爆弾をおとさないとやってられないのではないか……陰湿すぎて勢いあまったその流れで自己批判してしまうのだ。だから、「反トランプ」はその流れの一部であり、トランプと「対立」してはいないのではなかろうか。

対して、われわれの国はどうであろうか。われわれが反省するのは、いつも何か派手に押し流されたり爆発した時であり、その度に清清して再出発しているが、普段の陰湿さに関しては案外淡泊であり、権謀術数からも逃げている。日本のいじめは陰湿だと言われるが、それほどとは思えない。上の方に「馬鹿の匂いがする」ので脅えて身動きがとれなくなっているのが我々のいじめの正体だ。その代わりに、「火垂るの墓」に描かれたような庶民同士のねちっこい嫌がらせが、それへの抵抗として行われてしまう。我々の芸能界は、まったくからかうべき人間をちゃんとからかっていない。芸能人たちはどちらかというと、みずから「ゴジラ」的な存在となって喜ばれているだけで、確かに多少の思弁をもたらしはするのであるが、それだけである。だいたい、最近の「シン・ゴジラ」にしても、自動的に敵を排除する高度な機能を持っていながら、なぜしゃべらないのであろうか。まさに、われわれが夢想する専守防衛のイメージである。しかし、そんなことは絶対にありえない。

ポスト真実以前的

2017-02-12 15:54:34 | ニュース

二人三脚

突然思い出したのですが、バカ映画「バトルシップ」で、バカ主人公の士官が部下に「やつはドナルド・トランプとマイク・タイソンをあわせたようなミュータント」と言われていました。やつは、海軍の司令長官の娘をひっかけようとして、深夜にコンビニにチキンブリトーを盗みに入るようなバカなのです。

http://digital.asahi.com/articles/ASK2D25LCK2DUTFK002.html?rm=405

……ゴルフって楽しいか?そもそも。ゴルフやるより本読めよ。だいたいトランプ氏のあの王宮別荘は何?庶民の味方の筈ないだろ。アメリカ人よめをさませ。冷静にみてみりゃ、アメリカで共和制が成立していたのは奇蹟に近いな……どうやったんだろう……

http://www.asahi.com/articles/ASK2C5QJTK2CUHBI01M.html

……日本の安倍を馬鹿にするなよ。英語が苦手なわたくしは彼が日本で何を言ってるのかよく分からん。多分英語でしゃべっていると思う。ちゃんと聞けば分かるはずだよ。だからイヤホンなんかいらないよ。でも、なぜか、トランプ氏の英語は分かりやすいよな……

http://www.bbc.com/news/business-38894819

……オレも、アメリカの車は買ってないなあ……。そもそも免許持ってないから、日本の車も買えないんだが。だいたい日本車もアメ車もかわいさとかっこよさが足りない。

http://www.asahi.com/articles/ASK2C4RXSK2CULOB002.html?iref=comtop_list_nat_n03

……戦時中、おやつに毒混ぜた人がいたから気をつけて象さん!

https://www.buzzfeed.com/kotahatachi/south-sudan-nippo?utm_term=.tfPwjXEjy#.rhLb9V09R

……「戦闘ではなく大規模な武力衝突」……、どっちにしろ、というか後者の方がまずいのでは……。はいはい、撤収、撤収!

マドンナと爆発

2017-01-24 14:34:29 | ニュース


マドンナが「ホワイトハウスの爆破を考えた」とか呟いたので米国で騒いでいる。だいたいアメリカの事である。ホワイトハウスが爆発したとしても、上のような感じでアメリカンコミックスみたいに爆発してくれるに違いない。日本だと、爆発はゴジラの顔みたいになり、陰惨である。

https://www.youtube.com/watch?v=iOijIEH2d0A


わたくしは、井上剣花坊の妻であった井上信子の

国境を知らぬ草の実こぼれ合い

を思い出した。

稀勢の里とトランプと渡辺麻友

2017-01-23 23:31:33 | ニュース


http://blog.goo.ne.jp/shirorinu/e/dfdbffcf558929a5861461a11844de52

↑稀勢の里と言えば、北の湖に顔が似ているということで「がんばれ」と言ったこともある。しかし別に応援をしていたわけではない。

わたくしが応援していた(る)力士はとりあえず、「荒勢」(←包帯がかわいそうだから)、「高見山」(←泣き顔がかわいそう。性がワタナベ)、小錦(でかいし強いから)、千代の富士(強いから)、朝青龍(とりあえずなんか笑えるし強いから)、白鵬(めちゃくちゃ強いから)、御嶽海(御嶽に海がくっついている。もはや神としか言いようがない)。

稀勢の里は横綱になるような雰囲気であるが、大関で連続優勝しなきゃいけないんじゃなかったのか?決まりは守れや。横綱たちに失礼だろうが!白鵬に勝ったから、といえば、他にも勝った奴はいるだろうが!

だいたい、小錦を横綱にしなかった大相撲はもはや神事にあらず、まさにありふれた「人事」というべし。

そういえば、トランプがCIAに「キミたちを1000%支持する」と言ったらしい。小学校から算数をやりなおせよ。「君は1000%」とかいうもはや人事を超えた題名の歌が八十年代にあったな。トランプはこのセンスから抜けておらんだろう。

県庁にAKBの渡辺麻友さんがやってきて、瀬戸内48(←多分違う)みたいなものをつくるとか言って知事に挨拶したらしいです。みなさん、AKBとお近づきになるために、大蔵省に入って地元に下るという手があったぞ。

松方弘樹が亡くなったらしいが、この人は金さんというより、「仁義なき戦い」の人として記憶に残っている。



まさに「一教員の叫び」としか思えない。

寅んぷ大統領就任

2017-01-21 14:34:29 | ニュース


不動産業から天下って大統領になった寅んぷですが、いったい何をするのでしょう。転業なのか天下りなのか知りませんが、大学にはお役所からの闖入者のほかに、現場からの天下りというものもあり、――とおもってよくよく考えてみら一番多いのは、高校と予備校からの18歳ぐらいの人たちの天下りだ。おおむね、話が通じないことが多いので迷惑な感じがしますが、とはいえ、天下り大統領よりはましなのでしょう。まあがんばって国民やこどもたちに寄り添ってください。でも嘘と虚栄は最小限にお願いします。あと、その「現実」だか「現場」に即した独自の意見や見解とやらをはやくお願いします。

こうすると、お前の発想は内向きだとか移民排斥まであと一歩だ、とか、わたくし自身の声が聞こえてこないでもない。寅んぷはたぶんおっちょこちょいの成金にすぎない。しかし、この転形期に乗っかり、下手すりゃ世界の大悪人になるのも厭わず立候補したところが、大学に天下りしてくる方々よりはかなりましと云わざるをえない。寅んぷの地獄落ちは既に決定しているが、地獄にすら席がない連中がかなりいるというのはダンテが既に指摘しているところだ。経験を語るならちゃんと認識のかたちにしてからにしてもらいたい。経験主義者というのはだいたい度し難い観念論者にすぎない。こんな常識すらわからない状態で教壇に立つのはまずい。

とはいえ、別に、わたくしは外から来た人たちを全員根本から軽蔑しているのではない。

考えてみれば当たり前なのであるが、――現場の中でショック状態にある者は、本当のことをむしろ語れなくなるのである。そこで生き延びるための宗教じみた気持ちをしゃべるしかなくなるのだ。現実がひどい場合には必ずそうなる。だから、そうした状態を恐ろしい努力でそれを乗り越えてきた人たちが、大学の空論に対して現場の実学を導入するはずが、――学問に対して宗教じみたものを導入してしまったのであった。そうなってしまえば、結局、本当のことを怖くて語れなくなるような空気が学問をやっていた人たちにも蔓延するだけである。なにしろ目の前にトラウマの塊みたいな現象が現れたので……。かような宗教現象に対する恐れはこれから社会現象になるはずである。

連携や協働などというものが、だいたい支配の隠蔽であることははじめからわかってはいたが、上のような事情も働き、だからこそ、みたくない現実は語ってはいないけれども、少なくとも本音じみた何かを語ってくれる寅んぷや×倍が案外人気が出たりするのである。しかし、だいたい人気は半々と言ったところだ。昔の学級会を思い出せば、そんな割合であることはだいたい予想が付く。あとは、暴力や脅しによって一角が崩されてしまえばもうどうしようもない。

御嶽海がんばれ

2017-01-11 23:29:40 | ニュース


御嶽海が二横綱をやぶって好調である。勢い余って優勝してください。木曽には他にいいことないので……

共謀罪つくらなきゃオリンピックができないとか言っていた人がいたそうであるが、そんな危険な行事ならもうやめた方がよかろう。

天皇退位云々の議論が始まったばかりなのに、なぜ元号を変える期限が発表されているんだよ、だれだよ、こういうことを発表させているバカは。

元号が中国の古典からとられてきたことさえ知らなかった輩が何か悔しそうに日本語からとった方がいいとか言いたげなのだが、この際、皇紀にもどせとかいうすっとこどっこいが出現するであろう。わたくしは、源氏物語が好きなので、「桐壺」からはじめて最後までとりあえず順番につけてみることを提案したい。「花散里15年」とか「澪標45年」とか、もうどきどきしてくる。「蛍5年」とか「若紫8年」とかほんといいことありそうである。最近、日本はどうかしているので、いっそのこと「はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方がた」なんかどうであろう。年数を重ねるごとに自虐的になって行くという仕組みである。

「最終的、不可逆的」とかいう約束が破られているようであるが、「存在論的、郵便的」(逆だっけ?)とかいう題名に比べて、なんという柔軟性のなさであろう。そんなもん、むずむずと破ってやりたくなるではないか。

成人式にでているカブいている若者たちが、あんがいいいやつだったとか報道されていたが、当たり前ではないか。成人式なんかに集まっている時点で従順な輩である。本当の悪人は、成人式には行かず、靖国神社やコミケや国文学研究室とか政治塾に行っている。

カストロとマリア

2016-11-26 19:10:59 | ニュース


カストロが死んだって…。ゲバラに遅れること何年か知らないが、わたくしは喘息持ちなのに革命家になったゲバラの方が好きだ。(イメージ)

そういえば、以前「ダヴィンチ・コード」という映画を観たが、そこでキリストとマグダラのマリアの子孫?という設定になっていた女優はどこかでみたことあるなと思ったら、「アメリ」の人であった。あの不思議ちゃんがキリストの子孫な訳はない(イメージ)。「ゴダールのマリア」をやっていたミリアム・ルーセルは、思わずテレビの前で合掌してしまうほど美しかったが、あんな感じの美人をキャスティングしたならば、キリストの子孫だと言っても誰も文句は言えないであろう、と一瞬思ったが、キリストの好みがあまりにも美人だということになればそれはそれで問題であろう(イメージ)。

そういえば、ゲバラも死に顔があまりに美しかったので、「イエス様」とつい兵士たちが合掌してしまったらしいのである。


ニホンザルではない、木曽の山猿である

2016-11-23 18:14:00 | ニュース
http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20161115/CK2016111502000024.html


昔から、平地にでて狼藉を働くと目の敵にされ、追い出される。上の記事では同級生がコメントしていた。
椎名麟三の「ある不幸な報告書」のレポートをみてたら、やっぱり、家族や絆とかいうのは、猿の群れへの恐怖を無理矢理打ち消すものであり、あまりに集団の中の「罪と罰」のありように目をこらすのもそれと似たところがあると思った。

熱出して猫ンでいたらトランプ圧勝3

2016-11-11 23:23:26 | ニュース


授業を始めてみたら、カセットの早回しみたいな声しか出なかったのだが、限界まで続けることにして、漱石の映画「それから」やドラマ「漱石の妻」で引き伸ばしつつなんとか終える。

トランプ勝利について、昨日は一年生に向けて「心の不思議さを忘れちゃいけないよ」みたいな話をした。今日は二年生で国語の学生が中心だったから、もう少し長くお話しする。やはりアメリカの建国以来行ってきた犯罪の数々が自らを食い始めていると。アメリカの公民権運動もPCも、長く欺瞞を続けている国家のなかでは、やはり罪は罰となって回帰している現れであって、そういう形而上的なものが彼らの運動を駆動している。所謂「白人中年男性」や「トランプ」みたいな表象も含めてその自己批判運動の一環に過ぎない。トランプ現象自体は確かにテレビショーであり、アメリカにはナチス顔負けの差別主義者が沢山いるのであろうが、もう彼らは十分犯罪者としての歴史的現世的役割は終えている。つまりアメリカ自体が既に地獄に堕ちている。この前、イギリスも堕ちたので、つられてその子どもであるところのアメリカも堕ちたのだ。

日本も戦後に十分堕ちなかったために、再度堕ちようとしている。ワイドショーではなんと(予想通り)、トランプファミリーの華麗なる何とかとか、ビジネスマンだからとか、地頭がよいとか言っておもしろがっている。Go to hell

 忽ち赤い郵便筒が眼に付いた。するとその赤い色が忽ち代助の頭の中に飛び込んで、くるくると回転し始めた。傘屋の看板に、赤い蝙蝠傘を四つ重ねて高く釣るしてあった。傘の色が、又代助の頭に飛び込んで、くるくると渦を捲いた。四つ角に、大きい真赤な風船玉を売ってるものがあった。電車が急に角を曲るとき、風船玉は追懸て来て、代助の頭に飛び付いた。小包郵便を載せた赤い車がはっと電車と摺れ違うとき、又代助の頭の中に吸い込まれた。烟草屋の暖簾が赤かった。売出しの旗も赤かった。電柱が赤かった。赤ペンキの看板がそれから、それへと続いた。仕舞には世の中が真赤になった。そうして、代助の頭を中心としてくるりくるりと燄の息を吹いて回転した。代助は自分の頭が焼け尽きるまで電車に乗って行こうと決心した。(「それから」)

この人なんか、決心できるだけ話が穏やかなようにもみえるが、まだ頭に風景を吸い込もうという勢いが我々とは異なる。我々はどちらかと言えば、「にごりえ」のお力みたいなのに近いのではあるまいか。

熱出して猫ンでいたらトランプ圧勝2

2016-11-10 23:28:43 | ニュース


まだ半病人のまま大学に行って、なんとか共通科目90分しゃべりきる。今日は、ドストエフスキー「罪と罰」の影響圏と漱石の「個人主義」のお話。授業後には、今学期最初のレポートが提出されてくる。椎名麟三の「ある不幸な報告書」のなかの「罪と罰」について、が課題。一年生が結構やれたはずと期待しつつ、研究室に戻るとふらふらしてきたので、会議を終えたら帰ることにする。

会議の最初に外国人の先生とトランプについてお話をする。わたくしは、なんだか日本人とはトランプの話をしたくない気分であった。

人文学者としては、PC的な人たちも穏健保守も共倒れして頂いて、こりゃ面白い時代になってきたぞと怯えながら思う一方、やはりトランプはだめだと思う。個人的には、彼のヒラリーに言った Such a nasty woman という言い方が非常に嫌だった。なんだか自分が言ったような気がしたからである。ネオコンヒラリーは確かにだめなのであろうが、だからと言って核ボタンを持つ奴が、Such a nasty woman はいけないと思う。勝利宣言の演説は、なかなか穏健になっていたとか言っていた人もいたが、全くそんなことはない。あれは、事実上の孤立主義だか排外主義宣言――「国民以外は知ったことか、文句言うやつは黙れ、我が国の「分断」は許さない」宣言ともいうべきであった。日本でもそうだったように、どんな首相や大統領でもその言葉や行動を模倣する人間は大量に出てくるので、これから大変である。それは所謂低学歴層が模倣するのではなくて、案外、金を持った高学歴層が模倣しているかもしれないのはまわりを見渡しても感じられることではある。トランプによって労働者の革命が起きるなんてのは幻想であろう。むしろ、労働者を使う者の態度がトランプ風になり、労働者もトランプ風に首にされたからあんまり強く出られないといったような現象が起こる。まあ、そんな感じでぼろぼろになりながら、仲間を大切にする自由の精神が復活してくることはありうる。そのかわり被害者も多く出る。

トランプは大統領になってもっとひどいことを言い出しかねないとわたくしは思っている。彼は商売人である。いろんな意味での自分の儲けのために、なんでも言ってくるぞ……。言うまでもなく、人間性やら人権などそうやって簡単に無視できてしまうのが、ある種の商売人である。どこまで我が国は耐えられるかね。もうアメリカ関係なくTPPやってしまうつもりらしいので、その風見鶏的自主独立の精神に期待したい。全く期待できないが……。その前に、トランプが、「アメリカはもう徹底的な孤立主義でいきますよ、つまり平和主義ですよ、日本の九条いただきっ」とか言ってくるとか……さっき、妄想した。

熱出して猫んでいたらトランプ圧勝

2016-11-09 18:31:24 | ニュース


久しぶりに本格的に体調を崩し寝込んでいたら、トランプが勝つわ、という天使の呟きを感じ、テレビをつけたら、ちょうどヒラリーをトランプが逆転したところだった。

1、生まれてみたら喘息とアトピー性皮膚炎
2、全く食欲がなく全然大きくならない
3、勉強はまあまあ(←まあまあが苦悩のポイント)
4、1オクターブ以上は届かない手だった
5、よく鼻血が出る
6、「中学校が田子作の集まりすぎて精神的孤立」というよくある思春期の妄想
7、大学入試に失敗
8、大学院に受かる(←ある意味不幸の始まり
9、国文学者もどきになる(グローバル人材ではなかった)
10、教育学部に奉職して、教育界とは腐れ縁
11、よく鼻血がでる
12、アクティブラーニングという単語にいちいち不機嫌
13、トランプ大統領←今ここ

日本の現状を見るに、リベラル(というか、リベラルって何?善人面したマルクス主義者のことかな、まさかね)が当初予想するよりも事態はひどいという現象がずっと続いていた。ある学生は思ったよりもファシストになっており、ある学生の知性は思ったよりもろく、思ったよりも知の権威は失墜しており、大学でも思ったよりも声がでかい下品な犬みたいな輩だけが威張り腐っており、思ったよりも知識人は勇気がなく、首相の虚×癖は思ったよりも深刻で、思ったよりも日本のインフラ整備はあれで、思ったよりも自分の頭も悪く……

朝食の時に、NHKで、思ったよりも性悪なアクティブラーニングのニュースが流れていて病状が悪化した。我が国(のマスコミ)は、NHKを筆頭にもう思考が完全に止まっている。

まあさすがに民主主義の国アメリカは何とかするだろうと思っていたそこのあなた!アメリカ映画を観てみろよ、差別と爆撃ばかりのひどい国ではないか……下品を洗練させたのがアメリカのすごいところだよ。

トランプが女性にひどいことをしたというニュースでさすがに彼はないだろうと思った人もかなりいただろうが、たぶん、あれでトランプが人間的に見えた人々は結構いたはずなのである。黒人の次は女かよ、とか思っている田子作が大量にいると思われるアメリカでなくても、結構いたはずだ。わたくしが、モラルの底なんかが存しない文芸の世界にいる人間だから、そう思うのであろうか?わたくしはそれは少し前まで大人の常識だったはずだと思う。リベラルは「人間」にそろそろ帰る必要がある。だいたい、わたくしに限らず、リベラルっぽい人たちは、トランプや橋下や安倍について語っているうちに、彼らがなぜ支持されているのか自らを省みてだんだんと分かってくるというのが普通であって、それを分からぬふりをしているうちに、人を馬鹿にした下品な言葉を使ってしまっているのである。内省の時間に恵まれている知識人に必要なのは、そういった心理経過に対するのんびりとした観察である。

ビックデータでヒラリー優位とか言ってた、ビックデータオタクだけはのんびりしないでさっさと研究のやり直しをしてください。役に立ってねえじゃねえか。

勿論、トランプの天下になって、これから、世界の主たるリーダーたちが軒並みあれな人物に切り替わるであろう。(既に、日本も含めてほぼ切り替わっている。)而して、我慢してきた「本音おじさん」や「本音おばさん」のファッショっぷりと、グローバル人材の狼狽ぶりが見物できる。歴史によれば、こうなるとかなり痛みは伴うが、急速に事態は進展するかもしれない。労働者たちはまたもや救われまい、しかし悪人とその他の人々が次々に生きながら地獄に落ちていく様は壮観であろう。今こそ、精密な人間の研究にいそしむべき時で、いままで以上にいったん民衆からは自らを「分離」しなければならない。中途半端に大衆面しているからおかしなことになるのである。

14、世界大革命(わたくしだけが幸福に)